貸金・保証関連!利息請求と遅延損害金の要件【民事実務基礎その6】

法律実務基礎科目

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法上向
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さて、前々回、前回で貸金返還請求と保証債務履行請求それぞれについて詳しく見てきたね。

そうですね!今回は何ですか?

法上向
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実は、貸金返還請求は単体で請求されることはほとんどない。利息請求や遅延損害金、そして保証人に対する保証債務履行請求権を合わせて主張することがほとんどなんだ。

今回は貸金返還請求と保証債務履行請求の総合問題として、どのように要件事実が主張されるかみていこう!

今回のテーマはズバリ、貸金返還請求と保証債務履行請求の要件事実の総合問題を解決すること、です。

特に、利息請求遅延損害金の問題にも触れていきたいと思います。

それでは見ていきましょう!

利息請求や遅延損害金のポイント

まず、利息請求遅延損害金では、何が訴訟物になり、請求の趣旨になり、請求原因になるのかをしっかり押さえる必要があります。

そして、貸金返還請求保証債務履行請求とどのような関係性をもつのか、をしっかり理解していきましょう!

①利息請求の訴訟物、請求の趣旨、請求原因を理解する。
②遅延損害金の訴訟物、請求の趣旨、請求原因を理解する。
③貸金返還請求と保証債務履行請求との関係でどのような要件を主張すればよいのか押さえる。

以上、見ていきましょう!

利息請求の訴訟物・請求の趣旨・請求原因

利息請求とは

利息請求とは、貸金返還請求などお金の請求に付随して定めるものです。特約が必要となります。

民法589条に規定されています!

(利息)
第五百八十九条 貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができない。
2 前項の特約があるときは、貸主は、借主が金銭その他の物を受け取った日以後の利息を請求することができる。

ポイントは、条文にも規定されていますが、

特約がなければ利息請求権は発生しない

ということです。

年10%の利息とする、といった契約内容があって初めて、1年後返済で100万円借りた場合、110万円返済する必要が出てきます。

利息請求の訴訟物

利息請求の訴訟物は今までの訴訟物と同様に考えればすぐ導き出せるでしょう。

利息契約に基づく利息請求権

です。

あくまで利息請求は「利息契約に基づく」ものです。消費貸借契約に基づくものではないという点も間違いやすいので注意してください!

利息請求の請求の趣旨

請求の趣旨はいかにシンプルに主張を伝えるかでした。ただし利息請求の場合には消費貸借契約に基づく貸金返還請求とともにあるので、請求の趣旨は、消費貸借契約に基づく貸金返還請求+αと書くことになります。貸金返還請求と利息請求、遅延損害金の3つをまとめて書くということです。

遅延損害金も合わせて請求の趣旨を記載することが多いので、利息請求の段階ではいったん請求の趣旨はおいておきましょう。後述します!

利息請求の請求原因

利息請求は利息契約に基づくものであるため、「利息契約=利息の特約」を主張しなければいけないというのは自然とわかるでしょう。

民法589条1項からもそのことがわかるはずです。

さらに利息自体は元本に附従するものなので、元本債権発生原因事実も合わせて主張する必要があります。

そして、利息の発生には一定期間の経過が必要であるともされています。とはいえ、元本発生ですでに一定期間の経過が含まれていることがほとんどですのでそこまで気にする必要はない要件でしょう。

〈利息請求の要件事実〉

①元本債権の発生原因事実
②利息の約定
③利息を生じるべき一定期間の経過

→例文は貸金返還請求及び遅延損害金と合わせて後述します。

遅延損害金の訴訟物・請求の趣旨・請求原因

遅延損害金とは

遅延損害金は履行遅滞に基づく損害賠償請求権(民法415条1項)のことです。

遅れたからその分賠償しろ!

というのが遅延損害金の正体ということになります。

となると、要件は債務不履行の損害賠償請求と同様になるわけです。

>>>民法の観点からみた債務不履行による損害賠償【はじめての債権総論その5】

遅延損害金の訴訟物

遅延損害金という名称に騙されてはいけません。

遅延損害金についての訴訟物を聞かれた場合には

履行遅滞に基づく損害賠償請求権

と答えます。

遅延損害金という言葉は一文字も出してはいけません!

