取締役会の論点をわかりやすく図式化で解説!【会社法その3】

取締役会商法
法上向
法上向

前回は株主総会についてやったな。次に問題になりそうな部分はどこだと思う?

え,ちょっとわかりません。

法上向
法上向

ズバリ!取締役会だな!

 

今回は取締役会の論点について解説していこうと思います。取締役会の問題は株主総会とは似ているようで異なる点も多いです。できるだけわかりやすく解説できるように頑張ります。

取締役会のポイント

取締役会で論点になるのは,株主総会と同様,瑕疵がある場合です。取締役会決議が取り消される場合,どのような問題が生じるのか。確認していきましょう。取締役会を設置しない会社もありますが,問題に出てくるのは取締役会を設置していることが多いので,今回は取締役会設置会社であることを前提に話を進めていきます。ポイントは以下の通りになります。

①取締役会の手続について押さえる。
②取締役会が無効になる場合の処理について理解する。
③代表取締役選任決議が無効になる場合について理解する。

取締役会の手続は株主総会との違いに注意

手続の中心は362条

株主総会の手続の中心は309条でした。取締役会の中心は362条になります。

(取締役会の権限等)
第三百六十二条 取締役会は、すべての取締役で組織する。
2 取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職
3 取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。
4 取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
一 重要な財産の処分及び譲受け
二 多額の借財
三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
四 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
五 第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
六 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
七 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
こんな条文があるんだーというだけで結構です。太字の部分はよく出てくるのでチェックしましょう。結局,取締役会は会社の重要な事項を決定する組織で代表取締役がそれを実行する,と思っとけば大丈夫です。

手続のポイントは株主総会との違いから考える

手続のポイントは,株主総会との違いを比較して考えるとよいと思います。

違い①招集通知からの出席義務

まず,取締役は取締役会に出席しないといけないという点です。もちろん,株主総会のように招集手続があり,招集通知をおくらないといけませんが,送られた取締役は取締役会に出席する必要があります。一方,株主総会は出席義務はありません。招集通知がされても全員出席するかしないかは自己判断です。

違い②急に議題だしてもオッケー

取締役会は流動的な場であり,緊急に会社の危機に対処しないといけない場合もあります。そのため取締役会招集通知に書かれていないような事項でも,急に議題に題して審議することができます。極端なことを言えば,急に取締役会で「今の代表取締役ダメじゃね?辞めてよ!」という議題を出して決議をとることもできるのです。一種のクーデタですね。これに対して,株主総会(取締役会設置会社の場合)は招集通知以外の事項については決議できませんでした。詳しくは以下の記事をご覧ください。

違い②特別利害関係人

次に,特別利害関係人は出席してはいけないという点です。「さっきは出席義務があると言っていたのにどっちやねん」となるかもしれませんが,ごめんなさい。特別利害関係人は原則出席してはいけないことになっています。では気になるのが,どのような場合が特別利害関係人かですよね?以下を参考にしてください。

①代表取締役解任の際の代表取締役
②競業避止義務,利益相反取引の際の代表取締役
③自己株式取得の際の取締役
ざっと3パターンぐらいでしょうか。またこれらが出てきたときに確認すれば大丈夫だと思います。ちなみに,特別利害関係人は参加しちゃダメというようなことは株主総会には基本的にはありません。これも取締役会と株主総会の違いといえるでしょう。
取締役会が問題になりそうだったら362条を見る。
手続を押さえるためには株主総会と取締役会の違いに注意する。招集通知→出席義務,なんでも議題オッケー,特別利害関係人が主な違いであり手続のポイントである。

取締役会の瑕疵は原則無効!

原則無効

取締役会の手続をしていなかったり,取締役会決議をしていないのに362条に書かれたことをやってしまったら,取締役会の瑕疵になります。株主総会はもし瑕疵(問題点)があったら取消か不存在か無効か,いろいろややこしかったですよね。

取締役会は一言,無効です!

楽ですね!そのため,基本的には,取締役会決議に瑕疵がある場合,会社は「しまった!無効じゃん。取り消せ!」となるわけです。

どのような場合に瑕疵があったといえるのか?

