強盗罪の論点を総解説。わかりやすくチェック【刑法各論その10】

強盗罪刑法

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強盗罪は刑法各論として頻出の分野よね。

 

そうだね、たしか事後強盗罪や強盗致死致傷罪とも関係があるから大事って聞いたことがあるよ。

法上向
法上向

そう、何事も基本を押さえることが近道さ。強盗罪はその後の事後強盗や強盗致死傷でもかかわるからしっかり押さえていこう。

強盗罪は窃盗罪の進化形です。強盗罪はよく出題される分野なので確実に押さえる必要があります。さらに事後強盗罪強盗致死傷罪にもかかわってくるのでよく理解することが大事です。

強盗罪のポイント

強盗罪を規定した刑法236条には1項2項があり、それぞれ1項強盗2項強盗と呼ばれたりします。

1項強盗2項強盗は若干要件を異にしますので注意しましょう。

保護法益は占有権説より占有権と考えておけば大丈夫でしょう。さらにそれに加えて人身犯的側面として生命身体自由も含まれるとされています

要件については、言葉の意味を覚える必要がある部分もあるので、丁寧に見ていくことにします。

最後に暴行・脅迫後に財物奪取意思が生じた場合に強盗罪が成立するのか、という論点を考えてみます。

①強盗罪の保護法益を押さえる。
②1項強盗罪の要件を理解する。
③2項強盗罪の要件を理解する。
④暴行・脅迫後の財物奪取意思という論点を理解する。

それではみていきましょう。

強盗罪の保護法益

まず強盗罪とは簡単にいうと、暴行脅迫+窃盗です。つまり暴行脅迫といった人身犯的側面(人の身体・生命・自由に対する罪)と窃盗という財産犯的側面(占有に対する罪)の2面性があるということになります。

となると、強盗罪の保護法益は人の身体・生命・自由、占有ということになるのです。

強盗罪に2面性があるという点は、特に事後強盗罪で重要になってくるのでここで覚えておくようにしましょう。

強盗罪の要件

刑法236条から要件を導く

(強盗)
第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

強盗罪1項2項があり、それぞれ強盗罪を規定したものですが、対象が異なります。1項は財物についての強盗であり2項は利益(実体がないもの)についての強盗です。この点を捉えて2項を利得強盗罪といったりしますが、ここではわかりやすさのために1項の強盗罪を1項強盗罪、2項の強盗罪を2項強盗罪と呼ぶことにします。

1項強盗罪の要件

(強盗)
第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

上記の条文をみると、要件を導くことができます。

①暴行・脅迫②他人の占有③財物④強取⑥故意⑦不法領得

不法領得の意思は財産犯にはすべて出てくるものなので強盗罪でも出てきます。②他人の占有③財物⑦不法領得の意思の論点・意義は窃盗罪(刑法235条)と同じです。詳しく知りたい方は以下のボタンでチェックしてみてください。

②他人の占有 ③財物 ⑦不法領得の意思

簡単にいうと、他人の占有とは総合考慮でいろいろな要素を考えるというものです。ただし、強盗罪ではあまり占有は問題になりません。というのも、強盗罪は暴行または脅迫によって罪物を無理やり奪い取る形なので被害者がその者を占有しているのは当たり前だからです。

占有しているかどうか微妙な場面ではそもそもすぐ盗むことができるのであり、わざわざ暴行や脅迫を加えようとは普通は考えないからですね。

財物窃盗罪と一緒で禁制品や通帳なども含みます

不法領得の意思権利者排除意思利用処分意思の両方を検討する必要があります。ただしこれも窃盗罪より問題になりにくいです。わざわざ暴行や脅迫を使う時点で自動的に認められることがほとんどだからですね。

問題は①暴行または脅迫です。詳しく見ていきましょう。

暴行または脅迫は反抗を抑圧する程度

暴行又は脅迫はただの暴行または脅迫ではありません。反抗を抑圧する程度の暴行または脅迫を必要とします。これは覚えましょう。

反抗を抑圧する程度の暴行または脅迫

ポイントはかなり強いということです。ただの暴行または脅迫では足らないというわけです。一般的な考え方としては、刃物や銃を持っている場合、大男が中枢部を狙って素手で暴行してきた場合などは認められるといわれています。一方で被害者より弱そうな人からの素手での暴行はあまり「反抗を抑圧する程度」にはなりにくいです。

強盗

よくコンビニとかで「強盗だ~!」と叫ぶシーンがありますが、あれば銃や刃物によって「反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫」があったから強盗としているわけです。ひょろひょろの人が素手で脅したとしても通常は強盗は成立しません。

とはいえ、暴行・脅迫時の状況(助けを呼べる人が周りにいるか、周囲に人がいない空地か)や時間帯(助けを呼べる昼間か、呼びにくい夜か)といった点も重要になってきます。様々な個別事情を考慮するので、一概にこうであればこうであるという結論を述べることはできません。

演習を積んで事案に応じた認定ができるようになりましょう!

