留置権はこれだけ押さえれば大丈夫!わかりやすい解説【物権法その15】

民法

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留置権がわかりません!教えてください!

法上向
法上向

もしかして、留置権の牽連性について悩んでいるんじゃないか?

留置権は学説対立も多い部分だが、判例・通説に従ってできるだけわかりやすく解説してみよう。

留置権は意外とわかりづらい分野です。

特に、留置権の要件の一つ、牽連性はなかなか理解しにくい要件であるとともに、学説対立もある部分です。今回は、わかりやすさを第一に通説に従って解説していこうと思います。

留置権のポイント

留置権で最初に押さえるべきは適用場面です。留置権が使われる場面を理解していなければ使いこなすことができないからです。

場面を理解できたら、要件の確認へいきましょう。留置権は要件を一つずつ確認していく作業ゲーな側面があります。

要件の理解とあてはめをしっかりしていけば大丈夫です。

①留置権の場面を理解する。
②留置権の要件を確認する。

それではみていきましょう。

留置権が使われる場面

条文は民法295条

何ごとも条文から始めます。留置権の条文は民法295条です。

(留置権の内容)
第二百九十五条 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。

留置権は被担保債権の担保のために用いられますが、抵当権とは異なり、優先弁済効がありません。

では留置権はどのように被担保債権を回収するのでしょうか?

留置権でイメージしてほしいのは、

嫌がらせ

です。

留置権は、

被担保債権を弁済するまで、物を占有する!!返してほしいなら弁済しろ!

というような主張をすることになります

まさに、嫌がらせというわけです(被担保債権を弁済している方が悪いので嫌がらせといっても、悪いのは債務者なのですが……)。

留置権を図で理解する

債権者が、債務者に対して、被担保債権を回収するために、他人の物を留置する

これが留置権なのです。

留置権の要件

要件①:他人の物

留置権の留置物は「他人の物」である必要があります。

ここでのポイントは、別に債務者の所有物である必要はない、ということです。

条文上は「他人の物」としか書かれていませんので、債務者の物である必要はありません。他人の物で、かつ以下の2~6の要件が充たされるのであれば留置権は成立します。

要件②:占有者

留置権は「他人の物」を占有することで、

返してほしかったら弁済しろ!!

と主張するのでした。

そのため、「他人の物」を占有している必要があります。

仮に占有を失うと留置権は消滅する(民法302条)ので、しっかり、債権者が占有者である点を押さえましょう!

(占有の喪失による留置権の消滅)
第三百二条 留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって、消滅する。ただし、第二百九十八条第二項の規定により留置物を賃貸し、又は質権の目的としたときは、この限りでない。

要件③:債権を有する(被担保債権の存在)

留置権は被担保債権の回収を目的とするものなので、もちろんのこと、被担保債権が存在していることが必要となります。

要件④:その物に関して生じた(牽連性)

さて、最大の難問はこの牽連性です。

留置権は「他人の物」と被担保債権との間に牽連性が必要となります。

では、この牽連性とは具体的にどのように判断されるのでしょうか?

この点は非常にわかりづらく、判例・学説の対立も激しい部分です。

一応の有力説(通説といえるかもしれない)をここでは提示しますので、他の学説が気になる方は基本書等でご確認ください。

留置権の趣旨を考えてみましょう。

留置権の趣旨は、物を占有することで債務者に心理的圧迫をかけ、被担保債権の回収を図ることにありました

となると、その物を留置することで被担保債権の回収ができる、という関係性が必要ということになります。これを表しているのが「その物に関して生じた」という要件、すなわち、牽連性です。

では、どのような場合にこの関係性が認められるのでしょうか?

それは、

引渡請求権者と債務者が同一である場合

であると考えます。

つまり、

債務者が「物を返してくださいよー」という引渡権者であれば、

債権者が「嫌だね、返してほしければ被担保債権を弁済しな!」という主張がまかり通るわけです。

したがって、牽連性を考える際には、

他人の物の引渡権者と被担保債権の債務者が同一人物であること

を確認するようにしましょう!

要件⑤:弁済期にないとき(民法295条ただし書)

被担保債権は弁済期が到来している必要があります。

弁済期が到来していなければ

返してほしければ早く弁済しろ!

という主張が出てくるわけありませんから、留置権は成立しないというわけです。

要件⑥:占有が不法行為によって始まっていないこと(民法295条2項)

占有が不法行為によって始まった場合には、留置権は発生しません。

これは、

留置権者(被担保債権の債権者)の占有が不法行為である以上、

嫌がらせ

を正当化することはできないというわけです。

普通に考えても、不法行為者であるにもかかわらず留置権を主張して、債務者が不利益を被るのはおかしいですからね。

また、この「不法行為によって始まった」場合には、留置権者の過失の場合も含むとされています。

すなわち、

自身に権限がないにもかかわらず悪意で占有している場合はもちろん、「不法行為によって占有を始め」ているといえますが、

そうではなく、自身に権限がないことを疑わなかったことについて過失がある場合にも、「不法行為によって占有を始め」ているといえるわけです。

留置権を主張する際には、

留置権者に何らかの後ろめたい事情があってはダメ

というわけですね。

まとめ

以上、留置権をみてきました。いかがだったでしょうか。

もう一度、留置権の要件を確認してみましょう。

留置権の要件

要件①:他人の物
要件②:占有者
要件③:被担保債権の存在
要件④:牽連性
(引渡請求権者=被担保債権の債務者かどうかを考える)
要件⑤:被担保債権の弁済期の到来(民法295条ただし書)
要件⑥:不法行為によって占有が始まっていないこと(民法295条2項)

解説は以上となります。読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

担保物権についてわかりやすい解説は、はじめての法でおなじみストゥディアシリーズです。

これを超える担保物権の基本書はないと思います。三色刷り+事例問題が豊富なので、楽しく担保物権を学習できるはずです。

初学者の方はまずはこの本から読んでみてください!

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