ほとんどの場合,上記手続違反もしくは取締役会をしていない場合があたります。つまり,招集通知漏れ,特別利害関係人の参加,取締役会決議をしないといけないのにしていないといった場合ですね。ただし無効を主張できるのは会社だけである点に注意してください。無効は本来だれからでも主張できますが,会社法は会社のための規定なので事業譲渡や設立等以外は会社からしか無効主張できません。

例外は民法93条ただし書を利用する

しかし,ちょっとしたひねりがあります。原則無効なのですが,相手方がいる取引の場合は相手方が悪意または過失でなければ取締役会無効を主張して取り消せないのです。これは相手方の立場になってみればわかります。相手方としは会社と取引できてルンルン気分なわけです。しかし後から会社が「ごめん,あの取締役会無効やったから取り消すわ。お金返して」とか言ってきたら怒りますよね?そのためちょっとした修正をしているわけですね。これをよく民法93条類推適用といったりします。まぁ規定の趣旨が似ているのでそう考えるのでしょうね。忘れたら民法93条を見ればオッケーです。

具体的場合

例を少し考えてみましょう。たとえばABCが取締役である会社で,Bに招集通知が送られないまま取締役会決議がされたとします。すると,Bに招集通知が送られていないことが取締役会決議の瑕疵に該当するので,取り消せるわけですね。

これが重大な財産の処分であり,相手方がいる場合だとしましょう。重要な財産の処分には取締役会決議が必要なことについてはおなじみの362条4項1号に規定されています。

原則として取締役会決議は無効なのですが,対外的な取引の場合は,相手方保護の必要性から,相手方が悪意・過失でない限り当該取引は有効となる(民法93条類推適用)ということがわかってもらえたでしょうか。

瑕疵のある取締役会決議は会社から無効主張ができる。ただし,対外的取引の場合は相手方保護のために民法93条類推適用を考える。

代表取締役選任決議が無効の場合

会社法354条

以上原則無効について考えてきましたが,代表取締役選任決議の場合は注意が必要です。なぜなら無効となると,その者は代表取締役ではなかったことになり,以降の会社の取引すべてに影響するからです。

これも相手方の保護を中心に考えます。ここで商法究極のツール,権利外観法理が登場するわけです。

代表取締役ではない者が代表取締役かのようにふるまって取引をした場合(これは代表取締役選任決議が無効になる場合も遡及的に無効になるので代表取締役ではないことになります)354条より相手方の保護が働きます。取締役会の362条の近くですね。

(表見代表取締役)
第三百五十四条 株式会社は、代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該取締役がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う。
ただし条文を見てもダメです。ここは理論を覚えるしかありません。これからもよく使うものなので完全に覚えましょう。
【権利外観法理】(会社法354条)
①外観②帰責性(外観への与因)③相手方の信頼(善意無重過失)
これだけ考えていけばよいです。つまり,会社が外観を作り出し,その外観信頼(善意無重過失)で取引に入った相手方は保護される,ということです。

取締役会が無効で代表取締役は選任されていないことになったかどうか相手方には関係ないため,このような規定があるんですね。ポイントは②の会社が外観を作り出したかどうかです。あくまで取り消すのは会社だからですね。

会社法908条2項類推適用

実はもう一つ,代表取締役選任決議が無効となった場合に相手方からの主張手段があります。これは会社法908条2項類推適用という方法です。

(登記の効力)
第九百八条 
2 故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。
ここは難しいので条文よりもやはり権利外観法理をイメージしてください。
今回は外観が登記になります(登記とは証明書みたいなものです)。
【権利外観法理】(会社法908条2項類推)
①外観②帰責性(外観への与因)③相手方の信頼(善意無重過失)

つまり,代表取締役選任決議が無効であっても,相手方は,登記信じて(善意無重過失)で取引に入っていれば会社との取引は有効となります。やや細かいですが,本来登記は登記申請権者が行うものですが,今回の代表取締役は最初から無効なので申請権はないことになります。よって類推適用になっているわけです。

代表取締役選任決議が無効になる場合は,相手方は354条や908条2項により保護が図られる。これらは権利外観法理であり,要件は①外観②帰責性③相手方の信頼(善意無重過失)である。

まとめ

以上の考え方を図にしてまとめてみます。

わかりにくいかもしれせんが,超大作です(笑)。読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

会社法の基本書はどれもかなり難解だと思います。問題で論点をつかみながら理解するとよいです。そのため解説の詳しい問題集を載せておきます。参考にしてみてください!

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