司法試験・予備試験はバッチリ!不公正な取引方法の概観を理解【経済法その5】

経済法

不公正な取引方法って条文が多すぎてよくわからなんですよね。適用条文が多すぎます。

法上向
法上向

たしかに経済法を学習する上での一番の山場は「不公正な取引方法」だな。条文が独占禁止法と一般指定をいったりきたりするからわかりにくい、条文が探しにくいという特徴がある。

今回は、不公正な取引方法をどのように理解すればわかりやすいか、概観をとらえてもらえるような解説をしていくぞ!

不公正な取引方法は経済法の中の一番の山場です。

不公正な取引方法は、独占禁止法と一般指定をいったり来たりするため、どこにどの条文があるのか、一体どの類型が不公正な取引方法にあたるのかという特徴があります。

そのため、今回は不公正な取引方法の種類や条文を一通りまずは確認していきます。これを押さえておくことで次回以降の各類型ごとの話が入ってきやすくなると思ったからです。

今回は今後の不公正な取引方法の理解に必須の知識になってくるので、しっかりと頭の中に入れるようにしましょう!(とはいえ、普通にやっていれば自然と頭に入ってくる部分なのでそこまで気負わなくて大丈夫です(笑))

それでは見ていきましょう!

不公正な取引方法のポイント

不公正な取引方法を押さえる上で、まずは「不公正な取引方法」の立ち位置を押さえる必要があります。不公正な取引方法は、これまでみてきた「不当な取引制限」「企業結合規制」「私的独占」のレベルダウンバージョン、劣化バージョンです。逆に言えば、上記3つにはあたらないけど、市場・競争に何かしらの影響があるよね、という場合を指します。

そのうえで、「公正競争阻害性」という特有のワード(すべての類型の要件になります)について確認していこうと思います。

最後に条文の確認です。不公正な取引方法はただ単に条文がわかりづらいです。表にまとめて一気に確認していきましょう。その際になぜこのような変なつくりになっているのか、根拠は何か、についても解説していこうと思います!

①不公正な取引方法とは何か?を理解する。
②公正競争阻害性の3つの類型について理解する。
③各類型ごとの条文を探せるようになる。

それでは見ていきましょう。

不公正な取引方法とは何か?

不公正な取引方法は公正競争阻害性の行為規制

不公正な取引方法とは、一言でいえば「不当な取引制限」「企業結合」「私的独占」の劣化バージョンです。これら3類型ほど競争に影響はないが、それでも競争に何かしらの悪影響がある場合は「不公正な取引方法」がカバーします。

不当な取引制限」と「企業結合」と「私的独占」で共通していた要件って覚えていますか?

競争の実質的制限」ですよね。次いでに定義の論証も確認しておきましょう。

「競争を実質的に制限する」とは、競争自体が減少して、特定の事業者又は事業者集団がその意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる状態をもたらすことをいい、市場支配力の形成・維持・強化を意味する

でした。

しかし世の中には、「競争を実質的に制限」するまではないが「公正な競争を阻害するおそれ」はあるという類型があります。これを規制しているのが「不公正な取引方法」というわけです。

つまり!不公正な取引方法とは「公正な競争を阻害するおそれ」がある場合=公正競争阻害性のある行為を規制しているものというわけです。

条文は独占禁止法19条

不公正な取引方法は多くの類型があるのですが、すべてをとりまとめ、「不公正な取引方法」は違法、ということを明記しているのは独占禁止法19条です。

第十九条 事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。

ここで「事業者は」となっている点に注目が必要です。この独占禁止法19条があるがゆえに「不公正な取引方法」が出題された際には必ず、当事者の「事業者性」を確認する必要があります

事業者についての論証は大丈夫ですよね?

なんらかの経済的利益の供給に対応し反対給付を反復継続して受ける経済活動を指し、(その主体の法的性格は問うところではない)。

この定義も頻出なのでしっかり覚えておくようにしましょう。

さて、不公正な取引方法の一番の特徴は「競争の実質的制限」ではなく「公正な競争を阻害するおそれ」(公正競争阻害性)が要求されるという点でした。

では公正競争阻害性とは何なのか?この点について詳しく見ていくことにします。

公正競争阻害性とは?3類型を押さえる。

不公正な取引方法では必ず要求される公正競争阻害性

公正競争阻害性は、不公正な取引方法で必ず要件となります。

けど経済法の不公正な取引方法の条文をみたことがある人なら「公正競争阻害性」という言葉は、ほとんど登場しないということに気づくはずです。

ではどこから「公正競争阻害性」という概念が出てくるのか?

