実は簡単?会社法の計算分野,違法配当について解説【会社法その11】

計算商法

会社法の計算分野って影が薄いですよね笑。計算書類とか剰余金配当とはよくわかなんないっていうか…。条文もややこしいし…。

 

 

法上向
法上向

たしかに,あまりメジャーとは言いにくいかもしれないな。ここでは違法配当を中心に問題になりやすいところだけをまとめてみようか。

会社法の計算分野はややこしく,条文も錯綜しています。しかし問題になりやすい点は違法配当ぐらいですので今回は会社法計算分野,特に違法配当についてまとめてみます。

会社法の計算分野のポイント

会社法計算分野はまず会社の仕組みを理解するのが大事です。そして問題になりやすい違法配当の処理の仕方をつかめば大方は大丈夫でしょう。

①会社法の計算分野に出てくる事項をざっくり押さえる。
②違法配当の処理の仕方を理解する。

それでは見ていきましょう。

計算書類・事業報告・附属明細書・剰余金配当をわかりやすく

計算分野でよく出てくる単語に計算書類,事業報告,附属明細書,剰余金配当があります。これをとりあえず理解するところから,会社法の計算分野は始まります。

計算三兄弟(計算書類・事業報告・附属明細書)

会社法の計算分野には仲良し三兄弟がいます。計算書類,事業報告,附属明細書です。

だんご三兄弟

会社は毎年,事業年度終了後にこれら計算三兄弟を作成しなければなりません。特に長男の計算書類は定時株主総会で承認をもらわなければなりません。次男の事業報告は定時株主総会で報告する必要があります。三男の附属明細書は本店等に置かれます。

まずはこのような三兄弟の役割をしっかり理解することが大事です。

あれ?でも僕の持っている株の定時株主総会では取締役の承認しか載ってなかったよ。

 

法上向
法上向

おいおい,株なんてやってるのか笑。少し細かいが会計監査人・監査役会設置会社では計算書類の承認は必要ないんだ。ほとんどの上場会社は会計監査人を置いているから計算書類の承認はとってないということだな。

剰余金配当

続いて剰余金配当も株主総会の承認が必要な手続の一つです。株をもつメリットはその株が高くなって売ると得することや株主優待などがありますが,剰余金配当も重要な株を持つメリットとなっています。

毎年,持っている株に基づいて会社からお礼金がもらえるのです。これを剰余金配当と言います。つまり,株を持っているだけでお金を毎年もらえるということです(もちろん,剰余金配当をしていない会社もあります)。

剰余金配当にも株主総会の承認が必要であり,会社法の計算分野だといわれています。この剰余金配当は違法配当にかかわるのでしっかり理解しましょう

剰余金配当

まとめ

計算三兄弟と剰余金配当をある程度理解しておけば会社法の計算の仕組みがわかりやすくなると思います。

会社法の計算はまず三兄弟を押さえる。計算書類は基本的に株主総会での承認が必要。事業報告は報告で足る。付属明細書は備え置く。
会社は株主に剰余金配当をすることがある。

違法配当の考え方

会社の計算で一番大きな問題が違法配当です。これは剰余金配当を間違えた=違法な剰余金配当をした場合だと考えましょう。

ここで分配可能額の知識が必要になってきます。

分配可能額はその他剰余金+その他利益剰余金

分配可能額とは,この金額までなら株主に渡していいよーという金額です。会社法ではとても難解に記載されていますが,結局はこう理解しておくととりあえずは大丈夫だと思います。

貸借対照表のその他剰余金とその他利益剰余金を足した価格。自己株式の帳簿価格がある場合は調整が必要。
自己株式等がない場合は単純に「その他剰余金」と「その他利益剰余金」を足した価格でいいと思います。自己株式がある場合はさらに調整が必要です。詳しくは会社法461条(超難解)をご覧ください。

分配可能額を超えた価格で剰余金配当をしたらアウト違法配当になるといいうことです。ではその場合の処理を見ていきましょう。

会社から取締役の責任追及は会社法462条

違法配当をしたら取締役はその分の責任を取らないといけません。当たり前ですね。

条文は会社法462条になっています。ここでは違法配当に主にかかわる会社法462条1項柱書会社法462条1項6号イを取り上げます。

(剰余金の配当等に関する責任)
第四百六十二条 前条第一項の規定に違反して株式会社が同項各号に掲げる行為をした場合には、当該行為により金銭等の交付を受けた者並びに当該行為に関する職務を行った業務執行者(業務執行取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役。以下この項において同じ。)その他当該業務執行取締役の行う業務の執行に職務上関与した者として法務省令で定めるものをいう。以下この節において同じ。)及び当該行為が次の各号に掲げるものである場合における当該各号に定める者は、当該株式会社に対し、連帯して、当該金銭等の交付を受けた者が交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負う
六 前条第一項第八号に掲げる行為 次に掲げる者
イ 第四百五十四条第一項の規定による決定に係る株主総会の決議があった場合(当該決議によって定められた配当財産の帳簿価額が当該決議の日における分配可能額を超える場合に限る。)における当該株主総会に係る総会議案提案取締役
非常に難しい条文ですが,ここは太字だけ意識すれば大丈夫です(省略しすぎ笑)。業務執行者と総会議案提案取締役が責任を負うらしいですね。しかも違法な剰余金をすべて支払う義務を負うみたいです。

業務執行者や総会議案提案者を知るには会社法計算規則等を見る必要があり大変です。ここでは簡単に業務執行者=やらかした取締役総会議案提案取締役=取締役会で賛成した取締役(剰余金配当の決議は株主総会の前に取締役会で承認を得るため)と考えておけば大丈夫でしょう。

つまり,基本的に取締役は責任を負うということです。

会社から株主への責任追及

さらに違法配当にはかわいそうな規定があります。上記の赤字を見てください。金銭等の交付を受けた者とは株主のことですね。つまり剰余金配当を受け取って喜んでいた株主も返さないといけないというわけです。しかも違法配当分全額連帯して返す義務を負います。すごいかわいそうな規定です。

債権者から株主への責任追及

会社法463条2項では会社の債権者が株主に対して俺に違法分を払えーと請求できる=金銭を支払わせることができるという定めがあります。とことん株主がかわいそうですね

(株主に対する求償権の制限等)
第四百六十三条 
2 前条第一項に規定する場合には、株式会社の債権者は、同項の規定により義務を負う株主に対し、その交付を受けた金銭等の帳簿価額(当該額が当該債権者の株式会社に対して有する債権額を超える場合にあっては、当該債権額)に相当する金銭を支払わせることができる

まとめ

以上をまとめると下の図のようになります。

さてここで気になることが出てきました。株主は会社と債権者から追及されるのに,取締役は債権者から追及されないの?という疑問ですね。

これは実は会社法の計算の規定ではなく,一般的な責任追及手段=第三者からの責任追及手段を使うことになります(もしくは民法の債権者代位)。つまり,会社法429条を用いるのです!

会社法429条については以下の記事が参考になります!

違法配当の場合は取締役と株主は違法配当分を返す義務を負う(会社法462条)。また会社の債権者からも請求されることがある(会社法463条2項や会社法429条など)。

まとめ

会社法の計算分野は法務省令を用いたりとややこしく理解しにくいことが多いです。できるだけ要点を押さえてざっくりとわかりやすく書きました(つもりです笑)。実は違法配当には会社法制定者と学説の対立があったりと奥深さもあります。なかなた楽しい分野ですね(汗)。

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

会社法の基本書はどれも難解だと思います。問題で論点をつかみながら理解するとよいです。そのため解説の詳しい問題集を載せておきます。参考にしてみてください!

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