改正対応!債務不履行とは何か?わかりやすく解説【債権総論その4】

債務不履行民法

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法上向
法上向

いよいよ、債権総論っぽい分野に入っていこうと思う。

債務不履行って簡単じゃないんですか?

法上向
法上向

いや、債務不履行は意外と奥深い分野だぞ。ここをしっかり押さえないと、今後の損害賠償につながっていかないからな。はりきっていこう。

債権をちゃんと履行しない場合、債務不履行になります。債務不履行になると、損害賠償や解除ができるようになるのです。

つまり、債務不履行がすべての問題の始まりといえます。ではその債務不履行はどういった場合に生じるのかしっかり理解する必要があるのです。

この回では、債権の問題の前提となる債務不履行について、わかりやすく整理していこうと思います。

債務不履行のポイント

債務不履行の条文を確認しましょう。その中でよく出題される履行遅滞履行不能について説明していきます。

その後に、債務不履行になった場合の対処方法について軽く説明します損害賠償と解除については別の回に話を譲るので、今回は債務不履行になった場合の対処方法についてざっと確認する程度です。

①条文から債務不履行の意味をつかむ。
②履行遅滞と履行不能について押さえる。
③債務不履行の場合の対処法について知る。

それではみていきましょう。

債務不履行とは何か?

民法415条1項から債務不履行の意味をつかむ

債務不履行の意味は条文に書いてあります。そのため、あまりしっかり覚える必要はありません。損害賠償の条文を見てみましょう。民法415条1項です。

(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

債務不履行による損害賠償では、債務不履行が要件の1つとされることが多いので、条文に債務不履行の内容が表れることになります。

条文より、

債務不履行とは、債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるとき

であることがわかりますね。

もっとわかりやすく言えば

債務不履行とは、債務者がちゃんと履行しないとき or 履行不能の場合

ということです。

よく債務不履行として履行遅滞と履行不能って聞くけど、債務不履行=履行遅滞or履行不能ってことなの?

法上向
法上向

それはちょっと違うな。債務不履行は別に履行遅滞や履行不能だけじゃないんだ。よく条文を確認してみよう。

「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき」
とあるよね。つまり、履行期に履行したけど、その目的物に傷がついていたなどちゃんと履行をしていない場合はすべて債務不履行に含まれるというわけさ。

よく勘違いしてしまいがちな点ですが、債務不履行=履行遅滞or履行不能ではありません。

あくまで
債務不履行=ちゃんと履行しない場合+履行不能です。このちゃんと履行しない場合の中に履行遅滞(履行期に遅れた場合)や契約不適合(目的物の数量や品質が契約内容と異なる場合)などが含まれることになります。

改正法に代わり条文もかなりわかりやすくなっているので、条文の文言をしっかり理解するようにしましょう。

以上を前提に置いたうえで、債務不履行の代表的な例である履行遅滞履行不能について考えていきます。

履行遅滞は履行が遅れている場合

債務不履行でよく出てくるのが履行遅滞です。履行期に履行しない→履行が遅れている場合を履行遅滞といいます。

一応、条文があるのでみてきましょう。民法412条です。

(履行期と履行遅滞)
第四百十二条 債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う
2 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。
3 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う

見てもらえばわかるように、履行期がない場合であっても履行の請求を受けた場合には履行遅滞になるということがわかります(民法412条3項)。

とはいえ、通常、契約による債権では履行期が定められます。よって問題になるのは民法412条1項です。

たとえば売買契約では「絵画を代金100万円で売る。引渡日は令和3年4月1日とする。」というような形です。

この場合、売主は絵画の引渡義務を負います。逆に言えば、買主は絵画の引渡請求権を持ちます。そして履行期は令和3年4月1日となりますから、その期日までに履行しなければ、売主は債務不履行ということになります。

これが履行遅滞です。

履行遅滞の場合の代表的な対処法を先出ししときましょう。

履行遅滞の場合にもっともメジャーな対処法は履行請求+損害賠償です。

買主側から「早く履行しろ~!」という履行請求と「遅れた分賠償しろ!」という損害賠償(遅延賠償)を請求できます。

別の解決策としては解除+損害賠償というものもありえます。

要件を満たせば債務不履行で解除が可能であり、解除したら原状回復がありますが(代金が返ってくる)、それに加えて損害賠償(債務が履行されていれば得られたであろう利益)を請求することができるというわけです。

とはいえ、まだ損害賠償も解除の習っていない方は、とりあえず

債務不履行の中の履行遅滞は履行期に遅れること

という風に覚えておけば大丈夫でしょう。

履行不能は民法412条の2を見よ

履行不能については、先ほどの債務不履行の文言(民法415条1項)とは別に規定が新設されました!

