民法改正対応!解除の要件・効果のポイントをわかりやすく【契約法その5】

解除民法

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解除について教えてください!

法上向
法上向

解除は非常によく出題される分野だね。ここで一気にポイントを確認してみよう。解除は要件と効果をしっかり理解することが大事だぞ。

今回は解除について解説していきます。

解除を端的に言うと、契約の拘束力からの解放です。

解除のために必要な要件と効果を理解することで、解除の全貌がわかってくるでしょう。条文を意識しながらしっかりと学習していきましょう。

解除のポイント

解除で大事なのは要件と効果です。

要件については条文にしっかり書かれているのでポイントを押さえつつ理解していきましょう。解除には催告解除無催告解除があります。両者の違いを押さえることも大事です。

効果については原状回復ということを理解する必要があります。

①催告解除の要件を理解する。
②無催告解除の要件を理解する。
③解除の効果を理解する。

解除を理解するためにはこの2点を押さえるだけです。頑張っていきましょう!

解除の要件

解除には大きく分けて催告解除無催告解除の2種類あります。

また合意解除や別に法律に定めがあればその法律(条文)による解除も可能です。

とはいっても、やはり、すべての契約に万能に機能する解除は今から説明する催告解除無催告解除です。この2つをしっかり理解するようにしましょう。

催告解除(民法541条)の要件

催告解除を要件を考える際には条文を見る必要があります。民法541条になります。

(催告による解除)
第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

要件を整理するとこんな感じになるともいます。

①債務の発生②債務不履行③催告④催告後相当期間の経過

です。

さらに、時効や相殺のときのように意思表示がなければ解除はできません。民法540条を見てみましょう。

(解除権の行使)
第五百四十条 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする
2 前項の意思表示は、撤回することができない。

つまり、催告解除の要件は以下のようになります。

〈催告解除(民法541条)の要件〉
①債務の発生
②債務不履行
③催告
④相当期間の経過
⑤解除の意思表示

すごくシンプルですし、条文をみればわかると思います。

債務不履行については詳しくまとめた記事がありますので、気になる方はこちらをご覧ください。

基本的には履行期が定められてる契約がほとんどですので、

②債務不履行を主張する際には、履行期の合意+履行期の経過を主張することになります。

見落としがちなポイントは、合わせて同時履行の抗弁の不存在を言わなければいけない場合があるということです。

同時履行の抗弁の箇所でも確認したとおり、解除や損害賠償の際の債務は「完全単独の債務」でなければなりません。そのため、相手方が同時履行の抗弁を主張可能な場合には前もって主張しておく必要があることになります。

この点も踏まえると以下のような要件になると思います。

〈催告解除(民法541条)の要件〉
①債務の発生
②債務不履行
③催告
④相当期間の経過
⑤同時履行の抗弁の不存在
⑥解除の意思表示

相手方の反論:不履行の軽微性

債務不履行が軽微な場合には催告解除は認められません。そのため、催告解除を主張された際の相手方の反論として軽微性を主張することができます。

民法541条ただし書の規定からもそのことがわかりますね。

催告解除の反論としての軽微性は、「取引上の社会通念」という表現が入っています。

このことから、不履行が軽微であるかどうかは、契約の性質、契約の目的、契約締結に至る経緯その他の取引をとりまく客観的事情より判断されるというわけです。

無催告解除(民法542条)の要件

無催告解除は民法542条に規定されています。見てみましょう。

(催告によらない解除)
第五百四十二条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。

2項は一部解除でありほとんど出題されませんので、民法542条1項だけを確認していくことにします。

無催告解除は条文を読んでもらえれば理解できるよう詳しく規定されています。

簡単にまとめると以下のようなかたちになるでしょう。

㋐履行不能(1号)
㋑全部の履行拒絶意思が明確に表示(2号)
㋒残存する部分のみでは契約目的不達成(3号)
㋓契約目的不達成(4号)
㋔契約目的不達成見込み(5号)

