排他条件付取引をわかりやすく解説してみた【経済法その11】

経済法

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法上向
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排他条件付取引を今回はみていこう!

排他条件?なんか除外するぞ!みたいなやつですか?

法上向
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排他条件付取引はイメージしづらいかもしれないな。

よし、排他条件付取引がどういうものかも踏まえて、要件を確認していこう!

排他条件付取引は、供給者が需要者に排他条件を課すものと、需要者が供給者に排他条件を課すものの2種類があります。

逆に言えば立場は関係なく排他条件」をつけるかどうかで排他条件付取引かが決まるというわけです。

なかなか特有の条文はありませんが、試験には出やすい排他条件付取引をしっかりみていきましょう!

排他条件付取引のポイント

排他条件付取引のポイントは、どういう場面で使われるのかをしっかり押さえることです。あとは各要件を検討していくのみですが、ここで「不当に」(公正競争阻害性)の理解が大事になってきます。

排他条件付取引ではガイドラインがしっかりしているので、自由競争減殺の意味をしっかり押さえることにしたいと思います。

①排他条件付取引とは何かを理解する。
②要件①:「取引をしないこと」を押さえる。
③要件②:「条件として」を理解する。
④要件③:「不当に」(公正競争阻害性)を理解する。

それでは見ていきましょう。

排他条件付取引とは?

排他条件付取引は「俺だけと取引しろ!」パターン

排他条件付取引はなかなかイメージしづらいものです。

排他って取引拒絶や拘束条件付取引、再販売価格の拘束も排他っぽいじゃん!

と思ってしまいます…。

しかし「排他」はこれまで見てきた「拘束」のようなぬるいものではなりません。相手方の全取引のシャットアウトです。

つまり相手方が行っている取引のすべてを完全に止めることをいいます。

私は、排他条件付取引を見たら、重い人を想像します。

俺だけを見ろ!」的な感じです。

というわけで排他条件付取引をイメージする際には、超絶重い人を思い出してください(笑)

いいか、俺と付き合ってもいいぞ!けどその場合、俺とだけ取引しろ!他のやつとはこれから絶対取引するなよ!

こういうことをしたら「排他条件付取引」に該当するわけですね。

条文は一般指定11項

排他条件付取引の条文は一般指定11項に規定されています。

(排他条件付取引)
11 不当に、相手方が競争者と取引しないこと条件として当該相手方と取引し、競争者の取引の機会を減少させるおそれがあること。

①事業者が④「不当に」②「相手方が競争者と取引しないことを」③「条件として」〇「当該相手方と取引し、競争者の取引機会を減少させるおそれがあること」(便宜上条文の順番と変えています)

〇「 当該相手方と取引し、競争者の取引機会を減少させるおそれがあること 」は問題になりません。というかほぼ「不当に」の検討に含まれるので要件化しなくてもよいかと思います。

①の事業者であるかどうかについては、一般指定11項というよりも、一般指定11項の行為が違反であることを規定している独占禁止法19条から出てくる要件です。

第十九条 事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。

それでは各要件を見ていきます!

要件①:事業者

不公正な取引方法の主語は「事業者」です。独占禁止法19条からそのことがわかりますね。

事業者の定義についても確認しておく必要がありますね。

事業者とは、なんらかの経済的利益の供給に対応して反対給付を反復継続して受ける経済活動を行う者をさす(主体の法的性格及び営利性の有無は問わない)。

㋐経済的利益の供給
㋑反対給付を反復継続

の2つの視点を意識しましょう。

要件②:「相手方が競争者と取引しないこと」

取引しないこと」が排他条件付取引を基礎づける部分なのでしっかり意識していきましょう。

排他条件付取引は「俺とだけ取引をしろ!」でした。

よって「取引しないこと」というのは、いずれの競争者とも取引をしないこと=完全な取引停止を意味します。

逆に言えば、相手方に対して「俺とだけ取引しろ!」ではなく「あいつとは取引をするな!」という特定の者に対しての取引しないことを命じている場合には拘束条件付取引や取引拒絶の問題になるわけです。

あ!やっと「拘束条件付取引」や「取引拒絶」との違いがわかりました!本当に相手方に完全な取引停止=自分と100%の取引をさせようとしている場合にだけ「排他条件付取引」が出てくるってことですね!

