証拠調べの1つ!証人尋問をわかりやすく解説【刑事実務基礎その9】

法律実務基礎科目

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証拠調べの手続は前回の記事で学習しましたよね。

具体的な証拠調べの方法の1つである、証人尋問について詳しく教えてほしいです。

法上向
法上向

証人尋問は刑事実務基礎特有の分野だね。規則を多く使うから条文からしっかり確認していこう!

証拠調べの手続は前回一通り確認しました。

>>>証拠調べの手続について詳しくはこちら【刑事実務基礎その8】

今回は証拠調べ手続の「人証」について、すなわち証人尋問についてみていこうと思います。

証人尋問のポイント

証人尋問としてまずは方式を条文から確認していきましょう。

その次に、証人尋問の主尋問→反対尋問→再主尋問の順でポイント・注意点について確認していこと思います。

最後に証人の保護の方法について軽く確認してみます。

①証人尋問の条文を押さえる。
②証人尋問の主尋問について理解する。
③証人尋問の反対尋問について理解する。
④証人尋問の全体の禁止事項について理解する。
⑤証人の保護の方法を押さえる。

それではみていきましょう。

証人尋問の条文

まず証人尋問の条文を確認していきましょう。

刑事訴訟法304条をみてみます。

第三百四条 証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人は、裁判長又は陪席の裁判官が、まず、これを尋問する。
② 検察官、被告人又は弁護人は、前項の尋問が終つた後、裁判長に告げて、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人を尋問することができる。この場合において、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の取調が、検察官、被告人又は弁護人の請求にかかるものであるときは、請求をした者が、先に尋問する。
③ 裁判所は、適当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、前二項の尋問の順序を変更することができる。

刑事訴訟法304条によれば、裁判官→取調調べ請求をした当事者→相手方の順で尋問をするとされています。

しかし実際は違うんです!

刑事訴訟法304条3項でもあるように、順序を変更することができます。そして刑事訴訟規則199条の2には別の方法が定められてるのです。

(証人尋問の順序)
第百九十九条の二 訴訟関係人がまず証人を尋問するときは、次の順序による。
一 証人の尋問を請求した者の尋問(主尋問)
二 相手方の尋問(反対尋問)
三 証人の尋問を請求した者の再度の尋問(再主尋問)
2 訴訟関係人は、裁判長の許可を受けて、更に尋問することができる。

裁判官は言い分自体を知りません。それなのに裁判官が最初に尋問することは不可能に近いです。そのため、まず尋問請求をした当事者からスタートします。

そして、相手方の尋問、必要があれば裁判官の尋問をすることになります。

これを「交互尋問方式」といいます。

基本的に「交互尋問方式」で証人尋問を行っているのです。

主尋問(刑事訴訟規則199条の3)

証人尋問は方式で刑事訴訟法304条ではなく刑事訴訟法199条の2を見るという点からもわかるように、

刑事訴訟規則

を基本的には参照します。

証人尋問は刑事訴訟規則に書かれている

という点をしっかり意識しましょう!

主尋問(尋問を請求した当事者からの尋問)については刑事訴訟規則199条の3で書かれています。

まずは刑事訴訟規則199条の3第1項第2項第4項第5項をみてみます。

(主尋問)
第百九十九条の三 主尋問は、立証すべき事項及びこれに関連する事項について行う
2 主尋問においては、証人の供述の証明力を争うために必要な事項についても尋問することができる
3 
4 誘導尋問をするについては、書面の朗読その他証人の供述に不当な影響を及ぼすおそれのある方法を避けるように注意しなければならない。
5 裁判長は、誘導尋問を相当でないと認めるときは、これを制限することができる。

主尋問は当たり前ですが、立証すべき事項・関連事項について行うことができるとのことです。また証明力を争うための尋問=弾劾尋問も可能とされています。

これだけで終われば楽なのですが、主尋問では「誘導尋問ができない」という大事な規定があります。

誘導尋問とは、相手方が「はい」「いいえ」で答える尋問方式と考えておけば大丈夫でしょう。尋問の言葉に誘導されがちになってしまう尋問方法のことです。

たとえば「あなたが好きな食べ物は何ですか?」は誘導尋問ではありませんが、「あなたが好きな食べ物はカレーライスですよね?」という方法では誘導尋問になります。

これは「カレーライス?あーたしかに好きかも。」となって尋問される側が誘導されてしまうためですね。

ただし、例外的に誘導尋問ができる場合が定められています。これが主尋問で問題になる箇所です。

主尋問は原則、誘導尋問が禁止されているが、例外的に誘導尋問が許される場合がある!

ということを押さえるとともに、どの場合に例外にあたるのかを理解していきましょう!