遅延損害金の請求の趣旨

請求の趣旨はいかにシンプルに書くかどうかでした。

これも

消費貸借契約に基づく貸金返還請求権
利息契約に基づく利息請求権

に合わせて主張されることが多いので、あとに回したいと思います!

遅延損害金の請求原因

最後に請求原因について確認しましょう!

履行遅滞に基づく損害賠償請求であるという点に注意してください。そのため、要件は債務不履行の損害賠償請求と同様に考えることができます。

〈遅延損害金の請求原因〉

①債務発生原因
②不履行(履行期の合意&経過)
③損害・額
④因果関係

→例文は貸金返還請求と利息請求とで合わせて後述します。

以上の4要件が必要になってくるというわけです。

貸金返還請求・利息請求・遅延損害金の要件

訴訟物

さて、貸金返還請求の場合には利息と遅延損害金も合わせて請求することが多いのが実務です。

そのため、要件事実も合わせて主張されます。

ここでの注意点として、訴訟物としては別々ということを押さえておきましょう。

つまり、仮に原告が、貸したお金+利息+遅延損害金を一度に請求していたとしても、これらは1個の訴訟物ではなく、3個の訴訟物であるということです。

消費貸借契約に基づく貸金返還請求権
利息契約に基づく利息請求権
履行遅滞に基づく損害賠償請求権

の3つですね。

個数を聞かれたら3個、ということになりますので、要注意です!!

請求の趣旨

請求の趣旨は覚えちゃってください!

ちなみに貸金の際には利息を定めただけで遅延損害金の利率を定めないことがたまにあります。その場合は利息のパーセンテージが遅延損害金にそのまま適用される点も押さえておきましょう。そういう運用なのです!

また、利息なし、約定なしでも遅延損害金は請求することが可能です。この場合の利率は何も定めていない場合は法定利率(3%)となります。

以上を踏まえ、利息のみの利率(仮に10%とする)が定められている場合の請求の趣旨を以下に載せます。

〈請求の趣旨〉

被告は、原告に対し、〇円及びこれに対する〇年〇月〇日から支払済みまでの年10%の割合に基づく金員を支払え。

仮に利息の利率と遅延損害金の利率が異なる場合はどうなるのでしょうか。たとえば100万円を令和3年9月5日に貸しました。1年後弁済期として利息10%、遅延損害金15%で合意している場合を考えてみましょう。

すると、

〈請求の趣旨〉

被告は、原告に対し、110万円及びこれに対する令和4年9月6日から支払済みまでの年15%の割合による金員を支払え。

※遅延損害金は「到来」ではなく「経過」でないといけないので令和4年9月5日ではなく令和4年9月6日となります。

というように、利息と元本はすでに計算済みの状態で書くことが多いと思われます。いかにシンプルに書くかに気を配った結果ですね。

請求原因

では請求原因としてはどのように書けばよいのでしょうか。

その前に要件だけをざっと確認しておきます。

〈消費貸借契約に基づく貸金返還請求権の要件〉
①金銭の合意
②金銭の交付
③履行期の合意
④履行期の到来

〈利息契約に基づく利息請求権の要件〉
①元本の発生
②利息契約の約定
③一定期間の経過

〈履行遅滞に基づく損害賠償請求権の要件〉
①債務発生原因
②履行期の合意
③履行期の経過
④損害・額
⑤因果関係

以上をもとに例文を作ってみましょう。

この例文は暗記した方がよいです。

超頻出の分野だからです。

上記要件をまとめて例文にしてまとめると以下のようになります。

(1)Aは、Bに対し、〇年〇月〇日、〇円を弁済期〇年〇月〇日、利息年〇%の約定で貸し付けた。
(2)〇年〇月〇日は経過した。
(3)よって、Aは、Bに対し、消費貸借契約による貸金返還請求権に基づき、元本〇円並びにこれに対する〇年〇月〇日から〇年〇月〇日までの利息及び同〇年〇月〇日から支払済みまでの約定年〇%の割合による遅延損害金の支払を求める。

※ポイント
よって書については請求の趣旨とは異なり、シンプルに書く必要はない。むしろ、裁判官に訴訟物が何であるかアピールしなければならないため、「利息」や「遅延損害金」という言葉は出すこと。

