民法改正対応!養子縁組とは?条文から総まとめ【契約法その5】

養子縁組民法

養子縁組ってなかなか想像しづらいんですよね。

毎回勉強を避けちゃいます(汗)。

法上向
法上向

たしかに、養子縁組は婚姻に比べて身近ではないから勉強が手薄になってしまう分野だね。しかし婚姻の考え方が多く取り入れられているから婚姻がわかっていればそれほど気にする必要はないよ!

この機会にまとめてみようか。

養子縁組は日常であまり目にすることが少ないため、イメージしづらいと思います。しかし実際は婚姻や離婚の考え方が多く取り入れられているため、簡単に理解できる分野なのです。

では、どこが婚姻や離婚と同じで、どこが養子縁組独自の考え方なのか?

この答えを目標にして、以下解説していこうと思います!

養子縁組のポイント

まず普通養子縁組の成立場面を確認しましょう。どういった要件、手続をとれば普通養子縁組をつくることができるのか、詳しくみていきます。

その後、養子にはどのような効果が認められるかを確認します。

そして離縁について解説します。民法の離婚と同じように考えるうえで、離縁についての違いをしっかり押さえていきましょう。

最後に特別養子縁組について確認しましょう。これはあくまで「特別」な場合なので例外です。普通養子縁組との違いだけを簡単に押さえるにとどめます。

①普通養子縁組の要件・手続について理解する。
②養子縁組の効果について確認する。
③離縁について理解する。
④特別養子縁組について知る。

それではいきます!

普通養子縁組

単独縁組+配偶者の同意が原則

養子縁組は養子と養親との間の契約です。原則としてその人同士で縁組をすることができます。この場合想定されているのは養子が成年の場合です。

あまり想像できないかもしれませんが、日本の民法は大人を養子にして養子縁組をすることを認めています。これが民法の家族法の規定の原則なわけです。

成年であれば養親になることができます

(養親となる者の年齢)
第七百九十二条 成年に達した者は、養子をすることができる

ただし、養親に配偶者がいる場合は、配偶者の同意を得なければならないとしています。

(配偶者のある者の縁組)
第七百九十六条 配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。

普通養子縁組の基本は単独縁組+配偶者の同意というのをしっかり意識しておきましょう。

未成年養子の場合には共同縁組

未成年者を養子とする場合には配偶者も養子縁組に入らなければならないことが原則となっています。民法795条です。

(配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組)
第七百九十五条 配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。

また、未成年者の養子縁組の場合には、民法795条ただし書にも注意しましょう!

特に、配偶者の嫡出子である子を養子にする場合には夫婦共同縁組をする必要はありません。すでに嫡出子と配偶者との間で親子関係があるためですね。

ここで想定されているのは再婚の場面です。1度結婚して子どもができたが離婚し、そして別の人と結婚する場面ですね。この場合、子どもとの関係では親子関係が発生しているので、再婚相手はその子どもと養子縁組を結びさえすれば、共同養子縁組でなくても養子縁組が認められることになります。

未成年養子

さらに未成年養子の場合には15歳未満の場合法定代理人の承諾(民法797条)、18歳未満の場合家庭裁判所の許可が必要とされています(民法798条)

(十五歳未満の者を養子とする縁組)
第七百九十七条 養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる
2 法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも、同様とする。
(未成年者を養子とする縁組)
第七百九十八条 未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。

これをまとめますと、

未成年養子の場合には、原則として、他方配偶者とともに養子縁組を結び(共同養子縁組)、その養子が15歳未満であれば法定代理人の許可を、18歳未満であれば家庭裁判所の許可をとることになる

わけです。

未成年者養子の図

養子縁組の要件

養子縁組の要件は婚姻の場合と同様に考えることができます。婚姻で学習したことを思い出してみましょう。

>>>家族法の婚姻の要件を詳しく解説!【家族法その1】

基本的には①縁組意思と③届出があれば養子縁組は成立します。もちろん、婚姻の場合と同様に②縁組障害事由がなければ届出を受理してもらえないため(民法800条)、これも要件ととらえることができるでしょう。

縁組意思については婚姻と同様に考えると実質的意思説(実質的に婚姻(共同生活)をおくる意思)が必要でしたが、縁組意思も基本は実質的意思説的な考え方に立ちます。ただし判例には節税のために養子縁組をする場合でも縁組意思を認めたものがあります。