強取

強取とは、反抗を抑圧する程度の暴行または脅迫によって財物を奪取することを言います。ポイントは反抗を抑圧する程度の暴行または脅迫に「よって」という点です。

暴行または脅迫が向けられていない財物奪取は強盗の要件を満たしません。意外と重要な点でもあるので注意しましょう。

強盗

2項強盗

(強盗)
第二百三十六条
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

まず前項の方法により、となりますが、これは暴行または脅迫(もちろん、反抗を抑圧する程度の暴行または脅迫)を意味します。

①暴行・脅迫②財産上の不法の利益③利益移転④故意⑤不法領得の意思

再び①暴行・脅迫と⑤不法領得の意思が出てきました。これは前回の記事や上記で確認しましたね。忘れてしまったら以下で再びチェックです!

①暴行・脅迫 ⑦不法領得の意思

暴行または脅迫は反抗を抑圧する程度でした。意外と忘れるので注意です。

不法領得の意思は㋐権利者排除意思㋑利用処分意思を検討するんでした。しかしこれも1項強盗罪と同じであまり問題になりにくいです。

さて2項強盗罪で問題になるのは財産上の利益です。

2項強盗罪の財産上の利益・利益移転とは

財産上の利益は一般的な利益です。これが違法なものであっても構いません。1項強盗罪が違法な財物(禁制品)も要件対象の中に含めていたのと同様です。

多いのが、取り返されるのを免れる利益や支払を免れる利益などでしょう。これが別に、違法なものである、覚せい剤の代金支払を免れる利益といったものでもよいわけです。

そしてこの利益が移転することを必要とします

利益は具体的に直接移転しなければなりません。たとえば債権者を殺害した場合に債務の返済を免れる利益があるから強盗殺人罪が成立するかどうか考えてみましょう。

この場合、一般には成立しないとされています。というのも、債権者がなくなったとしても契約書等が残っている限り債務の返済を免れた(=利益の移転があった)とはいえないためです。

一方で㋐証拠等がほとんど残っていない場合や㋑しつこく返済を迫られており、殺害によって相当期間返済を不可能にさせたという場合は、判例でも2項強盗罪が認められています。この場合は返済を免れる利益の移転に具体性、直接性があるというわけですね。

2項強盗罪が少しイメージしずらいんだよね。

法上向
法上向

そんなときは無銭飲食の例を考えてみよう。

強盗の故意で、反抗を抑圧する程度の暴行または脅迫を用いて、出されていない食べ物を食べた場合、食べ物は財物ですので、1項強盗罪が成立します。

法上向
法上向

そのあと逃げたらどうなるのかな?

そうか、支払いを免れているから2項強盗罪も成立するのか。

 

法上向
法上向

そうだね。これで2項強盗罪が意外と出てくる問題ということもわかってくれただろう。

ちなみに、1項強盗罪と2項強盗罪の両方が成立する場合、一般的には1項強盗罪にまとめられるから、結果としては1項強盗罪になるね。

暴行・脅迫後の財物奪取意思による奪取

意外と間違いやすいのが、暴行・脅迫の後に、財物奪取の意思(強盗の故意)が生じて財物を奪ったとしても強盗罪は成立しないということです。

強盗罪が成立するためには暴行・脅迫の前に暴行・脅迫の意思+財物奪取の意思(強盗の故意)が存在している必要があります。

ただし、暴行・脅迫→財物奪取の意思→暴行・脅迫→奪取であれば強盗罪が成立します。故意の後に暴行・脅迫及び奪取という強盗の構成要件を行っているからです。

さらにこの場合の2番目の暴行・脅迫は「反抗を抑圧する程度」はそれ自体で反抗を抑圧する程度になっていなくても、1番目の暴行・脅迫と合わさって=反抗抑圧状態を維持・継続させる程度の暴行・脅迫であればよい、とされています。時間的場所的近接性がある場合、暴行・脅迫の影響は残りやすいからです。

暴行・脅迫後の奪取意思

まとめ

強盗罪についてみてきました。1項強盗罪と2項強盗があること、要件の暴行・脅迫は反抗を抑圧する程度であることをまずは理解しましょう。

そのうえで、強取は反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫が利用されていないといけないこと2項強盗では利益の移転が具体的直接的になされてなければいけないことなどがポイントです。

最後に論点を確認しました。暴行・脅迫後の財物奪取意思です。あくまで強盗は暴行・脅迫前に財物奪取意思が必要という原則を意識する必要があります。それを前提として、判例では反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫→財物奪取意思→維持する程度の暴行・脅迫→財物奪取の場合にも(2度目の暴行・脅迫が単独では反抗を抑圧する程度ではない場合にも)強盗罪の成立を認めているというわけです。

以上です。読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

刑法各論は刑法総論に引き続き,基本刑法をおすすめします。事例問題を示しながら解説されているので,初心者から司法試験対策まで幅広く対応できる作りになっていると思います。

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