(主尋問)
第百九十九条の三
3 主尋問においては、誘導尋問をしてはならない。ただし、次の場合には、誘導尋問をすることができる。
一 証人の身分、経歴、交友関係等で、実質的な尋問に入るに先だつて明らかにする必要のある準備的な事項に関するとき。
二 訴訟関係人に争のないことが明らかな事項に関するとき。
三 証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるとき。
四 証人が主尋問者に対して敵意又は反感を示すとき。
五 証人が証言を避けようとする事項に関するとき。
六 証人が前の供述と相反するか又は実質的に異なる供述をした場合において、その供述した事項に関するとき。
七 その他誘導尋問を必要とする特別の事情があるとき。

刑事訴訟規則199条の3第3項に規定されている1号~7号はしっかり理解するようにしましょう。

多いのは2号→争いのない事実の誘導尋問、3号→記憶喚起のための誘導尋問です。

これら1号~7号は別に、尋問する側が一定の答えを暗示・期待しているわけではないため許されるというわけです。

反対尋問(刑事訴訟規則199条の4)

反対尋問は、尋問する側の行った主尋問の後、相手方が行う尋問のことです。

主尋問であなたはこう言ってましたけど、本当にそうですか?

というような尋問ですね。ドラマとかで見る嫌な感じの尋問は反対尋問です。

主尋問は最初のころから話すことがある程度決まっているので淡々としています。しかし、反対尋問は証人と最初で打合せができないので、相手方も証人もぼろが出やすい尋問なのです。

さらに反対尋問では「誘導尋問が禁止されていない」というポイントがあります。

これは基本的に反対尋問する側と証人がつながっているわけではないので、相手方の言葉に「誘導される」、「一定の言葉に導かれる」という状態は生じないとされているからです。

刑事訴訟規則199条の4を見てみましょう。

(反対尋問)
第百九十九条の四 反対尋問は、主尋問に現われた事項及びこれに関連する事項並びに証人の供述の証明力を争うために必要な事項について行う。
2 反対尋問は、特段の事情のない限り、主尋問終了後直ちに行わなければならない。
3 反対尋問においては、必要があるときは、誘導尋問をすることができる。
4 裁判長は、誘導尋問を相当でないと認めるときは、これを制限することができる。

刑事訴訟規則199条の4第3項は特に注意しましょうね。

何度もいうように、反対尋問では誘導尋問ができるという点です。

証人尋問の注意事項

再主尋問(刑事訴訟規則199条の7)

主尋問→反対尋問の後に、尋問請求をした当事者は再度尋問を行うことができます。これを再主尋問といいます。

刑事訴訟規則199条の7を見てみましょう。

(再主尋問)
第百九十九条の七 再主尋問は、反対尋問に現われた事項及びこれに関連する事項について行う。
2 再主尋問については、主尋問の例による。
3 第百九十九条の五の規定は、再主尋問の場合に準用する。

再主尋問は主尋問の例による(刑事訴訟規則199条の7第2項)ので、主尋問と同様に考えればオッケーです。

原則誘導尋問はできない。例外的に誘導尋問ができる場合がある。

というわけですね。

禁止される尋問方法

主尋問→反対尋問→再主尋問といった一連の尋問方法全体について禁止されている事項があります。

すなわち、主尋問でも反対尋問でも、行ってはいけない尋問の種類が用意されているのです。これは刑事訴訟規則199条の13に規定されています。

(証人尋問の方法)
第百九十九条の十三 訴訟関係人は、証人を尋問するに当たつては、できる限り個別的かつ具体的で簡潔な尋問によらなければならない。
2 訴訟関係人は、次に掲げる尋問をしてはならない。ただし、第二号から第四号までの尋問については、正当な理由がある場合は、この限りでない。
一 威嚇的又は侮辱的な尋問
二 すでにした尋問と重複する尋問
三 意見を求め又は議論にわたる尋問
四 証人が直接経験しなかつた事実についての尋問

刑事訴訟規則199条の13第2項1号~4号をしっかり押さえましょう。

特に刑事訴訟規則199条の13第2項3号4号は頻出です。

4号は伝聞のことです。供述書面だけではなく、証人尋問についても

〇〇さんがこう言ってました!〇〇さんが〇〇されたらしいです!

というような伝聞を禁止しているわけです。

小学校のころとかによく出現した噂女子の言うようなことは信じない、というわけですね(笑)。

証人の保護

最後に証人の保護の方法についてみていきましょう。実は予備試験の論文試験でも口述試験でも出題された部分です。

証人が特別な保護(被告人とのつながりがあり、真実をいうと自身の身が危ういので裁判所に行きたくないなど)を求める場合があります。その場合は裁判所が証人保護の要件該当性を検討し、証人に応じた対応をとることになるのです。

証人の保護については、刑事訴訟法157条の4~6に規定されています。

証人への付添い(刑事訴訟法157条の4)

証人がまだ子どものような場合には大人等の付き添いが認められています。刑事訴訟法157条の4です。

第百五十七条の四 裁判所は、証人を尋問する場合において、証人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、証人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、その証人の供述中、証人に付き添わせることができる
② 前項の規定により証人に付き添うこととされた者は、その証人の供述中、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはならない。

〈証人への付添い〉

①年齢等の事情
②検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴く
③不安又は緊張を緩和するのに適切な措置
④供述の妨げ又は不当な影響がない

上記4つの要件が必要になるわけです。

証人の遮へい(刑事訴訟法157条の5)