これは縁組制度の運用の仕組みによるものだと考えます。縁組は婚姻と違って様々な理由が考えられますよね。「愛しているから」でなくとも「養子を助けたいから」とか「後見人をもっと保護したいから」とか「相続させたいから」とか「婚姻制度が認められていないから(同性婚)」といったように様々です。そのため、婚姻よりも縁組意思が認められる範囲が広いと考えることができるわけですね。

民法799条民法800条を見てみましょう。

(婚姻の規定の準用)
第七百九十九条 第七百三十八条及び第七百三十九条の規定は、縁組について準用する。
(縁組の届出の受理)
第八百条 縁組の届出は、その縁組が第七百九十二条から前条までの規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。

民法799条で準用されている民法739条は、婚姻の届出の規定でした。婚姻の考え方がそのまま適用されます。

養子縁組の効果

養子縁組の効果はほとんど親子関係と変わりません

嫡出子の身分を取得し(民法809条)、親族関係が発生します。扶養義務や氏についても親子関係と同様に考えることができます。この機会に親子関係についても復習してみましょう!

>>>親子関係の成立について詳しくまとめた記事【家族法その4】

養子縁組の無効・取消し

養子縁組の無効・取消しは婚姻認知と同様に考えることができます。届出によって権利・義務・法律関係が発生するために無効や取消しが認められているのでした。

縁組の無効
第八百二条 縁組は、次に掲げる場合に限り、無効とする
一 人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。
二 当事者が縁組の届出をしないとき。ただし、その届出が第七百九十九条において準用する第七百三十九条第二項に定める方式を欠くだけであるときは、縁組は、そのためにその効力を妨げられない。
縁組の取消し
第八百三条 縁組は、次条から第八百八条までの規定によらなければ、取り消すことができない。
養親が未成年者である場合の縁組の取消し
第八百四条 ……
養子が尊属又は年長者である場合の縁組の取消し
第八百五条 ……
後見人と被後見人との間の無許可縁組の取消し
第八百六条 ……
配偶者の同意のない縁組等の取消し
第八百六条の二 ……
子の監護をすべき者の同意のない縁組等の取消し
第八百六条の三 ……
養子が未成年者である場合の無許可縁組の取消し
第八百七条 ……
(婚姻の取消し等の規定の準用)
第八百八条 第七百四十七条(詐欺又は強迫による婚姻の取消し)及び第七百四十八条(婚姻の取消の効力)の規定は、縁組について準用する。この場合において、第七百四十七条第二項中「三箇月」とあるのは、「六箇月」と読み替えるものとする。
2 第七百六十九条及び第八百十六条(離縁による復氏)の規定は、縁組の取消しについて準用する。

条文の条見出しをみつつ婚姻の無効・取消しとほぼ同様の作りになっていることが確認できれば大丈夫でしょう。あまり縁組の無効・取消しについては論述ではもちろんのこと、短答でも問われないからです。

この点を理解するためには婚姻の無効・取消しをしっかり理解することが重要ですし、婚姻の無効・取消しの方が試験に出題されます!よって婚姻の無効・取消しを復習する機会に使っちゃいましょう!

>>>婚姻の無効・取消しを基礎から理解する!【家族法その1】

離縁

離婚の考え方と同様

離縁は離婚と同様の条文構造・考え方をとります。さらに離婚の方が短答に出題されやすいです。そのため、離婚の考え方についてしっかり理解していれば、離縁については軽く知っておく程度で大丈夫だと思います。

特に離婚の考え方を押さえるようにしましょう。離婚を押さえずして離縁に飛びつかないようにしてください!

>>>絶対に押さえるべき離婚の考え方【家族法その2】

協議離縁

離婚と同様、離縁には協議離縁裁判離縁があります。まずは協議離縁を見てみましょう。

離縁意思と届出によって離縁をすることができます民法811条1項民法812条による民法739条準用です。

(協議上の離縁等)
第八百十一条 縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。

婚姻の規定の準用)
第八百十二条 第七百三十八条、第七百三十九条及び第七百四十七条の規定は、協議上の離縁について準用する。この場合において、同条第二項中「三箇月」とあるのは、「六箇月」と読み替えるものとする。

未成年養子の離縁

ここで養子縁組の場合と同様に未成年の場合には少し慎重に行く必要があります

未成年者が15歳未満の場合には法定代理人との間で協議をしなければなりません民法811条2項です。

(協議上の離縁等)
第八百十一条 
2 養子が十五歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする
3 前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
4 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項の父若しくは母又は養親の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
5 第二項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。

