安心!株式の譲渡で押さえるべきポイントがまるわかり【会社法その8】

株式譲渡商法
法上向
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今回は株式の譲渡をやっていこうと思う!

株式の譲渡って会社の種類や対抗要件,不当利得とかでてきて混乱します。

法上向
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たしかにな。ただし要点は意外と少ないぞ。学説に翻弄されず見ていこうか。

株式会社は株式を発行していますが,株式は譲渡することができます。そうでなければ証券会社とか株価の変動とか成り立たないわけです。会社法には株式の譲渡についての規定がいくつかあります。今回はそれらについて解説していけたらいいなー,と思います!

株式の譲渡のポイント

株式の譲渡は会社の種類をよく理解しておくことが重要です。よって,以下のポイントの流れで説明します。

①公開会社,非公開会社について理解する。
②それぞれで株式の譲渡の違いを理解する。
③失念株について理解する。
それではやっていきましょう!

公開会社と非公開会社の性格の違いを理解してあげて

公開会社,非公開会社とは何か?

株式の譲渡は公開会社と非公開会社でとるべき手続が大きくことなります。まずは公開会社,非公開会社とは何かを説明していきます!

会社法であまりなじみのない言葉は2条に定義が書かれている場合が多いです。会社法2条は定義集だと覚えておくといいと思います。2条5号にこのような条文があります。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
五 公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。
少しわかりにくいですが,かみ砕くと,全部または一部の株式が自由に譲渡できる会社を公開会社というわけです。

我々が一般的に思い浮かべる有名企業,上場会社はすべて公開会社ですので,会社の株式を自由に譲渡(売買)できます。なので証券会社が存在し,株価もよく変動するんですね。

一方で,そうでない会社を会社法上は「公開会社でない会社」という言い方をします。しかし,ここではわかりやすく非公開会社と言いたいと思います。

非公開会社は,会社の承認がないと株式を譲渡(売買)できません。株式を変な人に渡してほしくないという思いが込められた会社というわけです。

わかりやすい覚え方

しかし,なかなか理解しづらいと思います。なのでこう考えるようにしましょう!

公開会社は,友達に囲まれたワイワイ系が好きな人のイメージです。広く浅い関係を目指します。多くの人と友達になって交友関係を広げたいのです。そのため,「株式の譲渡は自由にしてくれ。みんな友達さ!」を持っているとイメージしてみてください。

公開会社

公開会社

非公開会社は,狭く深い関係です。信頼できる人としか友達になりません。しかしいったん友達になれば親友となります。そのため,知らない人に株式を渡してほしくありません。株式を渡すなら確認してほしいのです。

非公開会社

非公開会社

このように公開会社と非公開会社では,株主と会社の関係が大きくことなります。これを意識して,いよいよ株式の譲渡の場面を見ていくことにします。

公開会社は自由に株式を譲渡できる会社である。
非公開会社はすべての株式が譲渡について承認の必要な会社である。

株式の譲渡は,性格と対抗を考える

公開会社は名義書換えを見よ

まず,公開会社の方を考えます。公開会社は広く浅い人間関係が好きでしたよね。

株式譲渡に際して会社の承認は必要ありません。なので自由に譲渡でき,譲渡は有効となります。しかし,ただ譲渡した場合,会社は譲渡の事実を知らないのが普通です。「え,株式譲渡したの?知らなかったわー」と後になって言われても困ります。そこで,会社に「譲渡しましたよー。株主が変わりましたよー。」ということを伝える必要があるのです。これを株主名簿書換えと言います。

条文は130条です。

(株式の譲渡の対抗要件)
第百三十条 株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。
2 株券発行会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする。
2項は株券発行会社についてですが,株券発行会社はあまりないので今回は大きく取り上げせん。株券発行会社の場合は株券を渡すことで譲渡されることになります。この点だけ覚えておけば大丈夫でしょう。

株主名簿書換えを行うことでようやく,「会社に私が株主です」と会社に対して譲受人は主張できるようになるのです。

では,株主名簿書換えをしていない場合について考えてみましょう。株主名簿書換えをしていない場合,会社はどちらを株主として扱うべきでしょうか。

なんと!会社はどちらでも株主として扱うことができるとされています。さすがワイワイ系ですね。

ただし,恣意的に扱うことができないとされています。この場合は譲渡人を株主として扱って,この場合は譲受人として扱って……,というような行為や,どちらも株主として認めない!どちらも株主として認める!というような身勝手な行為はできないといわけです。

