保証債務履行請求の要件事実をしっかり解説【民事実務基礎その5】

法律実務基礎科目

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法上向
法上向

貸金返還請求と関連するのが、保証債務履行請求なんだ!

保証契約についてしっかり解説しよう!

保証契約ってたしか書面が必要なやつですよね。細かい要件とかはたしかにあまり理解していないかも…。

今回は保証債務履行請求について解説していこうと思います。

保証債務履行請求のポイントは、債権者から保証人に対する請求という点です。債権者から「主たる債務者」に対する請求ではありません!注意しましょう!

さて保証債務履行請求の場合には保証契約を主張する必要があります。その際の要件等をしっかり確認していきましょう。

保証債務履行請求のポイント

先ほども欠きましたが、保証債務履行請求は債権者から「保証人」に対する請求です!債権者から「主たる債務者」への請求では決してありません!

保証

この構造を理解したうえで、保証債務履行請求の訴訟物請求の趣旨請求原因→抗弁→再抗弁…を押さえていきます。

抗弁として、今回は弁済拒絶について考えてみましょう。

よって、今回で学ぶことは以下の通りになります。

①保証債務履行請求の訴訟物を押さえる。
②保証債務履行請求の請求の趣旨を押さえる。
③保証債務履行請求の請求原因を理解する。
④保証債務履行請求特有の抗弁を押さえる。

以上、よろしくお願いします。

保証債務履行請求の訴訟物

保証債務履行請求は保証契約より発生します。そのため、保証債務履行請求の訴訟物は

保証契約に基づく保証債務履行請求権

ということになります。

毎回のことながら「保証契約に基づく」の部分を忘れないようにしましょう。

またよくある間違いとして「保証債務履行契約に基づく」としてしまうことがありますがこれも間違いです。

保証契約から生じる保証債務より請求しているので保証債務履行請求権なのです。

もともとの契約は「保証契約」ですので注意しましょう。

保証債務履行請求の請求の趣旨

請求の趣旨はいかにシンプルに書くかでした。となると、

被告は、原告に対し、〇〇円支払え。

が保証債務履行請求の場合の請求の趣旨となります。

えっ?これだと貸金返還請求と同じじゃないですか!保証債務履行請求権かどうかわからなくなっちゃうじゃないですか!

法上向
法上向

やはり請求の趣旨を勘違いしているね。

請求の趣旨は、いかに原告の主張をシンプルに書くか、が大事なんだ。

貸金返還請求の場合と保証債務履行請求の場合とで求める者は変わらない!

どちらも「金」があれば解決するんだよ。

だから請求の趣旨はどちらも同じになるんだ。

保証債務履行請求によるからといって、請求の趣旨で「保証契約」に基づくことが表れるわけではありません。

結局、原告(債権者)が求めているものは「」だからです。

そのため、請求の趣旨は、貸金返還請求と同様に

被告は、原告に対し、〇〇円支払え。

ということになります。

仮に「被告は、原告に対し、保証債務履行請求権として、〇〇円を支払え。」と書いてしまうと、執行官が「保証債務?履行請求?何それ?意味わからん」となってしまい混乱してしまいます。

請求の趣旨は「いかにシンプルに書くか」という点を肝に銘じておきましょう。

保証債務履行請求の請求原因

では、いよいよ保証債務履行請求の請求原因に入っていきます。

保証債務履行請求をするには、原告はどういったことを主張すればよいのでしょうか?

そんなの簡単でしょ。保証契約を主張すればいいのよ。

けど、なんとなく主たる債務の履行期が来ていることも必要な気がするよ。保証契約の条件が成立した、みたいな。

請求原因を考えるにあたってはフィーリングで行ってはいけません。常に条文を考えます。

(保証人の責任等)
第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

民法446条1項によれば、「主たる債務者が債務を履行しないとき」という実体法上の要件がでてきます。

ただし、「履行しない」ことは原告が主張するのはなかなか面倒です。「あいつはまだ履行していないんだー」と立証するのは難しいことはわかると思います。その一方で、被告が「すでに主たる債務者が履行していること」を立証することは簡単です。弁済の証明書等を提出すればいいわけですから。

このように一見「履行しないこと」が実体法上の要件とされている場合であっても、請求原因(実際に主張立証する場面)になった場合には必要ないことが多々あります。

原告は「履行しないこと」以外の部分を主張すれば、請求原因としては足ると考えられています。つまり、主たる債務履行請求の発生と保証契約の締結、そして民法446条2項より意思表示が書面によることを主張すればよいわけです。

〈保証債務履行請求の請求原因〉

①主たる債務履行請求の発生
②保証契約の締結
③保証意思が書面によること

→①(1)「Aは、Bに対し、〇年〇月〇日、〇円を貸し付けた。」
→①(2)「Aは、Bとの間で、(1)の際、弁済期を〇年〇月〇日とする旨の合意をした。」
→①(3)「〇年〇月〇日は到来した。」
→②(4)「Aは、C(保証人)との間で、〇年〇月〇日、(1)の貸金債務を保証する旨の合意をした。」
→③(5)「Cの(4)の意思表示は書面による。」