以外とこんがらがる箇所ですが、

結局は、元本、利息、損害金の利率をしっかり明示して、履行期が経過していることを主張し、あとはいつからいつまでがどの請求に当たるのかを示すだけです。

保証債務履行請求と利息・遅延損害金

さて保証人に対する請求の際には利息や遅延損害金は請求できるのでしょうか請求する場合には何を主張すればよいのでしょうか

まず訴訟物ですが、利息や遅延損害金を含めるとしても、保証人に対する保証債務履行請求の場合には訴訟物が増えるということはありません

つまりは

保証債務履行請求権

という1個のままなのです。

というのも証債務履行請求権というのは民法447条より、あらかじめ利息や遅延損害金を含んだ設定となっているためです。

(保証債務の範囲)
第四百四十七条 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
2 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。

請求原因としては主たる債務を主張する必要がありますが、利息や遅延損害金まで請求したい場合には

主たる債務の中に利息や遅延損害金が含まれることになります

そのため、結局は、請求原因としては利息請求や遅延損害金と同様の要件を主張する必要があるのです。

(1)Aは、Bに対し、〇年〇月〇日、〇円を弁済期〇年〇月〇日、利息年〇%の約定で貸し付けた。
(2)〇年〇月〇日は経過した。
(3)Aは、Cに対し、〇年〇月〇日、(1)の債務を保証するとの合意をした。
(4)Cの(3)の意思表示は書面による。
(5)よって、Aは、Cに対し、保証契約に基づき、〇円及びこれに対する〇年〇月〇日から支払済みまで年〇%の割合による金員の支払を求める。

このような感じの文言になるでしょう。

あくまで保証契約に基づく保証債務履行請求権なので、よって書きでは「利息」や「遅延損害金」という単語は登場させる必要はありません!

また、請求の趣旨もポイントです。請求の趣旨では、原告は主たる債務者と保証人の双方に請求をしがちです。そのため以下のような請求の趣旨になることが想定されます。

〈請求の趣旨〉

被告ら(主たる債務者及び保証人)は、原告に対し、連帯して、〇円及びこれに対する〇年〇月〇日から支払済みまでの年〇%の割合による金員を支払え。

連帯保証である場合には上記のように「連帯して」という言葉が必須です。請求原因で連帯の特約を主張する必要はありませんが、請求の趣旨では必要という変わった実務ですので注意しましょう。

まとめ

以上、利息や遅延損害金を含めて、貸金返還請求や保証債務履行請求について解説していきました。

特有の文言、言い回しが使われがちですので、ここはしっかり「覚える」ことをおすすめします!理論よりは覚えた方が早いでしょう。

もう一度、請求の趣旨と請求原因を掲載したいと思います。主たる債務者と保証人に対して、貸金・利息・遅延損害金を請求する場合です(利息のみ設定→遅延損害金も利息と同利率になる)。

〈請求の趣旨〉

被告ら(主たる債務者及び保証人)は、原告に対し、連帯して、〇円及びこれに対する〇年〇月〇日から支払済みまでの年〇%の割合による金員を支払え。

〈主たる債務者に対して〉

(1)Aは、Bに対し、〇年〇月〇日、〇円を弁済期〇年〇月〇日、利息年〇%の約定で貸し付けた。
(2)〇年〇月〇日は経過した。
(3)よって、Aは、Bに対し、消費貸借契約による貸金返還請求権に基づき、元本〇円並びにこれに対する〇年〇月〇日から〇年〇月〇日までの利息及び同〇年〇月〇日から支払済みまでの約定年〇%の割合による遅延損害金の支払を求める。

〈保証人に対して〉

(1)Aは、Bに対し、〇年〇月〇日、〇円を弁済期〇年〇月〇日、利息年〇%の約定で貸し付けた。
(2)〇年〇月〇日は経過した。
(3)Aは、Cに対し、〇年〇月〇日、(1)の債務を保証するとの合意をした。
(4)Cの(3)の意思表示は書面による。
(5)よって、Aは、Cに対し、保証契約に基づき、〇円及びこれに対する〇年〇月〇日から支払済みまで年〇%の割合による金員の支払を求める。

読んでくださってありがとうございました。

参考文献

民事実務の基礎の教科書、参考書として有用なのは1つしかありません。

これを買わずして勉強できないといわれるほどの良書、大島先生の「民事裁判実務の基礎」です。

予備試験、ロースクール授業対策であれば「入門編」で十分でしょう。司法修習生になると「上級編」や「続編」が必要になるらしいです。

まだ何も参考書がないという方はぜひ読んでみてください!

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