どれほど友達を多く作りたくても,親しき中にも礼儀ありということですね(笑)。

非公開会社は譲渡無効

続いて,非公開会社についてです。非公開会社は,狭く深い人間関係が好きなタイプでしたよね。なので株式の譲渡には会社の許可が必要です。にもかかわらず,許可を得ずに株式を譲渡した場合は許さないわけです。つまり,譲渡は無効となります。株主名簿書換えとか関係ないわけです。

会社に承認を得ていない場合は,譲受人は会社にとって知らない人でしかないので,会社は譲渡人を株主として扱うことしかできないことになります。信用できない人を迎え入れるのは嫌なのですね。

まとめ

以上,株式譲渡についてみてきました。会社が公開会社か非公開会社かによって大きく扱いがことなるので,まず会社の性格をみてあげてから株式譲渡の問題に対処するようにしましょう!

株式の譲渡は会社が公開会社か非公開会社かによって扱いが異なる。
公開会社の場合,譲受人は株主名簿書換えを行わなければ自身が株主であることを主張できない。一方で会社はどちらでも株主として扱うことができる。ただし恣意的な扱いはできない。
非公開会社の場合,そもそも会社の承認なしに株式を譲渡することはできず,承認がない場合は無効となる。

失念株問題は金を払ったかどうか

失念株問題とは

今まで見てきたのは譲渡人,譲受人と会社との関係性でした。次は,譲渡人と譲受人との関係を見ていきましょう。

株式の譲渡について,株主名簿書換えを忘れた場合を考えてみます。株主名簿書換えを忘れたままの状態の株式をかっこよく失念株と言います。

会社側はもちろん,譲渡の事実を知っていれば,どちらでも株主として扱えるんでしたよね。知らなければ譲渡人を株主として扱うことになります。そのため,知らない場合は,配当金(株主に給付されるお金)や株主総会招集通知などは譲渡人へ送られるわけです。

ここで問題があります。譲受人は「株式の譲渡は有効だろ?その権利は自分にある!ただ名義書換えを忘れてただけ!」と言って,譲渡人に対して返還請求をするのです。これを不当利得返還請求と言います。

学説なんて関係ない。ポイントは出捐してしたかどうか

何が不当利得返還請求できて何ができないか,学説で違いがあります。簡単に言うと,剰余金配当はは不当利得返還請求ができるとされていますが,株主割当による新株発行は学説は不当利得返還請求できるとするのに対して,判例はできないとしています。しかし,株主分割の売買代金については譲受人が返還請求できるとした判例もあります。

何が何だかわかりませんね。ここでは判例に沿って考えてみます。判例の考えは一貫しています。譲渡人が出捐しているかどうか(お金を払っているかどうか)を見ているのです。譲渡人がお金を払っておらず利益を得ている場合は譲受人は不当利得返還請求ができると考えているだけなのです。すごく単純でわかりやすいですね。

少々わかりづらい図になってしまいましたが,結局失念株問題は,譲渡人が得た利益が,譲渡人の出資によるかよらないのか,譲渡人が出資していない=タダでもらっているのであれば譲受人は不当利得返還請求をすることができる,と言っているだけなのです。

失念株は会社との関係ではなく,当事者間との関係である点に注意しましょう!

失念株問題は,判例の考えに沿うのであれば,譲渡人が出捐したかどうかを考える。出捐していないで得た利益は譲渡人が返還請求することができる。

まとめ

株式の譲渡は,会社の性格をよく理解することから始まります。そして対会社関係,対当時者関係(失念株問題)を考えていけばよいのです。

①会社には公開会社と非公開会社がある。公開会社は株式譲渡は有効である。譲受人は株主名簿書換えをすれば会社に対抗できる。一方,会社は株主名簿書換えにかかわらず譲受人を株主として扱うことが可能である。ただし恣意的な扱いをすることはできない
②非公開会社の場合は,会社の承諾のない株式譲渡は無効である。よって会社は譲渡人を株主として扱うしかできない。
③株式譲渡が有効な場合,会社が譲渡人に与えた利益は,それが譲渡人の出捐によるものでなければ譲受人に帰属するため,返還請求することができる。
読んでくださってありがとうございました。ではまた~

参考文献

会社法の基本書はどれも難解だと思います。問題で論点をつかみながら理解するとよいです。そのため解説の詳しい問題集を載せておきます。参考にしてみてください!

商法
はじめての法
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