改正対応!取消し・解除・時効と二重譲渡を理解する【物権法その4】

民法

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二重譲渡をなんとなく理解してきたんですけど、取消しとか解除とかがあった時の考え方がいまいち理解できません。

法上向
法上向

なるほど!たしかに取消しや解除とかがあると二重譲渡は複雑化するな。

しかし、実際は簡単なんだ!今回はわかりやすく丁寧に解説していくぞ!

不動産の二重譲渡(対抗問題)を理解した後、最初にぶつかる壁は、典型的な二重譲渡ではないパターンです。

取消し解除時効が混じった二重譲渡パターンでは問題が複雑化します。そのため、つまづいてしまう人が多い印象です。

これは基本書等が、いろいろ書きすぎているためにわかりにくくなっていることが原因です。

しかし、単に判例・通説を理解するだけなのであれば、ものすごく簡単です。

今回は、判例・通説だけを丁寧に解説します!

不動産の二重譲渡各論のポイント

不動産の二重譲渡の典型パターンではない、いわば例外パターンで押さえるべきは3つです。

取消し、解除、時効

の3つです。

これらのパターンの考え方は1つだけですので、まずは基本となる考え方を押さえます。

そして、各論点にしたがって丁寧に解説していきます。

①不動産二重譲渡の例外パターンの基本的考え方を知る。
②取消しと二重譲渡の考え方を押さえる。
③解除と二重譲渡の考え方を押さえる。
④時効と二重譲渡の考え方を押さえる。

あくまでもこれらの各論は、「不動産」についての二重譲渡、すなわち、「登記」との関係です。動産ではまた別問題(というか動産の場合には問題になりません)なので注意しましょう。

つまり、登記と取消し、解除、時効との関係がこの記事での論点というわけです。

不動産二重譲渡の例外パターンの基本的考え方

不動産二重譲渡の典型パターン

とりあえず試験まで時間がないから、不動産二重譲渡だけ理解したい!

という方はこの部分だけ読めば大丈夫です。

最初に典型パターンを理解しましょう。

AがBに売買した後、AはCにも売買しました。そしてCが先に登記を備えたケースです。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

>>>不動産の二重譲渡の典型パターンについてわかりやすい解説

不動産の二重譲渡(民法177条)の考え方は以下の通りになります。

①二重譲渡は第1譲受人(B)と第2譲受人(C)とのバトルものであって、原則として登記がある方が勝つ。
②しかし、その第2譲受人(C)が「第三者」かどうか=当事者及び包括承継人以外の者であり、登記の欠缺を主張する正当な理由を有する者かどうかが問題になる。
③「第三者」にあたらない典型が、Cが背信的悪意者(≠悪意者)の場合である。

最低限、これだけは押さえておきましょう。

例外的パターン

例外的パターンは後ほど詳しく解説します。

ここで知ってほしいのは例外的パターンの基本的考え方です。

一つの魔法の言葉を暗記するだけで、例外パターン(取消し、解除、時効)はすべて解決します。

それは、

第三者の登場が、前なら条文、後なら二重譲渡(民法177条)

です。

もう一度言います。

第三者の登場が、前なら条文、後なら二重譲渡(民法177条)

です。

え?どういうことですか??

法上向
法上向

詳しくは、取消し解除時効それぞれで解説していくぞ!しかし、すべてに共通する考え方は、上記魔法の言葉なんだ。

第三者の登場が、前なら条文、後なら二重譲渡(民法177条)として」処理していくことになるんだ!

取消しと二重譲渡

第三者の登場が、取消前なら条文、後なら二重譲渡

さて、魔法の言葉

第三者の登場が、前なら条文、後なら二重譲渡(民法177条)

を取消しにあてはめますと、

第三者の登場が、取消前なら条文(第三者保護規定)、後なら二重譲渡(民法177条)

となります。

では事例に沿って押さえていきましょう。

まずは、B→A→Cの順で売買が締結されていった場合を想定してください。

その後、AB間の売買が詐欺や錯誤などで取り消されました。

この場合にBとCどっちが勝つのか?というのが取消しと二重譲渡の論点になります。

さて、さきほどの魔法の言葉に従えば、

第三者Cの登場が、取消前であれば条文を、取消後であれば二重譲渡として扱うになります

以下で詳しく見ていきましょう。

第三者の登場が取消前の場合

第三者の登場が取消前の場合には、取消しの箇所の条文を使います。

錯誤の場合

たとえば、AB間の売買が錯誤取消しの場合は、

民法95条4項を用いるわけです。

(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

これは「はじめての民法総則シリーズ」でやったところですね!

>>>錯誤取消しの第三者保護要件についてわかりやすく【民法総則その3】

すなわち、第三者Cが善意かつ無過失の場合はCが勝利し、それ以外の場合にはBが勝利するというわけです。

詐欺の場合

また、詐欺についても確認しておきましょう。

民法96条3項になります。

(詐欺又は強迫)
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

詐欺の場合も同様に、第三者Cが善意かつ無過失の場合にはCの勝利、それ以外の場合にはBが勝利するというわけです。

強迫の場合

意外と間違いやすいのが、強迫の場合ですが、強迫には第三者保護規定はありませんでした。

そのため、必ずBが勝利するということになります。

このように、第三者の登場が取消前の場合には条文を見るわけです!

