平等権(憲法14条)の問題を理論だけでわかりやすく解説してみた【憲法その3】

平等権憲法

14条の平等が問題になるときに結局どう考えればいいのかよくわからないです。

法上向
法上向

たしかに,平等の問題はいろいろな判例があって難しいなー。しかし,判例に踊らされて理論を置き去りにしていないかい?

理論?憲法はいかに判例を知ってるかの教科じゃないですかー。

法上向
法上向

いいや,それだと未知の問題に対応できないぞ。特に判例の読み方を知らない初学者にとっては,まず基礎として理論を押さえることが大事なんだ。今回は判例なしでがっつり理論的に考えてみようか。

憲法学習は判例学習と呼ばれるほど,判例が大事ですが,実際問題,初学者にとって,判例を覚えろ!と言われるのは苦痛でしかありません

はじめての憲法人権シリーズでは,判例よりも理論を重視し,完全な三段階審査基準論違憲審査基準ではどう考えるのかをまず押さえることを目標にしています。判例は理論を理解したのちに,その理論を修正するものとして覚えていけばいいと考えているからです。

それでは,理論推しで見ていきましょう!

平等(憲法14条)のポイント

平等は他の自由権とは異なり,別の考え方をとって考えた方がよいでしょう。これを区別の合理性基準と呼ぶことにします。つまり規定等による区別が合理的かを判断していくということです。

これには憲法14条の考え方が背景にあります。そのため,憲法14条がどのような規定なのかを理解するのも大事です。

そのため,以下のポイントに沿って進めていきましょう。

①憲法14条の保護領域
②憲法14条の違憲審査基準
それでは見ていきましょう。

平等権(憲法14条)の保護領域

絶対的平等か,相対的平等か

平等権を説明する基本書等では絶対的平等相対的平等形式的平等実質的平等機会の平等結果の平等などいろいろな平等が出てきます。ここではわかりやすく絶対的平等=実質的平等=結果の平等相対的平等=形式的平等=機会の平等として考えることにします。

絶対的平等とは,文字通り絶対的な均衡を目指す考え方です。天秤を考えた場合,どちらも必ず釣り合うことを目指します。たとえば,絶対的平等であれば,入試において男女同じ点数づけで採点しても,それにより実質的に男女間で差が生じるのであれば平等ではない,と考えることになるのです。

一方,相対的平等とは,絶対的な平等は目指さず,機会が平等に保障されていればオッケーという考え方です。この考え方であれば,入試において男女同じ点数付けで採点しさえすれば,つまり男女同様に合格できる機会さえ用意されていれば平等である,と考えることになります。

お分かりの通り,絶対的平等はほぼ不可能です。絶対的に平等にしたいのであればあらゆる事柄について検討を加える必要があり,なかなか難しいものがあります。
そのため,憲法14条は相対的平等を保障したものであるとされています。

とはいえ,この点はあまり判例では問題となりません。当事者間でこの点が争われることは想定しがたいからです。

憲法14条後段列挙事由は例示

ここで憲法14条の条文を確認してみます。

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
この人種、信条、性別、社会的身分又は門地は例示事由であるというのが通説です。例示ということは他の内容もありうるということですね。

では他にどのようなものがあるのか?それは上記例示から推測することになります。上記列挙事由の共通点を探しましょう。すると,自らの意思や努力によっては変えることのできないものであることがわかります。つまり生まれながらのものによって差別,区別されることは許されないということです。この視点が違憲審査基準で重要になるので覚えておいてください!

まとめ

判例ではあまり問題にはならない点なので,理論・学説の一つの対立点として頭の片隅に入れておく程度で大丈夫でしょう。

憲法14条は相対的平等を保障している。
憲法14条後段列挙事由は例示であり,自らの意思や努力によっては変えることのできないものの差別は許されないことを規定している。

平等権(憲法14条)の違憲審査基準

区別の合理性基準とは何か

平等権は相対的平等を保障するのが保護領域でした。絶対的平等ではなく相対的平等なので,ちゃんとした理由のある区別(差別ではない)は許されることになります。

そのため,平等権はその区別が合理的かどうかを判断することになるのです(これを区別の合理性基準と私が命名しました笑)。とはいえ,考え方は違憲審査基準と同じです。

憲法14条後段列挙事由による区別の合理的基準と,それ以外の区別の合理性基準は異なるのでそれぞれを見ていきましょう。

憲法14条後段列挙事由による区別

条文上,自らの意思や努力によっては変えることのできないものの差別は許されません。そのため,もしそれで区別する規定であれば,その合憲性は慎重に判断されることになります。

そのため厳格審査基準を用いることになるのです。

審査基準が決まればあとはこっちのものです。ただし,区別の合理性基準なので区別について考えます(規定ではない点が他の違憲審査基準と異なります)。

当該規定の区別の目的が必要不可欠で,その区別の手段が必要最小限のものであれば合憲とされるわけです。

判例では特に男女の区別については非常に厳格に判断されています

それ以外の区別

上記以外の区別,つまり自らの意思や努力によっては変えることのできる区別は,区別が嫌ならお前が頑張れよ,と言えるわけですね。

そのため,厳格な審査ではなく,中間審査基準が用いられます。

区別の合理性基準なので,手段の検討の際に合理性や必要性を逐一確認するよりも実質的関連性を考える方が平等権はわかりやすそうです。

当該規定の区別の目的が重要その区別の目的と手段の間に実質的関連性があれば当該規定は合憲となる,ということになります。

まとめ

判例を考えずに理論だけを捉えれば非常に単純だということがお分かりいただけたでしょうか。

以下にまとめを置きますね。

①憲法14条後段列挙事由の区別は厳格審査を用いる。
②それ以外の区別については中間審査を用いる。

まとめ

平等権(憲法14条)は多くの憲法問題に出題されやすい分野ですが,理論だけをみれば非常に考えやすいと思います。

あわせて,三段階審査基準の復習になりますが,上記厳格審査,中間審査は公務員等で広範な裁量がある場合には一段階下がると考えておくとよいと思います。
たとえば憲法14条後段列挙事由なら厳格審査から一段階下がって中間審査に,それ以外の区別については中間審査から緩やかな審査に下がるといった具合です。

理論をマスターして,判例学習に備えましょう!

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

三段階審査論に沿って解説されている基本書を紹介します。憲法の答案の書き方の参考にもなると思います。憲法独特の答案の書き方に困っている方はぜひ参考にしてみてください。

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