民法改正の無権代理の考え方をわかりやすく解説してみた。【民法総則その7】

無権代理民法
法上向
法上向

代理権編2回目ということで,無権代理をやっていくぞ!

代理権編2回目は無権代理です。有権代理が認められない場合は前回やりました。その場合のほとんどが「代理権を有しない者がした行為とみなす」となっていたと思います。つまり,無権代理の問題がスタートするのです。また,代理権が与えられていない場合も無権代理となります。

無権代理は他の法律ともかかわるものですので,しっかり押さえていきましょう!

無権代理のポイント

無権代理は何といっても117条と相続の2つが大きな論点となります。あとは軽く押さえます。

①無権代理の場合の処理を理解する。
③無権代理と相続について押さえる。
ではいきましょう!

無権代理は本人に対して効力なし

無権代理の効果

無権代理は前回の法律の規定により無権代理とされる場合の他,代理権がない場合が当てはまります。無権代理の効果については民法113条に規定されています。

(無権代理)
第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。
無権代理は原則,本人に対して効力が生じなくなります。これは前回の図の本人帰属がなくなるというわけです。
この場合,本人が追認もしくは追認拒絶することができる点を押さえてください。つまり,本人としては
代理行為を認めて追認して,自身に効果を帰属させてもいいわけです。追認については民法116条に規定されているのでそちらをご覧ください。

ここで相手方の立場になってみましょう。行った法律行為が無権代理だった場合,どうしたいと思いますか?本人が追認するか拒絶するか早く決めてほしいですよね。そこで相手方は催告権があり民法114条に規定されています

さらに,相手方は,こんな無権代理のような関係からは離脱したいと思うかもしれません。そのため,相手方は取消権を持つのです。このことは民法115条の規定されています。

以上は,本人や,相手方からの関係でした。では,一番悪い奴=無権代理人はどのように成敗されるのでしょうか。見ていきましょう。

無権代理人は民法117条により成敗

無権代理人は相手方から履行もしくは損害賠償責任を負います。民法117条1項です。

(無権代理人の責任)
第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
個々でのポイントは,相手方が選ぶということ。なかなか生々しいですよね。無権代理人に対して「お前よくもやったなー。どう責任とってくれようか。履行請求しよっかなー。いや,損害賠償請求しよっかなー。」という風に遊べるわけですね(笑)。

ただし,物に対して,本人が追認拒絶した場合は注意してください。

相手方が履行の方を選んで,代理人に対して履行請求をしたとします。しかし,本人は追認拒絶して「物をわたさない」と言っていたわけです。

この場合はさすがに本人の意思の方が優先されて,履行請求はできないことになり,相手方は損害賠償請求をすることになります。

つまり,あくまで代理人ができる範囲で,相手方は履行か損害賠償か選択できるのです

117条は意外と認められない?

しかし,117条は2項により意外と制限されています。2項は条文を見れば理解できると思います。

2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

つまり,代理人が無権代理人であることについて相手方が善意(1号),過失(2号)がある場合は代理人に対して責任追及できないのです。さらに,例外の例外として,相手方が過失であっても,代理人が自分が無権代理であることについて悪意である場合は原則に戻り117条1項の責任追及ができるようになります。

一見複雑な規定ですが,条文はしっかりしているので,あえて覚えておく必要はないでしょう。

無権代理は原則本人に対して効力を生じない。本人は追認,追認拒絶をすることができる。そのため,相手方は催告権,取消権をもつ。
無権代理人は相手方に対して民法117条1項より責任をもつ。例外(117条2項)には注意する。

単純な代理の山場は相続

表見代理以外で,代理でよく出る論点が無権代理と相続が絡むパターンです。こちらが学説の対立もありますが,通説で書いていきたいと思います。

本人→無権代理人相続の場合

無権代理と相続が絡む場合というのは,たとえば,本人が亡くなり,無権代理人が相続した場合です。この場合,無権代理人は無権代理人としての地位と本人としての地位どちらも併存しているものと考えます。

もっとわかりやすく言うと,無権代理人は本人のスタンドを得たというわけです(逆にわかりにくい笑)。

上図がわかりますでしょうか。本人は本来,追認または追認拒絶,無権代理人は履行または損害賠償ができる存在でした。無権代理人が本人の地位を相続したので,無権代理人は本人のスタンドを使い追認もしくは追認拒絶できるようになるのです!

しかし,これには留意点があります。無権代理人は本人のスタンドの追認拒絶だけは使えないという点です。さっきと矛盾しているように感じるかもしれませんが,これは理由を考えてみればわかります。

無権代理人は代理権もないのに自分で無権代理行為をしたわけです。なのに,本人の地位があることをいいことに追認拒絶するのはおかしいとは思いませんか?「自分のやった行為は悪いことでしたー」と認めるようなものですよね。これでは相手方は激怒です。

よって,無権代理人は本人の地位を利用して,追認拒絶を信義則上主張できないことになります

無権代理人→本人相続の場合

今度は逆を考えてみましょう。無権代理人が亡くなり,本人が相続したパターンです。

この場合は,本人は追認もしくは追認拒絶を主張できますが,無権代理人のスタンドを使えば相手方は履行請求もしくは損害賠償請求ができます。

ここで注意が必要なのは,本人が追認拒絶をした場合です。この場合,本人は履行をしたくないから追認拒絶をしたと考えられますが,無権代理人のスタンドがいらないことをするのです。相手方は無権代理人のスタンドを利用して本人に対して損害賠償請求ができるのですただし,本人追認拒絶のとき相手方は履行請求できませんでした。なのでこの場合もさすがに相手方は履行請求はできないことになります。

結局,本人は無権代理人の地位を相続したのだから無権代理人の責任を負わないといけないというわけですね。

さらに第三者が無権代理人の地位と本人の地位を相続したらどうなるでしょうか……。これは応用だと思うので,今回は省略させていただきます。しかし,根本の考え方は変わらないので,地位によって主張し,それが信義則に反しないかを考えていけば大丈夫です!

無権代理人と相続が絡んだパターンは,本人の追認または追認拒絶ができる地位と無権代理人の履行もしくは損害賠償責任を負う地位が併存すると考える。

まとめ

以上が無権代理の簡単な説明になります。無権代理は他の法律分野でもよく出てきますが,法律がよくできておりあまり気にする必要はありません。問題となるとしたら,相続です。相続はスタンドバトルの勢いで乗り切りましょう(笑)。

今回もポイントはあまりないのでここで終わります。読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

記事の目的上,とても簡潔にまとめているので,もっと深めたい方は以下の基本書を参考にしてください。改正民法対応でわかりやすいのでおすすめです。

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