実は簡単!?伝聞法則をわかりやすく解決【刑事訴訟法その15】

伝聞法則 刑事訴訟法

伝聞法則が意味不明です!助けてください。

法上向
法上向

刑事訴訟法上の最難関は伝聞法則といってよいだろう。伝聞か非伝聞かをどう考えればいいのかわかりにくいってことだね。

そうなんです!何をもとにしてどうやって考えればいいのかまったくわかりません……

伝聞法則は刑事訴訟法上最も難しい分野と言われています。たしかにイメージがしにくく,場合分けのようないくつものパターンがあるので大変です。

今回は伝聞法則の考え方,非伝聞となる場合はどのような場合かを考えていきましょう。

伝聞法則のポイント

伝聞証拠は基本的に証拠能力がありません。つまり証拠とすることができないということです。非伝聞であれば何も考えることなく証拠とすることができます。そのため,伝聞非伝聞かの仕分けは非常に重要になります。

①伝聞法則について理解する。
②非伝聞となるパターンを押さえる。
それではみていきましょう!

伝聞法則の趣旨

刑事訴訟法320条1項を確認

まず,伝聞法則について規定した刑事訴訟法320条1項について確認してみましょう。

第三百二十条 第三百二十一条乃至第三百二十八条に規定する場合を除いては、公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。

少しわかりにくいですが,公判期日における供述に代えて書面を証拠にする場合とは,公判で供述ではなく書面を提出して証拠とする場合のことです。そして,公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠にする場合とは,公判で「〇〇が『~~』と言ってました」という『~~』の内容を証拠とする場合のことです。

これらは伝聞法則により証拠とすることができないというわけですね。ではなぜ証拠とすることはできないのかをみてみましょう。

なぜ証拠とすることはできないのか?

まず,供述でも書面でも基本的にどのような過程を経るのかを見てみましょう。

上図のように基本的に,ある人が供述する(もしくは書面に起こす)場合は,知覚→記憶→表現→叙述の過程を経ていきます

では伝聞だとどのようなことが起こるのか見てみましょう。

伝聞ではその内容を話す(書く)人は法廷には来ないのでその人に対して反対尋問をすることができません。またその者に対して宣誓を行させたり,その者の挙動を裁判所が観察することができません。よって,このような伝聞で得られた内容は真実性に欠けるから証拠とすることができないというわけです。

一般的に,第三者の供述「〇〇さんが『~~』って言ってましたー」という『~~』の内容を証拠とすることや,第三者の文書「〇〇があった」という文書だけをその者の供述なくして証拠とすることはできないというわけです。反対尋問等ができず真実性担保手段が薄いためですね。

非伝聞となるパターン

典型的例

一見,伝聞のように見える場合でも非伝聞とされる場合があります。たとえば法廷でAさんが「Bさんが『XがVを殺害しているのを見た』と言っていた」と主張した場合を考えてみましょう(書面の場合は「Bは『XがVを殺害しているのを見た』と証言した」という場合)。

この場合,伝聞法則によれば『XがVを殺害しているのを見た』という内容から『XがVを殺害した』という内容の証拠として扱うことはできませんB自身に反対尋問等の真実性保障機会を与えられないためです。

存在自体を証拠にする場合

しかし,『XがVを殺害した』という内容ではなく,「Bが『XがVを殺害しているのを見た』と言った」こと自体,Bの供述が存在したこと自体を証拠とすることはできます。

上図によればAの部分=反対尋問の機会等が保障された過程の部分で完結するためです。

 Bの供述を聞いたこと自体=Bの供述の存在自体を証拠とする場合は伝聞法則には該当せず非伝聞なので普通に証拠として扱うことができます

供述時の心理状態

さらに,心理状態の証明であれば伝聞証拠に該当しないとされています。どういうことか↓の図を見てみましょう。

Xさんが日ごろからVを殺害したいと思っていたというような心理的状況を証拠としたい場合はXさんについては表現,叙述の過程を経ません。供述ではなく心理状態だからです。

ただし,供述時の心理状態でない過去の心理状態であれば伝聞証拠になるので注意しましょう。

すると,表現叙述の過程を経ないため,誤謬の危険性が少なく真実性が担保されやすいからです。

非伝聞のまとめ

以上のように存在自体を証明として利用する場合心理状態を証明として利用する場合は伝聞にはならず非伝聞となります。

基本書等では伝聞に該当しない場合として様々なパターンが主張されていることがありますが,元をたどればこの2パターンのどちらかに収束されると思います。

特に存在自体を証明対象にするパターンの場合は,その存在を利用して認識を証明したり,状況証拠として証明したりするのでいろいろな場合が出てきます。注意しましょう。

まとめ

以上,伝聞法則についてみてきました。

結局,非伝聞になる場合は①存在自体の証明の場合と②心理状態の場合ってことだねー。基本書等でいろいろ言われている場合はこの2つをより細かくしただけってことがわかりました。

法上向
法上向

これで伝聞法則も恐るるに足らずだな。

①供述や書面は知覚→記憶→表現→叙述の過程を経る。
②この過程より反対尋問等がなければ真実性が損なわれるので伝聞法則がある。
③非伝聞となるのは,存在自体を証明に使うパターンと供述時の心理状態を証明につかうパターンである。

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

刑事訴訟法の参考文献として「事例演習刑事訴訟法」をお勧めします。はじめての方にとっては解説が大変難しい問題集ですが,非常に勉強になるものです。また,冒頭にあります答案作成の方法について書かれた部分については,すべての法律について共通するものなのでぜひ読んでほしいです。自分も勉強したての頃にこれを読んでいれば……と公開しております。

最初は学説の部分はすっとばして問題の解答解説の部分だけを読めばわかりやすいと思います。冒頭の答案の書き方の部分だけでも読む価値はあるのでぜひ参考にしてみてください。

 

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