第三者の登場が取消後の場合

続いて第三者の登場が取消後の場合です。これは民法177条を考えます。

すなわち、前回同様、不動産物権変動の問題として考えるというわけです。

BとCのバトルになり、先に登記を備えた方の勝利となります。

しかし、Cが先に登記を備えたとしても、Cが背信的悪意者など「当事者又は包括承継人以外の、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者」ではない場合にはCは負けとなる点も思い出しておきましょう。

でも、なんで第三者が取消後だと急に二重譲渡になるんですか?どうみても二重譲渡のケースには見えないのですが。

法上向
法上向

これはゆっくり順を追って考えていこうか。

ではなぜ、第三者の登場が取消後であれば二重譲渡として考えるのでしょうか。

B→Aで不動産が譲渡されました。

そしてAB売買が取り消されます。

ここで取り消したことによりA→Bへの復帰的物権変動(AからBへ不動産が戻る動き)が生じるのです。

しかし、取消後に第三者Cが登場していました。A→Cで売買をしてしまいます。

すると下図のように二重譲渡の場面が生じるわけです。

そのため、第三者の登場が取消後の場合には二重譲渡のケースとして扱うわけですね。もちろんこれは強迫の場合も同様で、強迫取消し後の第三者は二重譲渡として先に登記を備えているかどうかで勝敗が決せられます。

BとCのどちらが登記を備えるかがポイントとなり、
Cが先の場合であっても、Cが背信的悪意者(その他、「第三者」(民法177条)にあたらない場合)であれば、Bが勝つ

というわけです。

解除と二重譲渡

第三者の登場が、解除前なら条文、解除後なら二重譲渡

これも先ほどとほぼ変わらないのでさっと確認する程度にします。

第三者の登場が解除前の場合

第三者Cの登場が解除前であれば、解除の条文の第三者保護規定を使います。民法545条です。

(解除の効果)
第五百四十五条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。

解除の条文には、善意や無過失といった要件はないため、悪意・有過失の第三者も解除前であれば保護されることになります。

>>>解除についてわかりやすい解説【契約法その5】

ただし、判例では、ここでいう解除前の第三者は権利保護要件として「登記の具備」が必要とされています。つまり、解除前の第三者でも、自身が民法545条の「第三者」であることを主張するためには登記が必要というわけです(二重譲渡の問題として登記が必要というわけではなく、民法545条として登記が必要という意味です)。

ここが民法総則の錯誤や詐欺取消しの第三者との大きな違いですので注意しましょう。錯誤取消しや詐欺取消しの前の第三者は登記は必要ありません。

第三者の登場が解除後の場合

二重譲渡パターンになります。これもBA間の売買が解除による復帰的物権変動が観念化できるためです。

第三者Cが先に登記を移すかどうか、登記があったとしても、Cが背信的悪意者でないかどうか、などを検討することになります。

時効と二重譲渡

第三者の登場が、時効完成前なら条文、時効完成後なら二重譲渡

さて、時効についてみていきましょう。

第三者の登場が時効完成前の場合

Aの不動産について、Bが時効取得したとき、AC間で売買が起こったケースを見ていきたいと思います。

まず第三者Cの登場が、Bの時効取得前の場合です。

第三者Cは時効前の第三者なので時効の条文を確認しておきましょう。

(所有権の取得時効)
第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

時効取得の条文には第三者保護規定というものはありません。というのも、時効取得は原始取得ですから、誰に不動産があるかは関係なく、不動産を持っている者からの取得を意味しているためです。

よって、時効取得前の第三者の場合には、Cは、時効との関係では「当事者」であり、Bに負けます。時効を主張するBが勝つというわけです。

>>>取得時効についてわかりやすく解説【民法総則その9】

第三者の登場が時効完成後の場合

さて、時効後の場合には面白いことが起こります。

先ほどの例で、ABの時効完成後にCが登場したというケースです。

このように二重譲渡的に観念できるわけです。

もちろん、正確には、時効取得は原始取得ですので、正式な二重譲渡のケースではありません。しかしながら、不動産の動き方としては、A→B、A→Cの2つの譲渡として見れるため、二重譲渡のケースとして処理するわけです。

よって、BとCのバトルものとなり、先に登記を備えた者の勝利、ただし、Cが登記を先に備えていたとしても、Cが「第三者」(民法177条)に当たらない場合(背信的悪意者など)であればBが勝利する

という流れになります。

これってBさんは、時効取得したとしても、時効完成後に登記移転をしたCさんにはなかなか勝てないってことですよね?

Bさんかわいそうじゃないですか?せっかく時効取得したのに……

法上向
法上向

たしかに学説では批判があるところだな。

しかし、Bさんは時効完成しているにもかかわらずと登記を移転していなかったという帰責性(任務懈怠)があるんだ。だから判例は、時効取得者の保護を薄くしていると考えることができるぞ!

まとめ

以上、不動産の二重譲渡における例外ケース、取消し解除時効についてみてきました。

すべての基本は

第三者の登場が、前なら条文、後なら二重譲渡(民法177条)

で処理をするということです。

取消しの場合…第三者の登場が、取消前なら錯誤(民法95条4項)、詐欺(民法96条3項)を考えることになります。取消後なら、二重譲渡(民法177条)の処理をします。

解除の場合…第三者の登場が、解除前なら民法545条(ただし、権利保護要件として登記が必要)を考えることになります。解除後なら、二重譲渡(民法177条)の処理をします。

時効の場合…第三者の登場が、時効完成前なら民法162条(通常の時効の場合と変わらない)を考えることになります。時効完成後なら、二重譲渡(民法177条)の処理をします。

こう見てみると、すべて考え方が共通しているのでわかりやすいですね!

最後にもう一度、魔法の言葉を思い出してみましょう!

第三者の登場が、前なら条文、後なら二重譲渡(民法177条)

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

物権法のわかりやすい基本書としては佐久間先生のものをお勧めします。

事例付で詳しく解説されているので、初学者の方には特におすすめです。

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