無効等確認訴訟のコツを伝授!わかりやすく理解する【行政法その5】

無効等確認訴訟行政法
法上向
法上向

さて,今まで処分性→原告適格→訴えの利益を見てきたな。しかし取消訴訟の場合には他の重要要素,出訴期間がある。出訴期間を過ぎたらどうすればいい?

えっと,出訴期間が過ぎたら提訴できなくないですか?

法上向
法上向

諦めたらそこで訴訟終了だよ。
実は無効等確認訴訟が使える場合もあるんだ。今回はその訴訟についてみていこう!

今まで処分性→原告適格→訴えの利益を見てきましたが,取消訴訟を中心としてきました。しかし取消訴訟には出訴期間があり,出訴期間を過ぎると提訴できなくなります

しかし,出訴期間が過ぎた場合でも無効等確認訴訟として訴訟が提起できる可能性があるのです。ここではわかりやすさのために無効等確認訴訟は無効確認訴訟として考えていきます!

無効確認訴訟のポイント

基本的に取消訴訟の場合の考え方,つまり今まで見ていた処分性→原告適格→訴えの利益の考え方は変わりません。それに考える要素が加わるだけです。

①無効確認訴訟の要件について理解する。
②無効確認訴訟が使えない場合について理解する。
以外と②を見落としてしまいますし,考え方が難しい部分でもあります。できるだけ理論的に考えられるように頑張ります!

無効確認訴訟の要件は条文構造を把握すること

取消訴訟の救済ルートが無効確認訴訟

取消訴訟で出訴期間を過ぎた場合に無効確認訴訟は使われやすいといってきましたが,ここで取消訴訟の出訴期間について確認しておきましょう!行政事件訴訟法14条です。

(出訴期間)
第十四条 取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2 取消訴訟は、処分又は裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
このように知ってから6か月,もしくは処分のときから1年経過してしまうと出訴期間が過ぎたことになり,取消訴訟は提起できなくなります。

なお,条文上の正当な理由とは天災等の場合なのでほとんど認められないと考えておけば大丈夫です!

無効確認訴訟は重大かつ明白が必要

出訴期間が過ぎてもあきらめてはいけません。無効確認訴訟を考えましょう。
ここは覚える部分です!無効確認訴訟の場合は処分が重大かつ明白に違法であることが必要となります。よって,取消訴訟と比べて無効確認訴訟などを使うのはハードルが高いことになります。しかし,出訴期間がすぎた分のペナルティだと思って耐えましょう!

条文で無効確認訴訟を確認!

条文は行政事件訴訟法36条にあります。

(無効等確認の訴えの原告適格)
第三十六条 無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。
この条文の読み方については一元説と二元説がありますが,ここでは立ち入りません。二元説で行きたいと思います。
対象者が赤字青字に分けられると思います。赤字の場合を予防訴訟,青字の場合を補充訴訟をして考えていきましょう。

予防訴訟とは,次に来る処分が来ないように当該処分を無効にしとこう,というような処分です。予防のための処分ですね。

一方で,補充訴訟とは,そうではない場合(次に処分が来ない場合)に当該処分を無効にしたいような場合です。

無効確認訴訟の場合はこの違いを意識することが大事になってきます!

無効確認訴訟は取消訴訟の出訴期間がすぎた際の救済ルートとしてよく使われる。
取消訴訟に加えて重大かつ明白な違法であることが必要となる。
予防訴訟と補充訴訟に分けられる。

補充訴訟は現在の法律関係に関する訴えに気をつけよ

補充訴訟で加わる要件

予防訴訟の場合は楽なのですが,補充訴訟の場合は重大かつ明白性に加えて,検討しなければならないことがあります。それは条文にも表れています。

当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないもの

この部分です!つまり,無効確認訴訟以外の訴訟手段,現在の法律関係に関する訴えでは目的を達成できないことが必要なのです。他の手段で解決できるならそっちで解決しろ!ってことですね。これが補充訴訟といわれるゆえんです。

俺の出る幕じゃないな。というようななかなかキザな野郎が無効確認訴訟の補充訴訟なのです。

では無効確認訴訟に代わる現在の法律関係に関する訴えとは何なのでしょうか。それは当事者訴訟と民事訴訟(争点訴訟)を考えておけばよいでしょう。当事者訴訟はまた別の記事で詳しく書く予定ですが,簡単にいうと処分性が否定された場合の行政訴訟です。民事訴訟と行政訴訟の融合タイプと思っておいてください。

とりあえずは,補充訴訟の場合は民事訴訟と当事者訴訟が使えない場合にしか用いることができないということを頭に入れておきましょう。

意外と広い?補充性が認められる場合

ということは,なかなか補充訴訟は使えなさそうだね。

法上向
法上向

んー,事案にもよりけりだが,必ずしもそうではないんだ。判例は意外と補充訴訟を認めているぞ。

判例は意外と補充訴訟を認めています。ここでよく使われるマジックワードを紹介しますね。

無効確認訴訟の方が民事訴訟,当事者訴訟より直截的で適切な場合には認めているのです!

ただし,どのような場合に直截的かつ適切かは実際に判例(もんじゅ訴訟最判平成4年9月22日など)を見た方がわかりやすいです。ここでは理論を中心に解説するために省略させていただきます。基本書や問題集等でよく紹介されているので確認してみましょう。

無効確認訴訟の補充訴訟では補充性の要件があり,現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものである必要がある。
判例によれば直接的で適切という理由から無効確認訴訟が認められることもあり,意外と認められる範囲は広い。

まとめ

以上,無効等確認訴訟を見てきました。ご覧の短さからわかる通り,無効等確認訴訟で特別に検討するポイントというのは少ないです。それ以上に取消訴訟で確認してきた処分性→原告適格→訴えの利益の検討が重要になります。あとは,重大かつ明白な違法であること,補充訴訟の場合は補充性の要件を検討するだけです。

無効等確認訴訟だからといって,処分性,原告適格,訴えの利益の検討は忘れないようにしてくださいね。念のため処分性,原告適格,訴えの利益の記事をリンクしておきますので不安がある方はぜひ見てみてください!

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

記事の目的上,とても簡潔にまとめているので,もっと深めたい方は以下の基本書を参考にしてください。わかりやすいのでおすすめです。

 

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