よくわかる!訴因変更の要否の考え方【刑事訴訟法その11】

訴因変更の要否刑事訴訟法

訴因変更の要否と可否の違いがよくわかりません。

法上向
法上向

なるほど,要否と可否を間違えると以降の考え方がガラッとかわるから注意が必要だな。ポイントは検察官か裁判官かだぞ。

訴因変更には主に要否可否の問題があります(これに加えて許否の問題があったりします)。この違いを間違えると致命的です。それ以降の考え方,論述の仕方がガラッと変わるからですね。

今回は訴因変更の要否が問題となる場面及び訴因変更の要否の問題についてみていこうと思います。

訴因変更の要否のポイント

訴因変更の要否の適用場面をサクッと押さえます。これを意識しておかないと,訴因変更の可否と混ざってよくわからないことになりますからね。

そして,訴因変更の要否の考え方について押さえましょう。訴因変更の要否も学説上の対立がありますが,ここではあくまで判例通説でのみ解説していきます。

①訴因変更の要否と可否の違い
②訴因変更の要否の考え方
③縮小認定の考え方
それではみていきましょう。

訴因変更の要否と訴因変更の可否の違い

訴因変更の要否訴因変更の可否の論点,考え方を学んだときに最初にぶつかるのが,訴因変更の可否と要否の違いです。これを理解していないと,考え方を押さえていたとしても,本来要否の検討をすべき場面で可否の検討をしたり,可否の検討をすべき場面で要否の検討をしてしまったりと悲惨なことになります。

そのため,最初に適用場面を押さえておきましょう

違いは,文字通り,訴因変更の要否とは,訴因変更が必要かどうかの問題であり,訴因変更の可否とは,訴因変更ができるかどうかの問題であるというものです。

んなことわかっとんのじゃー!

という批判が飛んできそうですね。それではわかりやすい考え方を教えます。

訴因変更の要否は,裁判所側が訴因変更を思った場面
訴因変更の可否は,検察官側が訴因変更を思った場面
まず大前提として,検察官側が適切な訴因だと思って提出しています。そのため,審理過程によって裁判所側がこのままの訴因で大丈夫か?と疑問を持った場合,訴因変更が必要かどうか考えるのは裁判所側です

そして,訴因変更したいなー,と検察側が思った場合は訴因変更の可否の問題です。裁判所が訴因変更を許可するかどうかを考えることになります。

つまり,誰が訴因変更をしたい,訴因変更をすべきか,と思ったかが重要なのです。

今回は訴因変更の要否の問題なので,裁判所側が訴因変更について思った場合について以下検討していきます。

訴因変更の要否の考え方

訴因の趣旨と必須要件の確認

学説上の対立(防御説と識別説,さらに防御説は抽象的防御説と具体的防御説に分かれる)があり結局どう考えればいいのかよくわからなくなっています。

そのため,ここではわかりやすさ重視で判例通説の見解で書いていきます。

そのためにまず訴因の趣旨訴因の必須要件について確認しておきましょう。

〈訴因の趣旨〉
審判対象の確定=防御範囲の明示
〈訴因の必須要件〉
①他の犯罪事実との区別
②犯罪の構成要件に該当する具体的記載

上記のような感じでしたね。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

訴訟全体の趣旨

次に,訴訟全体にかかわる考えについて確認しておきます。

争点明確化による不意打ち防止
つまり,不意打ちはダメというものですね。フェアじゃないというわけです。

これは訴因の特定にも若干表れていました。訴因の特定の必須要件でなくても具体化しなさい。その際,争点顕在化措置がとられる場合があるというあれです。

気になる方は以下の記事チェックです!

結局どう考えればいいのか

以上で材料はそろいました。

訴因変更が必要かどうかは,訴因の趣旨からみて訴因の機能を損なわなければ必要ないが,損なうようであれば訴因変更は必要であるという考え方をもとにします。

すると,訴因に不可欠な部分=必須要件の変更は絶対的に訴因変更が必要なことになります(訴因の趣旨より)。

次に,必須要件でなくても,重要な事項であれば訴因変更は必要となります。しかし,訴訟全体の趣旨=不意打ち防止の趣旨から例外的に被告人にとって不利益ではない場合は訴因変更は必要ではないとされているのです。

もっと単純化していうと,基本的には訴因変更は必要だけど必須要件以外の事実で不意打ちにならないような軽微な変更なら例外的に訴因変更は必要ないよ,というわけです。

趣旨と考え方がマッチしている部分なので最初は難しく感じるかもしれませんが,慣れてくるとよくわかるようになると思います。

訴因変更の要否の考え方を図にしてまとめてみた

以上の考え方を図にしてまとめてみました。

縮小認定の場合

次に,訴因変更の第2パターンとして縮小認定の場合を見てみましょう。

縮小認定とは,当初の訴因の事実と裁判官が訴因変更必要じゃね?と思った心証の事実とを比べたときに裁判官の心証の事実が当初の訴因の事実に包摂される関係にあるとされる場合のことです。たとえば,起訴時の訴因は強盗罪だが裁判官の心証が窃盗のような場合ですね。

縮小認定の場合,訴因変更は必要ないとされています。この理由が大事です。一般的には,当初から黙示的・予備的に主張されていた犯罪事実と考えることができるから,とされています。

たしかに,強盗の訴因で訴訟が進められていたのであれば,当然その構成要件である窃盗の事実についても主張・審議は行われているはずであり,そうであれば格別訴因変更手続をとる必要はないということです。

法上向
法上向

ただし,縮小認定で訴因変更は必要ないとの主張は訴因の趣旨から来ているんだ。つまり,訴訟全体の趣旨の争点明確化による不意打ち防止の趣旨はまだ解決できていないわけだね。

ということは,縮小認定でも,被告人の不利益にならないかは検討すべきということですね。

 まとめ

以上訴因変更の要否でした。考える手順としては2パターンあることを意識するとわかりやすいと思います。

縮小認定でない場合縮小認定の場合ですね。両方とも趣旨から考え方が導けることも重要ポイントです。

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

刑事訴訟法の参考文献として「事例演習刑事訴訟法」をお勧めします。はじめての方にとっては解説が大変難しい問題集ですが,非常に勉強になるものです。また,冒頭にあります答案作成の方法について書かれた部分については,すべての法律について共通するものなのでぜひ読んでほしいです。自分も勉強したての頃にこれを読んでいれば……と公開しております。

最初は学説の部分はすっとばして問題の解答解説の部分だけを読めばわかりやすいと思います。冒頭の答案の書き方の部分だけでも読む価値はあるのでぜひ参考にしてみてください。

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