動産物権変動を理解する。即時取得のわかりやすく【物権法その6】

民法

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法上向
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これまでは不動産の物権変動を3回にわたってみてきたが、これからは動産の物権変動に入っていくぞ!

たしかにいままでの物権変動は不動産でしたね。動産になると何が変わるんですか?

法上向
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不動産は登記が対抗要件だったが、動産の場合には登記のようなものがないんだ。

だから、対抗関係も結構違ってくるぞ!

ただし、不動産の物権変動と一緒の考え方をとる箇所も多いから、不動産物権変動の復習を怠らないように!

これまで3回にわたって不動産の物権変動をみてきました。

特に不動産物権変動の1回目の記事は、今回の動産の物権変動にも共通する面があるため、しっかりと理解するようにしましょう。下の記事です。

動産の物権変動は不動産に比べてシンプルです。不動産物権変動は「はじめての物権法」シリーズの3回分を使いましたが、動産の物権変動は2回で終わります。

これら5回分を合わせて物権法の最初のボス「物権変動」を倒すことができるわけです。

動産の物権変動のポイント

動産の物権変動を理解するにあたって最初に押さえるべきは動産の二重譲渡の場面のイメージです。場面をよく理解していなければ、知識があってもうまく使いこなすことができません。

そのため、最初に動産の物権変動(特に、二重譲渡)の場面を考えてみます。

そして、動産の引渡しの対抗要件である引渡しを考えていきましょう。不動産の対抗要件は「登記」でしたが、動産の対抗要件は「引渡し」です。「引渡し」は条文に明記されているのでわかりやすいと思います。

最後に、即時取得について説明します。即時取得は、不動産でいうところの民法94条2項類推適用のようなものです。いわば動産を取得する裏技みたいなものですね。

動産の二重譲渡は試験問題として出題されることはほとんどない一方で、即時取得は非常によく出題されます(不動産の場合は反対に二重譲渡が主体です)。

動産の物権変動は即時取得を理解することにはじまる

ということを理解しつつ、学習していきましょう。

①動産の二重譲渡の場面を押さえる。
②動産の対抗要件である「引渡し」を理解する。
③即時取得を理解する。

それではみていきましょう。

動産の二重譲渡の場面

動産の二重譲渡の場面を考えていきましょう。

Aさんが動産を持っていました。その後、AさんはBさんと売買(第1売買)した後、Cにも売買したとします(第2売買)。

さて、BさんとCさんどちらが動産の所有権を取得するでしょうか。すなわち、Bさん VS Cさんのバトルものになっているというわけです。

不動産の二重譲渡の場面とほぼ同じということがわかると思います。

動産の対抗要件は引渡し

動産の対抗要件は引渡し(民法178条)

動産の対抗要件(第三者に物権変動を示すもの)は「引渡し」です。

よって、先ほどのBさんとCさんでどちらが勝つかと言われれば、

先に「引渡し」をした方

という答えになります。

これは不動産の二重譲渡で先に「登記」を備えた方が勝つのと同様ですね。

なんだ!不動産の「登記」が動産でいう「引渡し」ってわけね!

法上向
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そういうことだよ。ただし、「引渡し」と一口にいっても、いろいろあるから注意しよう!

条文として、不動産は民法177条がありましたが、動産については民法178条を見ることになります。

(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)
第百七十八条 動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。

民法上、「引渡し」には4種類用意されています。逆に言えば民法に規定された4種類以外は「引渡し」ではないということです。

そのため、民法の「引渡し」の規定をしっかり理解する必要があります。

現実の引渡し(民法182条1項)

まずは我々が一般的にイメージする「引渡し」の規定です。民法182条1項をみてみましょう。

現実の引渡し及び簡易の引渡し)
第百八十二条 占有権の譲渡は、占有物の引渡しによってする。

現実の引渡し(民法182条1項)は我々が一般的にイメージする引渡しと同様です。

「はい、受け取って!」「ありがとう」

といって動産を渡すことですね。

簡易の引渡し(民法182条2項)

(現実の引渡し及び簡易の引渡し
第百八十二条 占有権の譲渡は、占有物の引渡しによってする。
2 譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる。

簡易の引渡しも可能ということが民法182条2項に規定されています。

これはすでに譲受人が動産を占有している状態の場合に、

譲渡人が、「この動産、あなたにあげるよ」

といって、動産を渡すことです。

たとえば、本を友達に貸していた場合に、もうその本をいらなくなった場合

「以前にたしか本を貸してたと思うけど、あれあげるわー」

というような場合は簡易の引渡しですね。

占有改定(民法183条)

占有改定は、イメージしづらいにもかかわらず、非常によく出題される「引渡し」の種類です。しっかり理解するようにしましょう。

まずは条文の確認です。民法183条をご覧下さい。

(占有改定)
第百八十三条 代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。

Aさんの動産の所有権がBさんに移転しますが、以降もAさんがその動産を持っていてもいいよー、というのが占有改定です(簡易の引渡しでは譲受人が以降も占有していくものでしたが、占有改定は譲渡人が以降も占有していくものです)。