不公正な取引方法を規定している各類型の「正当な理由がないのに」「不当に」という文言が「公正競争阻害性」を意味している

というのが答えになります。

これから不公正な取引方法の類型をいくつも見ていくことになると思いますが、「正当な理由がないのに」や「不当に」という文言が必ず含まれているはずです。この文言が「公正競争阻害性」を表しているということは常に意識しておきましょう。

公正競争阻害性の3つの類型

公正競争阻害性には3つの類型があります。

①自由競争減殺②競争手段の不公正さ③自由競争基盤の侵害

の3つです。

それぞれについて簡単に確認していこうと思います。この3つに共通することは「競争を実質的に制限する」ほどの影響はないが競争自体に何らかの悪影響をもたらすという点です。この点は意識しておきましょう。

自由競争減殺

自由競争減殺は、よく「競争を実質的に制限する」はではないがその萌芽的段階と言われます。そのため、基本的な検討方法としては「一定の取引分野の競争を実質的に制限する」と同じになります。その認定のレベルが落ちるだけです。

すなわち、需要の代替性・必要に応じて供給の代替性によって「一定の取引分野」を画定し、その中での影響を様々な総合衡量で判断していくことになります。

ほとんどの「不公正な取引方法」の類型は「公正競争阻害性」と言った場合、自由競争減殺を意味します。「自由競争減殺」は公正競争阻害性のエースなのです!

競争手段の不公正さ

競争手段の不公正さとは、価格・品質・サービスを中心とする能率競争の観点からして非難に値するものということです。

競争手段の不公正さは「抱き合わせ(一般指定10項)」「取引妨害(一般指定14項)」の場面でしか問題としては登場しないでしょう。しかも上記、抱き合わせと取引妨害は「自由競争減殺」効果もあるとされているので、実質的に「競争手段の不公正さ」が登場する場面はほとんどありません。

公正競争阻害性のエースの「自由競争減殺」にとられてしまうというわけです。

自由競争基盤の侵害

自由競争基盤の侵害とは、事業者の競争機能の発揮を妨げることです。この類型に該当するのは、「優越的地位の濫用(独占禁止法2条9項5号)」しかありませんので、それほど意識する必要はありません。

「不当に」と「正当な理由がないのに」の違い

最後に先ほど公正競争阻害性を意味するといった「不当に」と「正当な理由がないのに」の違いについて簡単に解説します。

「不当に」とは別途公正競争阻害性をちゃんと認定しなければいけないということを指します。

一方、「正当な理由がないのに」というのは、その類型に該当するなら公正競争阻害性は一応推認されることを意味して、原則違法であることを意味します。

すなわち、「不当に」の場合には、公正競争阻害性をちゃんと認定する必要があるが、「正当な理由がないのに」であれば「別の正当化事由」がない限り公正競争阻害性があると簡単に認定してよいというわけです。

しかしながら、試験においては、「正当な理由がないのに」となっている場合であっても、きちんと公正競争阻害性を認定したほうがよいと思われます。実際、「正当な理由がないのに」という文言が使われてたとしても、行為類型該当だけで直ちに違法とはされず、個別に、公正競争阻害性の検討がされているものもあるからです。

公正競争阻害性を覆す正当化事由

一見公正競争阻害性が認定されそうな場合でも、当該行為を行う理由から公正競争阻害性が否定されることがあります。

これを「正当化事由」と言ったりします。

正当化事由の判断は「公共の利益に反して」と同様のものです。

すなわち独占禁止法1条の究極目的に照らして判断します。

「公共の利益に反して」の検討でもやりましたが、正当化事由があると認定されるためには単に目的がいい感じのものであるだけでは足りません。その目的に対してとっている手段が適切かどうかの判断が必要なわけです。

つまり、①目的の正当性と②手段の相当性によって正当化事由を判断しているということになります。

※カルテルのような「不当な取引制限」の場合には手段の相当性が満たされないため、公共の利益に反しない」とされた事例はこれまで存在しないわけです。一方、「不公正な取引方法」の場合には、手段がカルテルほど悪質ではないので、手段の相当性が認められることも想定されます。

