冒頭手続・冒頭陳述の手続をわかりやすく解説【刑事実務基礎その7】

法律実務基礎科目

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いよいよ裁判の勉強に入っていきますね。裁判になると、まず最初になにを行うのでしょうか?

法上向
法上向

裁判の最初には「冒頭手続」を行うよ。

冒頭陳述??

法上向
法上向

いや、冒頭陳述はまた別の手続だな。

よし!今回は冒頭手続と冒頭陳述を解説していこう。違いをはっきりさせるぞ!

いよいよ刑事実務基礎科目の裁判の手続に入っていきます。

最初に行うのは、「冒頭手続」です。その後に「冒頭陳述」があります。このような2つの手続をしっかり押さえることが必要です。

そして、「冒頭手続」「冒頭陳述」とで、こんがらがらないように注意しましょう。

冒頭手続・冒頭陳述のポイント

冒頭手続・冒頭陳述は「手続」を覚えるしかありません。この部分は論述問題として問われることは少ないですが、短答や口述では出題される可能性があります。したがって、「六法」が使えない試験で問われることが多いのです。

そのため、冒頭手続・冒頭陳述はどのような手続を行うのか、しっかり暗記することを念頭に解説していこうと思います。

①冒頭手続を理解する。
②冒頭陳述を理解する。

それではみていきましょう。

冒頭手続

冒頭手続は人定質問・起訴状朗読・黙秘権等権利告知・意見陳述

裁判で最初に行うのは冒頭手続です。冒頭手続は4つの手続からなります。

人定質問→起訴状朗読→黙秘権等権利告知→意見陳述

という4つの手続です。この4つはしっかり覚えましょう!

「じん」「ぎ(き)」「も」「けん」「い」という頭文字をとって「仁義も権威」という風に覚えるとわかりやすい(?)と思います。

仁義も権威

なのです!

①人定質問(刑事訴訟規則196条)

刑事訴訟規則196条を見てみましょう。

(人定質問)
第百九十六条 裁判長は、検察官の起訴状の朗読に先だち、被告人に対し、その人違でないことを確めるに足りる事項を問わなければならない。

これは刑事訴訟法ではなく「刑事訴訟規則」です。冒頭手続の中で唯一、刑事訴訟法に書かれていない手続が人定質問です。

刑事訴訟法の中を頑張って探しても答えは見つけられません。刑事訴訟規則196条を見る必要があるというわけです。

人定質問は「本当に起訴状の人物と同一人物であるか確認する質問」のことです。指名や年齢、住所等を質問して確認します。

②起訴状朗読(刑事訴訟法291条1項)

起訴状の朗読は2番目の手続ですが、この手続から刑事訴訟法に戻ります。刑事訴訟法291条を見てみましょう。

第二百九十一条 検察官は、まず、起訴状を朗読しなければならない。

起訴状の朗読は省略することはできません(要旨の告知も認められていません)。しかしながら、全文いうとなると面倒なので「公訴事実・罪名・罰条」で足りるとされています。

③黙秘権等権利告知(刑事訴訟法219条4項)

3番目の手続として、裁判長は被告人に対して、黙秘権等の被告人の権利を告知します。

具体的には、

①終始沈黙し又個々の質問に対し陳述を拒むことができること(黙秘権)
②陳述をすれば自己に有利な証拠となることもあるが、不利益な証拠となることもあること

などを告げることになります。

刑事訴訟法291条4項を見てみましょう。

第二百九十一条
④ 裁判長は、起訴状の朗読が終つた後、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項を告げた上、被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない。

太字の部分が「黙秘権等の権利告知」の部分です。

これに加えて、刑事訴訟規則197条を見てみましょう。「規則で定める」という部分です。

(被告人の権利保護のための告知事項)
第百九十七条 裁判長は、起訴状の朗読が終つた後、被告人に対し、終始沈黙し又個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨の外、陳述をすることもできる旨及び陳述をすれば自己に不利益な証拠ともなり又利益な証拠ともなるべき旨を告げなければならない
2 裁判長は、必要と認めるときは、被告人に対し、前項に規定する事項の外、被告人が充分に理解していないと思料される被告人保護のための権利を説明しなければならない。

④意見陳述(刑事訴訟法291条4項)