民法412条の2です。

(履行不能)
第四百十二条の二 債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。
2 契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、第四百十五条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない。

履行不能の規定はこれまでにはない完全新設の規定です。履行不能がどういった場合に生じるのかを規定されています。

フィーリング的には履行不能は、目的物ば滅失したなど、「物がなくなったからしょうがないだろ!」というような場合にしか生じないように感じるかもしれませんが、そうではなく契約や社会通念に照らしてどうしようもない場合には履行不能としてよいというわけです。

さらに、これまでの判例を踏まえて履行不能となるパターンを場合分けすると以下のようになります。

〈履行不能のパターン〉
①物理的不能
②法的不能
③契約上・社会通念上不能
④過分の費用による不能

①物理的不能とは、我々が想像する一般的な履行不能です。目的物が滅失、壊れた場合などです。
②法的不能とは、二重譲渡の第1譲受人の場合など法律によって履行できなくなったパターンです。
③契約上・社会通念上不能とは、履行できないこともないけれど契約的や社会通念上、履行不能としていいんじゃない?というようなパターンです。
④過分の費用による不能とは、履行できないことはないけれど履行しようと思ったら過分の費用が掛かってしまう、というような場合です。

以上をみてわかるように、民法412条の2は①~④すべてのパターンを含んでいることがわかります。もっといえば、契約・社会通念上不能を広く考えれば①~④すべてのパターンを含むようになるということです。

このため、改正民法の下では、契約解釈が非常に重要になってくることがわかります。当該契約が何を目的として何の義務を想定したものかを個別的に考えて、履行不能になるのか検討していくとうわけです。

とはいえ、試験問題として出題される場合は①物理的不能(滅失など)がほとんどなので最初のうちはそれほど気にしなくて大丈夫でしょう。

また、物の引渡しを目的とする債権の場合は特定していなければ(種類債権のままでは)履行不能にはならないことや金銭債権では履行不能はありえないことなどは復習として頭に入れておきましょう。

さて、履行不能になった場合の対処法もここであらかじめ披露しておきます。

履行不能になった場合は民法412条の2第1項にあるように履行請求をすることはできません。そのため、解除損害賠償を考えるしかなくなります。

とりあえず覚えておくべきは

履行不能の場合は民法412条の2を見る。履行不能の場合は履行請求はできない。

という条文に規定された通りのことです。民法改正してくれてありがとう!って感じですね。

債務不履行の場合の対処法

さて債務不履行の場合だけを覚えていても何にもなりません。債務不履行になった場合に債権者がどうすることができるか?どうすべきか?が一番の法的解決になるからです。

債務不履行の際に考えるべきものは3つあります。

①履行請求
②損害賠償
③解除

です。③解除については債権各論の分野なので詳しい説明は省略し、①履行請求についてはあまり問題にならないため、債権総論で問題とすべきは②損害賠償ということになります。

損害賠償については次回に詳しく説明しますが、

本旨に従った履行をしない場合と履行不能の場合とでは要件が異なることがあります(民法415条1項2項の違い)。そのため、履行不能かどうかというあてはめは非常に重要になってくるのです。

また履行不能の場合には上記①~③のうち①履行請求は使えません(民法412条の2第1項)。この点も大きな違いといえるでしょう。

まとめ

以上、債務不履行についてみてきました。

民法改正によって非常に勉強しやすくなったと思います。条文に、意味が書いてあるからです。そのため、どこの条文に書いてあるかさえ覚えれば大丈夫だといえます。

どこの条文に何のことが書いてあるか確認してみましょう。

まず、債務不履行については民法415条1項をみます。債務をちゃんと履行しない場合と履行不能の場合が債務不履行というのでした。

次に、履行遅滞については民法412条をみます。ほとんどは履行期の定めがあるので民法415条1項です。

次に、履行不能については民法412条の2をみます。契約が大事になったんでした。

これで債務不履行マスターですね!

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

債権総論では初学者にもおすすめのとてもわかりやすい基本書があります。有斐閣ストゥディアの債権総論です。

改正民法に完全対応ですし、事例や図解、章ごとのまとめもあるのでとてもわかりやすい基本書になっています。ぜひ読んでみてください。

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