改正民法対応!填補賠償(民法415条2項)の要件をわかりやすく!【債権総論その6】

填補賠償民法

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債務不履行による損害賠償が前回の記事でなんとなくわかりました。けれど、民法415条2項はまた別の損害賠償ですよね。

法上向
法上向

そうだね、民法415条1項の損害賠償が基本形で、民法415条2項の損害賠償が進化形だね。今回は415条2項、すなわち填補賠償についてみていこう。

前回は民法415条1項の債務不履行による損害賠償について検討しました。今回はその応用形、進化形の填補賠償(民法415条2項)について、わかりやすく説明していこうと思います。

なお、基本形である民法415条1項の損害賠償を知っていることを前提に話を進めるので、そもそも債務不履行による損害賠償の知識に自信がないという方は、以下の記事を先に読むことをお勧めします。

それでは、填補賠償(民法415条2項)についてみていきましょう!

填補賠償(民法415条2項)の考え方

填補賠償は、債務不履行による損害賠償の一種です。債務不履行による損害賠償が基本形(デフォルトタイプ)だとすると、填補賠償は進化系ですね。そのため、基本的に要件自体の考え方は同じことになります。債務不履行とする際の要件が厳格になるだけです。

債務不履行による損害賠償を検討する際は、まず基本形が成立しないか(民法415条1項)を考え、その次に進化形である填補賠償がいけないかも考えることになります。

進化するか進化させないか(民法415条1項でいくか、民法415条2項でいくか)はその債権者の自由ですが、基本的に填補賠償(民法415条2項)で行ける場合には填補賠償を請求します。

ポケモンでよほどの目的がない限り、進化させるのと同じですね。かわらずの石を持たせて民法415条1項で損害賠償請求をすることもできるというわけです。

もちろん、進化形なので、填補賠償(民法415条2項)の場合でも、民法415条1項ただし書による相手方の反論は可能ということになります。

填補賠償(民法415条2項)による請求の要件は前回の民法415条1項による損害賠償の場合とほぼ変わりません。そこで今回の記事は確認&復習程度の簡単なものになると思います。

①填補賠償(民法415条2項)の要件を確認する。
②損害や賠償の範囲の考え方を復習する。

それでは見ていきましょう。

填補賠償(民法415条2項)とは何か?

填補賠償は債務不履行による損害賠償の通常形(民法415条1項)の進化系であると述べてきました。

では効果の違いは何か?気になりますよね。

填補賠償をすると、条文の文言どおり「履行に代わる損害賠償」をすることができるのです。

もっと簡単にいうと「もう契約通りの履行はいいから、代わりにお金で解決して」というやつです。

たとえば、絵画を100万円で購入するという契約を結んでいた際に、売主が絵画を紛失したとしましょう。買主はすでにその絵画を転売として110万円で売るという契約を第三者と結んでいたとします(売主はそのことを知っていた=予見可能であったことを前提とします)。

填補賠償の例

すると買主は「もう絵画の引渡しはいいから、転売分で得られる利益だった10万円で手打ちにしてやるわ」ということができるのです。この場合は履行に代わる=履行していれば得られた利益を請求しているため、填補賠償となります。

つまり、填補賠償とは履行されたと仮定した場合の利益を請求するものなのです。

これに対してデフォルトタイプ(民法415条1項)の損害賠償は履行したことが前提となるわけではなく、遅れて結局生じた損害を賠償してくれ!ということを目的としているため、違いがあることになるわけです。

今現に生じている損害なら民法415条1項、履行を想定して生じる損害なら民法415条2項という違いがあるわけですね。

一般的に民法415条2項の方がより多くの損害を請求できることになります。とはいっても、民法415条1項or民法415条2項のどちらを選ぶのかは債権者の自由とされています。

さらに、一般的には、債権者は

㋐履行請求+遅延賠償(民法415条1項)を請求するか
㋑解除+填補賠償(415条2項)を請求するか

の2択を選ぶことになるのです。

このことをすっきり受け入れられれば415条1項と415条2項の違いはマスターできたことになります。

んー、なんでその2択になるか、いまいち納得いかないなー。

法上向
法上向

そうだね、ここは特に理解が難しいことかもしれない。民法415条2項がどういう賠償だったか思い出してみよう。

履行に代わる損害賠償でしたよね。履行がされたと想定して、得られる利益を請求できるものだったと思います。

法上向
法上向

そうよね。そして債権者は、履行不能でなければ履行請求権も持っていたことは債務不履行の箇所で勉強したはずだ。
ということは債権者は履行請求するか、解除して損害賠償するかの選択肢をもつことになる。