よく出題されるのは㋐履行不能なのでこれをもとに要件を書くと以下のようになります。

〈無催告解除(民法542条)の要件〉
①債務の発生
②履行不能(1号)※その他2号~5号の事情
④解除の意思表示

④解除の意思表示は忘れがちなので注意しましょう。催告解除でも無催告解除でも意思表示がなければ解除は主張できません(民法540条)。

なおここで同時履行の抗弁の不存在はいう必要がありません。

同時履行の抗弁とは双務契約において一方の給付があるまで履行を拒むというものでした。一方の給付が履行不能であれば同時履行のそもそもの前提である「双務契約(牽連性)」がないことになります。

よって相手方は同時履行の抗弁を主張することはできず、結果として、解除権者側があらかじめ「同時履行の抗弁不存在」を主張しなければならないという存在効果説の発想はなくなります

解除に対する反論:債権者の帰責事由

催告解除(民法541条)であっても無催告解除(民法542条)であっても、債権者(解除権者)側に不履行についての帰責事由がある場合は解除は認められません

民法543条を見てみましょう。

(債権者の責めに帰すべき事由による場合)
第五百四十三条 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない。

とくに催告解除の際には民法543条は条文が離れているのでわかりづらいかもしれません。

しかし、常識的に考えて、債権者に帰責事由があるのに債権者が解除できるというのはおかしな話ですよね。

法学はたしかに条文に沿って物事が考えられますが、それは一定の常識に沿っているはずです(たまに「えっ」って思うような論理があることもありますが…)。

そのため、条文には書かれていないから突き進め!ではなく、

債権者に帰責事由があるのに債権者から解除できるって、普通に考えておかしいよな。」
どこかにそのことを規定した条文がないかなー

というような社会常識から逆算する思考も持ち合わせておくとよいでしょう。

解除の効果は原状回復

解除の効果は民法545条に規定

解除するとしても解除した後の効果について理解していなければ、解除する意味がありません。解除の効果は民法545条に規定されています

(解除の効果)
第五百四十五条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。

ポイントは民法545条1項の原状に復させる義務を負うという点です。これを原状回復義務といったりします。

簡単にいえば、もとの契約前の状態に戻すということです。

さて、学説では間接効果説直接効果説といった対立がありますが、直接効果説だけ理解しておけばよいでしょう。

解除の効果は契約締結時にさかのぼって生じるという立場です。

となると、解除された場合、契約が最初からなかったことになるので「法律上の原因のない給付」であったとして、契約の際に行われた給付等はもとの当事者へ返還することになります。一種の不当利得です。

つまり、解除の効果である原状回復義務は、不当利得の特別規定と理解できるというわけですね。

なお、契約無効取消しの際にも原状回復義務が改正民法には定められました。民法121条の2です。この時の考え方と解除の際の考え方は基本的に同じということになります。不当利得の特則として、契約無効・取消しの際には民法121条の2第1項を、解除の際には民法545条1項を用いるというわけです。

まとめ

以上、解除の際の要件と効果についてみてきました。

改正民法によって条文が非常に詳しくなったので理解しやすくなったのではないかと思います。

最後にもう一度、解除の要件について確認して終わりにします。

〈催告解除(民法541条)の要件〉
①債務の発生
②債務不履行
③催告
④相当期間の経過
⑤同時履行の抗弁の不存在
⑥解除の意思表示

〈無催告解除(民法542条)の要件〉
①債務の発生
②履行不能(1号)(その他2号~5号の事情)
④解除の意思表示

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

契約法について、初学者が学習しやすい本としては潮見佳男先生の『債権各論Ⅰ』をおすすめします。薄いため、最低限の知識がコンパクトにまとめられており、語り口調も丁寧語であるため、しっかり読めば理解できる流れになっています。青・黒・白と三色刷りなのでポイントも青の部分を読めばわかります。

もちろん、改正民法対応です。ぜひ読んでみてください!

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