最後に弁護士や被告人は被告事件に対して意見を陳述することができるという手続が用意されています。

これをわかりやすく言い換えたものが「罪状認否」です。

被告人は、被告事件について控訴事実の認否や違法性阻却事由(正当防衛など)を主張することができるというわけです。

ここでのポイントは、「被告人は意見陳述の権利を持っている」ということです。「権利を行使しなければいけない」というわけではなりません。つまり罪状を認否するかしないかは被告人次第というわけです。

冒頭陳述

冒頭陳述は双方が行う

冒頭手続の「仁義も権威」(人定質問→起訴状朗読→黙秘権等権利告知→意見陳述)が終わったら、いよいよ裁判の内容に入っていきます。

最初にすべきは冒頭陳述というものです。これは、お互いどのようなストーリーを考えていますか?というものを明らかにするものということになります。

公判前整理手続では、検察官・弁護士の双方のストーリーに沿った証拠調べを行うことが目的でした。通常の裁判で公判前整理手続を行わないとしても、双方のストーリーを確認しておく必要があるわけです。

>>>公判整理手続の詳しい解説【はじめての刑事実務基礎その6】

そのため、冒頭手続後には双方のストーリーを述べさせる冒頭陳述を行う必要があるのです。

検察官の冒頭陳述(刑事訴訟法296条)

検察官は必ず冒頭陳述を行う必要があります。公判前整理手続があろうとなかろうと、裁判では必ずです!

証明したい事実を説明するわけですね。検察側のストーリーを説明するという意味です。

刑事訴訟法296条を見てみましょう!

第二百九十六条 証拠調のはじめに、検察官は、証拠により証明すべき事実を明らかにしなければならない。但し、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調を請求する意思のない資料に基いて、裁判所に事件について偏見又は予断を生ぜしめる虞のある事項を述べることはできない。

このストーリーは、今後の証拠調べ・立証方法を決める重要なものになります。そして弁護士側はこの検察官の冒頭陳述に応じて防御方法を展開していくことになるのです。

弁護士側の冒頭陳述

続いて弁護士・被告人側の冒頭陳述についてみていきましょう。

ここでのポイントは、

弁護士側の冒頭陳述は、公判前整理手続が行われた場合以外では必ずしも行う必要がない

という点です。

規則198条1項に規定があります。

(弁護人等の陳述)
第百九十八条 裁判所は、検察官が証拠調のはじめに証拠により証明すべき事実を明らかにした後、被告人又は弁護人にも、証拠により証明すべき事実を明らかにすることを許すことができる
2 前項の場合には、被告人又は弁護人は、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調を請求する意思のない資料に基いて、裁判所に事件について偏見又は予断を生ぜしめる虞のある事項を述べることはできない。

許すことができる」という規定方法からしても、弁護士側の意見陳述は「任意」ということがおわかりいただけるのではないでしょうか。

なお、公判前整理手続の場面では、必ず検察官冒頭陳述の後に、弁護士は冒頭陳述を行う必要があります。これは公判前整理手続を勉強した際に、通常公判との違いで勉強した点です。

刑事訴訟法316条の30からもそのことがわかります。

第三百十六条の三十 公判前整理手続に付された事件については、被告人又は弁護人は、証拠により証明すべき事実その他の事実上及び法律上の主張があるときは、第二百九十六条の手続に引き続き、これを明らかにしなければならない。この場合においては、同条ただし書の規定を準用する。

加えて、公判前整理手続の場合には、検察官の冒頭陳述→弁護士側の冒頭陳述の後に、公判前整理手続の結果を明らかにする必要があるという点も忘れないようにしましょう。

刑事訴訟法316条の31第1項を復習しておきましょう。

第三百十六条の三十一 公判前整理手続に付された事件については、裁判所は、裁判所の規則の定めるところにより、前条の手続が終わつた後、公判期日において、当該公判前整理手続の結果を明らかにしなければならない。

まとめ

以上、冒頭手続と冒頭陳述をみてきました。

え?冒頭手続についてもう忘れてしまったって?

おいおい、だから覚え方をやったんでしたよね。

仁義も権威」ですよ。

冒頭手続の覚え方

じ…人定質問
ぎ…起訴状の朗読
もけん…黙秘権等権利告知
い…意見陳述

という感じで覚えるとわかりやすいでしょう!

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

刑事実務の基礎は、よりよい参考書がほとんどありません。

予備校本で勉強するのがよいでしょう。辰巳のハンドブックは予備試験口述の過去問まで載っているので、口述試験対策という意味でもお勧めします。

正直これ以外で改正された刑事訴訟法に対応した良い参考書は今のところないと思います。

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