続いて証人の遮へいについてです。証人と被告人の間に遮へいしたり、証人と傍聴人との間に遮へいしたり(壁で見えない状態にする)という方法です。

刑事訴訟法157条の5を確認しましょう。

第百五十七条の五 裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が被告人の面前(次条第一項及び第二項に規定する方法による場合を含む。)において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、被告人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。ただし、被告人から証人の状態を認識することができないようにするための措置については、弁護人が出頭している場合に限り、採ることができる。
② 裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、名誉に対する影響その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、傍聴人とその証人との間で、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる

刑事訴訟法157条の5第1項は「被告人と証人との間の遮へい」です。

〈被告人と証人との間の遮へい〉

①心身の状態等、証人が圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがある
②検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴く
③被告人から証人の状態を認識することができない場合、弁護人の出頭

以上が要件となってきます。

刑事訴訟法157条の5第2項は「傍聴人と証人との間の遮へい」です。

〈傍聴人と証人との間の遮へい〉

①証人の名等を考慮し相当と認めるとき
②検察官及び被告人または弁護人の意見を聴く

以上が要件となってきます。

レベルとしては、「傍聴人との間の遮へい」の方が認められやすく「被告人と証人との間の遮へい」は要件が重い=認められにくいといえるでしょう。

ビデオリンク方式による証人尋問(157条の6)

最後に証人が法廷にすら来れないレベルの場合です。刑事訴訟法157条の6を見てみましょう。

第百五十七条の六 裁判所は、次に掲げる者を証人として尋問する場合において、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所以外の場所であつて、同一構内(これらの者が在席する場所と同一の構内をいう。次項において同じ。)にあるものにその証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、尋問することができる
一 刑法第百七十六条から第百七十九条まで若しくは第百八十一条の罪、同法第二百二十五条若しくは第二百二十六条の二第三項の罪(わいせつ又は結婚の目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、同法第二百二十七条第一項(第二百二十五条又は第二百二十六条の二第三項の罪を犯した者を幇ほう助する目的に係る部分に限る。)若しくは第三項(わいせつの目的に係る部分に限る。)若しくは第二百四十一条第一項若しくは第三項の罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者
二 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六十条第一項の罪若しくは同法第三十四条第一項第九号に係る同法第六十条第二項の罪又は児童買春児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第四条から第八条までの罪の被害者
三 前二号に掲げる者のほか、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者
② 裁判所は、証人を尋問する場合において、次に掲げる場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、同一構内以外にある場所であつて裁判所の規則で定めるものに証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、尋問することができる。
一 犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が同一構内に出頭するときは精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認めるとき。
二 同一構内への出頭に伴う移動に際し、証人の身体若しくは財産に害を加え又は証人を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるとき。
三 同一構内への出頭後の移動に際し尾行その他の方法で証人の住居、勤務先その他その通常所在する場所が特定されることにより、証人若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるとき。
四 証人が遠隔地に居住し、その年齢、職業、健康状態その他の事情により、同一構内に出頭することが著しく困難であると認めるとき。
③ 前二項に規定する方法により証人尋問を行う場合(前項第四号の規定による場合を除く。)において、裁判所は、その証人が後の刑事手続において同一の事実につき再び証人として供述を求められることがあると思料する場合であつて、証人の同意があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その証人の尋問及び供述並びにその状況を記録媒体(映像及び音声を同時に記録することができるものに限る。)に記録することができる。
④ 前項の規定により証人の尋問及び供述並びにその状況を記録した記録媒体は、訴訟記録に添付して調書の一部とするものとする。

長く読み解くのが難しい条文が刑事訴訟法157条の6です。

ポイントはまず①性犯罪についてと②その他の犯罪について分かれているという点です。

性犯罪について問題として出題されることはほとんどない(短答試験は別ですが)と思うので、②その他の犯罪について押さえておけば大丈夫です。

刑事訴訟法157条の6第1項柱書及び刑事訴訟法157条の6第1項3号をしっかり押さえておきましょう。

〈ビデオリンク方式による証人尋問(性犯罪以外/同一構内)〉

①心身等、圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認めるとき
②検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴く

上記2つの要件が必要になります。

刑事訴訟法157条の6第2項同一構内以外」からビデオリンクする場合のことです。これはほぼ認められないと思われますので、少なくとも試験を受ける場合には気にする必要はほとんどないでしょう。

とはいえ、ビデオリンク方式自体がほとんど認められないと考えてもよいと思います。

まとめ

証人尋問について詳しく見てきました。証拠調べ手続の中で証人尋問の立ち位置をここで復習しておきます。

そして、この「赤い部分」で証人尋問を行っているわけです。

特に、

①主尋問では誘導尋問が禁止されていること(例外事由を除く)
②主尋問、反対尋問といった一連の流れの中で禁止事項に触れないこと(伝聞など)

はしっかり意識しておく必要があります。

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

刑事実務の基礎は、よりよい参考書がほとんどありません。

予備校本で勉強するのがよいでしょう。辰巳のハンドブックは予備試験口述の過去問まで載っているので、口述試験対策という意味でもお勧めします。

正直これ以外で改正された刑事訴訟法に対応した良い参考書は今のところないと思います。

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