そうか!債権者が履行請求を選んだ場合には、履行は行われるわけだから「履行に代わる損害賠償」は無理で、遅延賠償(遅れたことによる賠償)しかできないけど、履行請求じゃなくて解除を選んだ場合には、履行が行われないから「履行に代わる損害賠償」を請求できるというわけだね。

填補賠償(民法415条2項)は履行ができないからお金で解決するものです。履行請求によって履行が行われるのであれば填補賠償はできないことになります

逆に履行請求をしないのであれば、填補賠償が可能になるともいえるわけです。

そのために、債権者は、一般的に

㋐履行請求+遅延賠償(民法415条1項)を請求するか
㋑解除+填補賠償(415条2項)を請求するか

のどちらかを選ぶことになるわけですね。

填補賠償(民法415条2項)の要件

基本となる債務不履行による損害賠償の要件

まずは、通常時の債務不履行による損害賠償の要件を確認してみましょう。覚えてますでしょうか?

〈債務不履行による損害賠償の要件(民法415条1項)〉
①債務の発生
②債務不履行
③損害・額
④②と③の因果関係

でしたね。

さて、填補賠償、つまり民法415条2項による損害賠償の際で違いが出てくるのは②の債務不履行についてです。通常の債務不履行(民法415条1項)の場合には債務不履行は明確な基準はありませんでしたが、填補賠償(民法415条2項)の際の債務不履行には明確な基準が条文で定められています。

民法415条2項の条文から要件を導く!

民法415条2項を見てみましょう。

(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。

1号から3号までありますね。

1号は債務不履行(民法412条の2)のことです。
2号は文字通り、債権者が履行を拒絶する意思を「明確に」表示した場合です。
3号は解除or解除要件が充足した場合のことです。

3号が少しわかりにくいので解説しておくと、解除の要件は民法541条、民法542条に書かれています。さらに解除をしたい場合には解除の意思表示が必要(民法540条)です。時効の場合には時効の援用まで必要なのと同じですね。

3号が規定しているのは「解除の意思表示をしていてもしていなくても解除の要件さえそろっていれば填補賠償していいよ~」ということなのです。填補賠償の際には、解除の意思表示はしてもしていなくてもどっちでもいいというわけですね。

解除については債権各論で詳しく学習しますのでお楽しみに!

填補賠償で多いのは、1号、3号ですので、

履行不能や解除の場合には填補賠償(民法415条2項)が使えるんだーということを覚えておくとよいでしょう!基本的に進化形を使うので、履行不能や解除の場合には填補賠償を用いることになります。

填補賠償(民法415条2項)の損害賠償の範囲

填補賠償(民法415条2項)の場合でも、③損害・額、④債務不履行(履行不能・明確拒絶・解除)と損害の因果関係、の要件の考え方は変わりません。

損害は利益状態の差を意味します。

因果関係は民法416条より通常損害と特別損害に分かれ、特別損害の場合は「債務者が債務不履行時に予見可能な損害であったかどうか」を考えることになります。

重要なポイントは、填補賠償の損害の場合は損益相殺が認められる場合がほとんどだということです。

たとえば先ほどの絵画100万円の売買契約で110万円で転売する予定であった場合、

損害賠償として110万円を請求することができると考えられるかもしれませんが、そのうちの100万円は実際に売主に支払うことになるので、実際に「履行されたことで買主が得られた利益」というのは転売で得られる利益=10万円ということになります。

損益相殺

110万円の損失を追っているが、逆に解除によって100万円の利益を取り戻せるから、±で10万円しか請求できない、というのが損益相殺の考え方です。

とはいえ、深く考える必要はなく、実質的に「履行に代わる利益」は何かを検討していけばよいでしょう。そこまで損益相殺を意識する必要もないと思います。

まとめ

以上、填補賠償を見てきました。

結局は債務不履行による損害賠償の基本的な考え方の債務不履行の部分が履行不能(民法415条2項1号)、明確な拒絶(民法415条2項2号)、解除(民法415条2項3号)になっただけということがわかったのではないでしょうか。

また填補賠償によって請求できる額は「履行に代わる利益」=「履行があったことを想定して生じる利益」である点も理解しておきましょう。

最後に、非常に重要になる、基本的な債務不履行の要件を確認して終わりにします。

〈債務不履行による損害賠償の要件(民法415条1項)〉
①債務の発生
②債務不履行
③損害・額
④②と③の因果関係

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

債権総論では初学者にもおすすめのとてもわかりやすい基本書があります。有斐閣ストゥディアの債権総論です。

改正民法に完全対応ですし、事例や図解、章ごとのまとめもあるのでとてもわかりやすい基本書になっています。ぜひ読んでみてください。

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