法上向
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ようやくわかってくれたか!そういうことだよ。

たとえばメーカーが販売業者に対して、自分の商品だけを取り扱うことを条件として供給を行う場合などが「排他条件付取引」にあたるな!「排他」=「俺だけと取引しろ!」だからな。

要件③:「条件として」

条件として」は文面上の意味をとらないようにしましょう。一般指定11項の「条件として」は「拘束」を意味します。

再販売価格の拘束や拘束条件付取引で登場する「拘束」です。

「拘束」は、何らかの人為的手段によって、取引相手方の事業活動の制限について実効性が確保されているかどうかによって判断される。

すなわち「人為性」が必要でした。合わせて経済上の不利益をちらつかせることも「拘束」に該当するという点も押さえておくとわかりやすくなります。

要件④:「不当に」(公正競争阻害性)

一般指定11項排他条件付取引の「不当に」すなわち公正競争阻害性は「自由競争減殺」を意味します。

ここではさらに深入りしていきましょう。

一般的に排他条件付取引をすること自体は違法ではありません。意外に思われるかもしれませんが…。

というのも事業者には「取引」の自由があり、どういう条件を付けて相手方と取引をするかも自由だからです。

ではどういう場合に違法となるのか…。

それは相手方が市場の有力な事業者で、排他条件付取引によって市場閉鎖効果が生じる場合です。

ここで㋐市場における有力な事業者㋑市場閉鎖効果という2つの視点が出てきました。それぞれ確認していきましょう。

㋐市場における有力な事業者とは、市場シェア20%以上が一応の目安とされています。(逆に言えば20%を下回るとまず違反とはならないと言ってよいでしょう)。

㋑市場閉鎖効果とは、拘束を受ける者によって「代替的な取引先を容易に確保することができなくなり、事業活動に要する費用が引き上げられる、新規参入や新商品開発等の意欲が損なわれるといった、新規参入者や既存の競争者が排除される又はこれらの取引機会が減少するような状態をもたらすおそれ」をいいます。

取引機会の減少は一般指定11項の条文にも規定されているので、覚えるべきは「代替的な取引先を容易に確保することができない」ということです。

以上まとめると、

排他条件付取引の「不当に」(公正競争阻害性)は自由競争減殺を意味しますが、より詳細に言えば、

有力な事業者(シェア20%以上)が、相手方に対して、代替的な取引先を容易に確保することができないような拘束(人為的手段・経済上の不利益)をしている場合に認められる

というわけです。

市場閉鎖効果=代替的な取引先を容易に確保することができない」というのは、①ブランド間競争の状況②ブランド内競争の状況③行為者の市場における地位④当該行為の相手方の事業活動に及ぼす影響④当該行為の相手方の数および市場における地位、を総合的に考慮して判断するとされています。

また、複数の事業者が同じような拘束を実施する場合には市場全体としての市場閉鎖効果が生じる可能性がより高まるとされています。

今まで自由競争減殺は、市場を画定し、その中での競争制限効果を見ていくと説明していました。いわば「一定の取引分野の競争の実質的制限」の劣化版だと。。

市場閉鎖効果のこのような総合考慮はほぼ「競争の実質的制限」と同様ということがわかってもらえたのではないでしょうか。

まとめ(論証)

排他条件付取引は「条件として」と「不当に」が何よりも大事です。しっかり押さえていきましょう。

①「条件として」…拘束を意味する。 「拘束」は、何らかの人為的手段によって、取引相手方の事業活動の制限について実効性が確保されているかどうかによって判断される。

②「不当に」…公正競争阻害性を意味し、自由競争減殺の観点から検討する。排他条件付取引自体は違法ではないが、㋐市場における有力な事業者が㋑市場閉鎖効果を生じさせる場合には自由競争減殺があるとされる。

㋐市場における有力な事業者は、市場シェア20%を超えることが目安とされ、㋑市場閉鎖効果は相手方が代替的な取引先を容易に確保できなくなるかどうかによって判断される。

注意してほしいのは、市場閉鎖効果も最終的には総合考慮になっていくという点です。つまりは自由競争減殺の場合には基本的に市場画定から総合衡量を行う流れをとります。だるいですね(笑)。

解説は以上です。読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

経済法を本格的に学習する人の中で入門的に使ってほしい参考書を上げてみます。というか論証の暗記として使えるものを用意してみました。

とりあえず経済法のスタートは「要件の暗記」です。そのため、要件自体のガイドラインや判例通説をもとに逐条的に解説してある『条文から学ぶ独占禁止法(第2版)』をお勧めします。

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