占有状態が変わらない場合でも、占有改定による「引渡し」があるものとして、考えるわけですね。

この場合でも、動産の対抗要件が備わることになります。

指図による占有移転(民法184条)

最後の4種類目の「引渡し」として指図による占有移転があげられます。

民法184条を見てみましょう。

(指図による占有移転)
第百八十四条 代理人によって占有をする場合において、本人がその代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者がこれを承諾したときは、その第三者は、占有権を取得する。

なかなかややこしそうな規定ですが、

簡単にいえば、誰かに預けていたケースにおいて、

「あ、それ、もう〇〇さんに渡したから、以降は○○さんのために預かっておいてね」

という場面です。

動産を預けているというのを最初に想定するとよいでしょう。

AとBとの間で動産の所有関係が移転しているのがわかりますね。

即時取得

即時取得の条文は192条

さて、動産の二重譲渡でのポイントは

どちらが先に対抗要件を備えたかどうか

でした。

しかし、仮にBさんが先に対抗要件を備えていたとしても、Cさんが勝てる裏技があるのです。

それが

即時取得

です。

AB間で動産についての所有権が移転している場合、Aは動産について無権利者となります。

しかしながら、

Cが平穏かつ公然、善意無過失で取引をしている場合

Cは即時取得として、動産について所有権を取得するというわけです。

これってどこかで同じようなものを見たことがあると気づいた方は素晴らしいですね。不動産における民法94条2項類推適用とほぼ同じ考え方なのです。

民法94条2項類推適用は登記の外観を信頼して取引に応じた第三者を保護する規定でした。

不動産ではなく動産の場合、民法94条2項類推適用ではなく民法192条を使うということになります。

条文を確認してみましょう。民法192条になります。

(即時取得)
第百九十二条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

さて、ここでいう「平穏・公然」と「善意」は実は民法186条1項によって推定されます。わざわざ権利者が主張する必要がないということです。

(占有の態様等に関する推定)
第百八十六条 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。

さらに、時効の場合とは異なり、「無過失」についても推定されます。民法188条です。

(占有物について行使する権利の適法の推定)
第百八十八条 占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。

以上を踏まえると、即時取得の主張のためには

取引行為」によって「占有を始めた」ことだけを主張すればいいことになります。

そして、「占有を始めた」を主張するためには、先ほどの「引渡し」を主張することになるのです!

即時取得の主張のためには

①取引行為②占有を始めたこと

が必要になる。

「占有を始めた」の意味

さて、「占有を始めた」とは一般的に「引渡し」と同義ですが、

占有改定は民法192条の「占有を始めた」には当たらない

とされています。

なぜなら、占有改定は先ほど見た上図からなんとなくわかるとも思うのですが、譲受人の物の支配の程度が弱いからです。

動産の移動が一切なく、外観からは誰が所有者かわかりません。

そのため、Bの、動産に対する支配が弱い=即時取得という強力な裏技を使うことができない、ということになります。

なお、その他、「簡易による引渡し」や「指図による占有移転」は即時取得として利用できるので安心してください。

あとは相手方が、即時取得をした者に対して、悪意・有過失(善意無過失の反対)や強暴・隠避(平穏公然の反対)を主張していくことになるのです。

まとめ

以上、動産における物権変動をみてきました。いろいろてんこ盛りでわかりづらくなった気もします。

最後に図で確認していきましょう。

①動産の二重譲渡の場面を想像してください。この場合、BとCのバトルものになります。さて、BとCどちらが勝つのでしょうか。

②その基準は、どちらが先に動産を「引渡し」たかどうかでした。

③「引渡し」には、現実の引渡しの他、簡易の引渡し、占有改定、指図による占有移転の4種類あったのを思い出しましょう。

AB売買において、すでに「引渡し」がある場合はCの負けです。

しかしここで、Cはトラップカードを発動できます(裏技です)。それが即時取得でした。

即時取得は、動産の物権変動において、無権利者から権利をゲットするチート技です

Cが民法192条の要件を満たす場合、Cは動産の所有権を取得=Bに勝利します。

なお、⑤即時取得における「占有を始めた」の要件の中に、占有改定は含まないという点もしっかり理解しておきましょう!占有改定で即時取得はできないということです。

①動産の二重譲渡の場面を考える。
②動産の対抗要件は「引渡し」であるから、先に「引渡し」をした方が勝利となる。
③「引渡し」には現実の引渡し、簡易の引渡し、占有改定、指図による占有移転の4種類がある。
④仮に「引渡し」の先後で負けたとしても、即時取得が使える場合がある。
⑤占有改定による即時取得はできない。

解説は以上です。読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

物権法のわかりやすい基本書としては佐久間先生のものをお勧めします。

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