接見交通権をわかりやすく簡単に復習!【刑事訴訟法その9】

接見交通権 刑事訴訟法
法上向
法上向

接見交通権の問題を見ていこうか。

あの接見指定してもいいか,みたいな問題ですよね。初回だと接見指定はダメーみたいな。

法上向
法上向

おいおい,もしかして,接見指定(刑訴39条3項)と刑訴39条3項但書の問題をごっちゃにしていないかい?

 

え……何言っているかわかりません(汗)。

接見交通権の問題についてみていくことにしましょう。接見交通権はかなり理論が整理されているのでわかりやすい分野だと思います。しかし,いったん間違って理解してしまうと,なかなか抜け出せなくなってしまうので,ここではわかりやすさ重視でさっと確認できるかたちの記事を書いていこうと思います。

接見交通権のポイント

接見交通権のポイントは,接見指定(刑事訴訟法39条3項)が許されるのか?許されるとしても刑事訴訟法39条3項但書に反しないか?という2段階の問題点があるという点です。

この際,なぜ接見指定が許されるのか,という背景を理解するとこの理論がわかりやすく入ってきやすいと思います。よって,以下のような構成で話を進めていくことにします。

①接見交通権の問題を理解する。
②接見指定についての議論を理解する。
③接見指定がされる場面での問題を理解する。
それでは見ていきましょう。

接見交通権とは何か?

接見交通権とは,接見を行う権利のことです。たとえば,子供が逮捕され勾留下にある状態を考えてみましょう。この場合,親は子供に会いたい=接見したいと思うのが普通ですよね。

この接見する権利が接見交通権です。刑事訴訟法39条1項に弁護士の接見交通権が規定されています。

第三十九条 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第三十一条第二項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。

意外に思われるかもしれませんが,親族での接見交通権は弱いです。特に起訴前であれば裁判所の判断で接見禁止とすることもできます

しかし,弁護士の接見交通権は強いです。禁止することはできませんし,制限すること=接見指定も条件が厳しく解釈されています。また秘密交通権(捜査機関の立ち合いなし)で行えるのも弁護士の接見交通権の特徴でしょう。

よくドラマで弁護士が被疑者と接見している場面は見ますが,親族と接見している場面が少ないのはこの理由によるものと考えられますね!

でもなんで弁護士の接見交通権は強いんですか?

法上向
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それは憲法で保障されているからだね。

ここで憲法34条を見てみましょう。

第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

憲法34条弁護士依頼権を保障しています。しかし,弁護士依頼権だけ保障されていても,依頼だけできて他の相談はできないとしては実質的な意味がありませんよね。依頼権が保障されているということは依頼+それ以降の弁護士活動も保障されていると考えるべきです。

このような憲法34条の実質的解釈から,刑事訴訟法39条により弁護士の接見交通権は保障されていると考えられるのです。となると,弁護士の接見交通権が強いことはお分かりですね

接見指定(刑訴法39条3項)の問題

弁護士の接見交通権は強いと言いましたが,捜査の必要性によっては例外的に制限されることがあります。いわば弁護士の接見交通権(弁護士依頼権の実質的保障)と捜査の必要を天秤にかけている状態です。

どうしても捜査の必要性が高いので接見交通権を制限(日時変更)したいと考えた場合,接見指定刑事訴訟法39条3項)をするのです。日時指定のことですね。

そして,どのような場合に接見指定ができるのか?というのが接見指定の問題です!

まず条文を確認してみましょう。

第三十九条 
3 検察官、検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第一項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。

学説上ではいろいろな議論がありますが,以下のように考えるとわかりやすいです。

①現に被疑者の取調べ実況見分検証の立ち会わせ中である場合
②間近に取調べ等をする確実な予定があり接見をすると予定通り開始できなくなるおそれがある場合
上記の2パターンでは捜査に顕著な支障が生ずる場合として接見指定が許されるとされています。

上記の場合はあくまでの一例であり,上記の場合に該当するものであっても接見交通権を認めて捜査に顕著な支障が生じない場合には接見指定をすることはできません。要は最初に説明した,弁護士の接見交通権と捜査の必要の比較衡量次第というわけです。

接見交通権と捜査の必要の比較衡量と見た場合,捜査の必要があるときってどういう場合?と疑問に思いませんか?
たしかに接見交通権を強く保障するのであれば,捜査の必要ばある場合はほとんど考えられなさそうですよね?
実はここでいう捜査の必要というのは身体拘束の時間拘束によるものを意味します。捜査機関には身体拘束期間が厳格に定められそれを超えると違法になります。あらゆる場合に接見交通を認めてしまうと,取調べ等に使える時間が短くなり捜査が十分に行えなくなってしまうのです。そのため,捜査機関としては身体拘束を利用する捜査については必要性が高いのです。上記①②をみてもどちらも被疑者の身体拘束を利用するものであることがわかると思います。

接見指定後の論点(刑事訴訟法39条3項但書)

接見指定ができる場合でも安心してはいけません。次に,刑事訴訟法39条3項但書に違反しないかを検討する必要があります。

第三十九条 
3 検察官、検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第一項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。

接見指定をする場合であっても,被疑者の防禦権を不当に制限するような変な接見指定はダメというわけです。

弁護士の接見交通権がいかに強く保障されているかわかりますね

ここで判例を踏まえると,初回の接見の場合は厳格にこの接見指定が判断されることがわかります。というのも初回の接見は被疑者にとっても弁護士にとっても今後の方針を決める重要な接見であり,この接見を変に制限されてしまうと,明らかな憲法34条の弁護人依頼権の侵害になりうるからです。

よって初回の接見の場合は,接見指定をするにしても,すぐに短時間でもいいから接見できないか検討しなければならないとされています。

単純に今取調べ中だから明後日また来てね~。というような接見指定はできず,取調べ終了後短時間でもいいんで接見できないかなー,と検討する義務があるというわけです。

このように弁護士の接見交通権は強く保障されていることがわかってもらえたのではないか,と思います。

まとめ

最後にまとめをしてみましょう。例のごとく図にしてみます。

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

刑事訴訟法の参考文献として「事例演習刑事訴訟法」をお勧めします。はじめての方にとっては解説が大変難しい問題集ですが,非常に勉強になるものです。また,冒頭にあります答案作成の方法について書かれた部分については,すべての法律について共通するものなのでぜひ読んでほしいです。自分も勉強したての頃にこれを読んでいれば……と公開しております。

最初は学説の部分はすっとばして問題の解答解説の部分だけを読めばわかりやすいと思います。冒頭の答案の書き方の部分だけでも読む価値はあるのでぜひ参考にしてみてください。

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