未成年養子の場合に15歳未満であれば法定代理人の承諾が必要になったのと同じですね。

また、養親夫婦と未成年養子が離縁する場合には共同で離縁する必要があります民法811条の2です。

(夫婦である養親と未成年者との離縁)
第八百十一条の二 養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには、夫婦が共にしなければならない。ただし、夫婦の一方がその意思を表示することができないときは、この限りでない。

未成年養子の場合には共同養子縁組が原則でした。そして一方の養親が離縁しようとしても他方の養親は養子と離れたくないことがあるかもしれません。そのため、未成年養子と離縁する場合には夫婦共同で離縁しなければならないというわけです。

死後離縁

やや細かいですが、養親や養子の一方が死亡した場合であっても離縁は認められています。ただし家庭裁判所の許可が必要という点は短答知識として押さえておきましょう。民法811条6項です。

(協議上の離縁等)
第八百十一条 
6 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。

裁判離縁

裁判離縁も離婚と同様に考えることができます。条文だけ確認しておけば大丈夫でしょう。民法814条の規定になります。裁判離婚と異なってあまり論点がなく試験でも問われにくいです。

(裁判上の離縁)
第八百十四条 縁組の当事者の一方は、次に掲げる場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。
一 他の一方から悪意で遺棄されたとき。
二 他の一方の生死が三年以上明らかでないとき。
三 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
2 第七百七十条第二項の規定は、前項第一号及び第二号に掲げる場合について準用する。

特別養子縁組

特別養子縁組とは何か?

最後に特別養子縁組について確認してみましょう。

特別養子とは何か?

この答えは条文にあります。民法817条の7です。

(子の利益のための特別の必要性)
第八百十七条の七 特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。

子の利益のために特に必要があると認められた場合が特別養子縁組というわけです。

これまでみてきた普通養子縁組はあくまで成年が養子となる場合を想定していましたが、特別養子縁組は「厳格」に養子の要件が定められています。また「厳格」に養親の要件も定められているのです。

この「厳格さ」を意識して特別養子縁組の規定を見ていきましょう。

特別養子縁組の要件

特別養子縁組の厳格さは要件に現れます。子どもがSOSを出している状態でなければ特別養子縁組は認められないためです。

〈特別養子縁組が認められる場合〉
①養親は25歳以上(一方が25歳以上であれば他方は20歳以上であればよい)(民法817条の4)
②養子は15歳未満(15歳未満から養親となる者に看護されていた場合には18歳未満でも可。ただし15歳以上の場合にはその子の同意が必要((民法817条の5)
③原則として養子となる者の父母の同意が必要(民法817条の6)
④父母によるの監護が著しく困難または不適当であること(民法817条の7)
⑤この利益のために特に必要があること(民法817条の7)
⑥養親となる者の6か月以上の監護状況の考慮(民法817条の8)
⑦家庭裁判所の審判(民法817条の2第1項)

上記①~⑦をすべて満たさなければ特別養子縁組は成立しません非常に厳格であることがわかります。

なんで特別養子縁組ってこんなに厳格なんですか?

法上向
法上向

それは普通養子縁組と違ってもとの夫婦との関係性を断つからだよ。完全に親子関係が養子夫婦へ移転するんだ。

戸籍上も実の嫡出子とほぼ同様の記載がされる。

つまり特別養子縁組は養子を完全に新しい家族のもとへ移転させるものなんだよ。だから新しい家族関係を形成していいか慎重に判断しているわけだね。

普通養子縁組の場合は、元の父母との関係性は維持されるから、たとえ養子縁組が嫌になれば戻れる家庭がある。そのため、要件が緩いわけね。

特別養子縁組は原則として離縁が認められていません(例外は民法817条の10)。新しい家庭を築くという非常に重要な効果をもたらすものであるがゆえに要件が非常に厳格なのです。

まとめ

養子縁組についてみてきました。いかがだったでしょうか。

試験対策としては普通養子縁組についてしっかり押さえておくべきでしょう。特に普通養子縁組かつ未成年養子のパターンです。

もう一度、図のまとめを掲載しておきます。

普通養子縁組・未成年養子

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

家族法は大きな改正がなされており、改正に対応した基本書・参考書はまだ少ないです。今回は改正に対応したもののなかでわかりやすい、大村先生の家族法をおすすめします。

初学者にもわかりやすく書かれており、分量もそれほど多くないため、取り組みやすいと思います。

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