不公正な取引方法の条文

さて一番ややこしいのが不公正な取引方法の条文についてです。まず押さえてほしいのは、不公正な取引方法の場合には「独占禁止法」のほかに「一般指定」というものも用います。つまり2つの条文・規定をいったりきたりする必要があるというわけです。

まず不公正な取引方法の全体をつかんでほしいので独占禁止法2条9項を一緒にみてみましょう。

第二条
⑨ この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
一 正当な理由がないのに、競争者と共同して、次のいずれかに該当する行為をすること。
イ ある事業者に対し、供給を拒絶し、又は供給に係る商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限すること。
ロ 他の事業者に、ある事業者に対する供給を拒絶させ、又は供給に係る商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限させること。
二 不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもつて、商品又は役務を継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの
三 正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの
四 自己の供給する商品を購入する相手方に、正当な理由がないのに、次のいずれかに掲げる拘束の条件を付けて、当該商品を供給すること。

イ 相手方に対しその販売する当該商品の販売価格を定めてこれを維持させることその他相手方の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束すること。
ロ 相手方の販売する当該商品を購入する事業者の当該商品の販売価格を定めて相手方をして当該事業者にこれを維持させることその他相手方をして当該事業者の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束させること。
五 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。
イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。
ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。
六 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに該当する行為であつて、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの
イ 不当に他の事業者を差別的に取り扱うこと。
ロ 不当な対価をもつて取引すること。
ハ 不当に競争者の顧客を自己と取引するように誘引し、又は強制すること。
ニ 相手方の事業活動を不当に拘束する条件をもつて取引すること。
ホ 自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。
ヘ 自己又は自己が株主若しくは役員である会社と国内において競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との取引を不当に妨害し、又は当該事業者が会社である場合において、その会社の株主若しくは役員をその会社の不利益となる行為をするように、不当に誘引し、唆し、若しくは強制すること。

独占禁止法2条9項は1号~6号まであります。1号~5号までが不公正な取引方法の各類型にあたります。

では独占禁止法2条9項6号はどういう意味合いをもつのか?

もう一度独占禁止法2条9項6号を見てみましょう。

六 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに該当する行為であつて、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの
イ 不当に他の事業者を差別的に取り扱うこと。
ロ 不当な対価をもつて取引すること。
ハ 不当に競争者の顧客を自己と取引するように誘引し、又は強制すること。
ニ 相手方の事業活動を不当に拘束する条件をもつて取引すること。
ホ 自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。
ヘ 自己又は自己が株主若しくは役員である会社と国内において競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との取引を不当に妨害し、又は当該事業者が会社である場合において、その会社の株主若しくは役員をその会社の不利益となる行為をするように、不当に誘引し、唆し、若しくは強制すること。

独占禁止法2条9項6号は1号~5号以外にも公正取引委員会が指定する類型は規制しますよ!ということを示しています。

そのことから一般指定の規定を見るという発想に至るわけです。

すなわち、

独占禁止法2条9項1号~5号+独占禁止法2条9項6号が指す一般指定

が「不公正な取引方法」の規定として用いられているわけですね。

また、独占禁止法2条9項6号のイ~へは不公正な取引方法の類型をわかりやすくまとめている条文でもあるのです。そこで独占禁止法2条9項6号イ~へに基づいて各類型ごとの条文及び公正競争阻害性の類型をまとめてみます。

この表を見れば一発で適用条文や公正競争阻害性の意味が把握できると思います。

ポイントは分類は独占禁止法2条9項6号イ~ヘを参考にするという点です。しっかりマスターしましょうね。

まとめ

不公正な取引方法の概説をしてきました。いかがだったでしょうか。

これで不公正な取引方法とはどういったことを学習する分野なのか、なんとなくでもわかってもらえたと思います。

次回以降、いよいよ本格的に「不公正な取引方法」を学習していくことになります。頑張っていきましょう!

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

経済法を本格的に学習する人の中で入門的に使ってほしい参考書を上げてみます。というか論証の暗記として使えるものを用意してみました。

とりあえず経済法のスタートは「要件の暗記」です。そのため、要件自体のガイドラインや判例通説をもとに逐条的に解説してある『条文から学ぶ独占禁止法(第2版)』をお勧めします。

ただし課徴金等の箇所は改正に対応していませんので、別途サイトの方から補遺をダウンロードすることをお勧めします。とはいえ、要件の部分は変更がありませんので試験対策としてはほぼ問題はないでしょう。

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