※ポイント:
(1)・(2)・(3)は主たる債務=貸金返還請求の要件である。貸金返還請求を言うためには「履行期の合意&到来」まで必要である。
(4)の保証契約は「何について保証するのか」をしっかり明記する。主たる債務はあくまで「貸金債務」である。これが履行期の合意&履行期の到来を主張することで「貸金返還債務」となるが、主たる債務のみで十分であり、「主たる債務の請求権」の発生までは必要ない。

保証債務履行請求の特有の抗弁

さて、保証債務履行請求権における特有の抗弁を見ていきましょう。

条文に規定されています。

検索の抗弁・催告の抗弁

検索の抗弁・催告の抗弁は文字通り、抗弁として登場します。民法452条民法453条です。

(催告の抗弁)
第四百五十二条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

(検索の抗弁)
第四百五十三条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

>>>催告の抗弁・検索の抗弁って何だったっけ?って方必見【はじめての債権総論その11】

しかしこれらの抗弁はほとんど出題されません。というのも、基本的に実務で登場する保証契約は「連帯保証」ですので、すぐに連帯の特約の再抗弁が主張されるからです。

(連帯保証の場合の特則)
第四百五十四条 保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。

訴訟において、保証契約が「連帯保証」であるとわかっていながら、相手方があえて「検索の抗弁」「催告の抗弁」を主張するメリットは少ない気がします。そのため、催告の抗弁・検索の抗弁が主張sれることはほぼないわけです。

法上向
法上向

ただし、請求原因の段階でわざわざ「連帯の特約」を主張する必要はないとされているよ。請求原因ではとりあえず保証債務履行請求だけを基礎づける主張をしていればいいんだ!

履行拒絶の抗弁

保証契約特有の抗弁として、もう一つ、履行拒絶の抗弁があります。

(主たる債務者について生じた事由の効力)
第四百五十七条 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる。
2 保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。
3 主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

保証人は主たる債務者が主張できることは主張できるというわけです。

主たる債務者が同時履行を主張できる場合には保証人も主張できますし(民法457条2項)、主たる債務者が相殺や取消し、解除を主張できる場合には保証人も同様の主張をすることができます(民法457条3項)。

ポイントはこれはあくまで「履行拒絶の抗弁」であるという点です。

相殺の抗弁や錯誤取消しの抗弁等ではなくあくまで「履行拒絶」という抗弁であるという言葉の違いに注意しましょう。

一例として相殺による履行拒絶の抗弁をみてみます。

ここで相殺の要件事実が問題となりますが、相殺は「相対立する債権の存在」や「同種目的」「債務の性質が相殺を許さない」といった事情は、自然と表れるので主張する必要がなく、請求原因等ですでに受働債権の発生等は主張されているため、

①自働債権の発生②自働債権の弁済期の定めとその到来③相殺の意思表示

の3つのみを主張すれば足るとされています。

しかし、保証人の場合は相殺を主張するのではなく、相殺権によって履行拒絶をするだけなので、相殺の意思表示の代わりに、「相殺による履行拒絶」を主張することになる点に注意しましょう。

〈履行拒絶の抗弁〉

①自働債権の発生
②自働債権の弁済期の定め
③弁済期の到来
④相殺による履行拒絶

→①(1)「Bは、Aに対し、〇年〇月〇日、〇円を貸し付けた。」
→②(2)「Bは、Aとの間で、(1)に際し、弁済期を〇年〇月〇日とする旨の合意をした。」
→③(3)「〇年〇月〇日は到来した。」
→④(4)「C(保証人)は,Aに対し,BがAに対して有する(1)の貸金返還請求権〇円を自働債権とし,AのBに対する本件貸付けにかかる貸金返還請求権〇円を受働債権として,その対当額で相殺することにより,Bが上記のAのBに対する貸金返還請求権〇円を免れるべき限度で保証債務の履行を拒絶する。」

※ポイント:(4)については相殺の場面なので、「何を自働債権とし」「何を受働債権とし」その対当額で免れるべき限度で「履行を拒絶する」という要素を入れる!書き方は上記の要素が入っていればどうでもよい。

再度繰り返しますが「履行拒絶」であることは注意しましょう!

まとめ

以上、保証債務履行請求についてみてきました。いかがだったでしょうか。

抗弁等はあらゆる権利に共通するのでいろいろは物が使えますが、保障債務履行請求の場合特有の抗弁として、

催告の抗弁・検索の抗弁
主たる債務者の主張による履行拒絶の抗弁

がある点もしっかり押さえておきましょう。民法の復習にもなります。

民法の理解が薄いな、と感じた方は以下の記事も参考にしてください!

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

民事実務の基礎の教科書、参考書として有用なのは1つしかありません。

これを買わずして勉強できないといわれるほどの良書、大島先生の「民事裁判実務の基礎」です。

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