幸福追求権の憲法13条をわかりやすく攻略【憲法その2】

幸福追求権 憲法
法上向
法上向

憲法13条について考えてみようか。

え!あのいろいろな自由権を保障している13条のことですか?

法上向
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そうだね,憲法13条はなかなか考え方がわかりにくいのだが,実は理解しやすい分野なんだ。

私は,毎回適当に13条の問題を扱っていました。教えてください!

憲法13条はプライバシー権や自己決定権,人格権,そして新しい人権など非常にカバーしている領域が広い条文です。今回はよく問題にでやすいプライバシー権新しい人権について説明していこうと思います。

幸福追求権(憲法13条)のポイント

憲法の考え方は,三段階審査論を用いると,①保護領域②制約③正当化の順番で検討していきます。特に問題となるのが,①保護領域③正当化でどの審査基準を用いるかです。

現在,判例,学説ともに三段階審査論や違憲審査基準論は批判の嵐ですが,初学者によってその元を知らないと批判されてもよくわからないと思います。というか初学者は三段階審査論や違憲審査基準論をきちんと理解すべきです!

はじめての憲法人権シリーズでは完全なる三段階審査基準論と違憲審査基準論で書いていきます!(もちろん,この三段階審査論,違憲審査基準にも学説で考え方が様々なので今回は私が正当だと考える考え方ベースでいきます。ご了承ください)

①幸福追求権(憲法13条)の保護領域
②プライバシー権の審査基準
③新しい人権の審査基準
それではみていきましょう。

幸福追求権(憲法13条)の保護領域

憲法13条の条文を確認

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

憲法13条に規定されている国民の権利をまとめて幸福追求権と呼ぶことにします。

一般的自由説と人格的利益説

さて,この幸福追求権(憲法13条)の保護領域(保護しようとしている領域)については争いがあります。一般的自由説と人格的利益説の対立です。

一般的自由説とは,憲法13条はあらゆるものを保障しているという考えです。

人格的利益説とは,憲法13条は人格的生存に不可欠な権利を包括的に保障しているという考えです。

両者の違いは大きいように見えるかもしれませんが,実際は①保護領域の段階で考えるか③正当化の段階で考えるかの違いなのでそれほど大きな違いはありません。

しかし,ここでは通説ともいわれる,人格的利益説で考えていきましょう。つまり,憲法13条が及ぶのは人格的生存に不可欠な権利であるということです。

間違えやすい人格的利益説からはずれた自由の考え方

それでは,人格的生存に不可欠ではない自由(判例ではどぶろくを作る自由など)は保障されないものとなるのでしょうか。

それは違います!

憲法13条で正面から保障されていない自由だからといって何でも規制してよいわけではないからです。直接保障されていなくても法治国家の原理の観点から恣意的な規制は許されないと考えることができます。

えっ?じゃあ人格的利益説をとっている理由って何ですか?結局人格的生存に不可欠ではない自由に対する規制も「正当化」されるかどうか考えるのであれば,一般的自由説と同じですよね?

法上向
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前述で,人格的利益説と一般的自由説に大した違いはないといったことにも関わるな。

しかし,人格的利益説は人格的利益にかかわる自由とそうではない自由には決定的な差があるとしているんだよ。これが違憲審査基準にかかわってくるんだ。

後述で詳しく説明するので,詳細は省きますが,基本的に人格的利益にかかわる自由には厳格審査,そうではない自由には緩やかな審査基準を用いることになります

まとめ

幸福追求権(憲法13条)は,人格的生存に不可欠な権利を保障している。しかし,それ以外の権利も法治国家の原理によって保障が及ぶため,規制が正当化されるか検討しなければならない。

プライバシー権の違憲審査基準

プライバシーの権利の変容

幸福追求権(憲法13条)の一つとして最も確立しているのはプライバシー権です。これは人格的生存に不可欠の権利として,憲法13条が直接保障されると考えられている点はほぼ異論はないでしょう

問題は,判例によっては徐々にプライバシー権の中身が変化しているということです。今回の「はじめての憲法人権」シリーズでは判例はできるだけ避けるというコンセプトのため,詳細は省きますが,プライバシー権は個人の私生活上の自由として,情報の収集について問題視されていました。しかし,現在は情報の開示公表についてまでそのプライバシー権利の保障が及ぶようになってきたと考えられています。

つまり,情報を収集管理公表する,このすべての過程において個人の私生活上の自由が保障されているというわけです。よって,現在ではプライバシー権ではなく自己情報コントロール権が保障されているといったりもします。

プライバシー権は厳格審査基準

基本的にプライバシー権(現在では自己情報コントロール権とも呼ばれたりする)は,人の精神過程や内部的な身体状況にかかわる権利です。

よって厳格な審査基準が用いられます。

よって,その規制の目的が必要不可欠かどうか手段が必要最小限かどうかを検討していくのです。

プライバシー権は現在は自己情報コントロール権として捉えることも多い。厳格な審査基準を用いるため,目的が必要不可欠かどうか,手段が必要最小限かどうかを考えることになる。

新しい人権は緩やかな審査基準

新しい人権であり人格的生存に不可欠ではない人権は緩やかな審査基準になるのが通常です。もちろん,新しい人権であっても人格的生存に不可欠なものは上記と同じように厳格な審査基準になると思います。

法上向
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ここでもう一度復習を。人格的利益説にたつのになんで,人格的生存に不可欠ではない権利に対する制約もこの正当化の段階が必要だったかな?

憲法13条で直接的に保障されないとしても恣意的に規制してよいわけではないという法治国家の原理,平等原則・比例原則があるためです。

よく間違えやすい点なので繰り返しになりますが,人格的生存に関係ないから規制オッケーで終了するわけではなく,一応正当化の段階を考慮する必要があります(ただし,緩やかな審査基準を用いるのでほぼほぼ規制は正当化されます)。

よって,規制の目的が正当であるか手段が合理的であるかどうかを主として考えることになります。明白の基準を用いて,著しく不合理であることが明白であるか,を検討している判例もあります。

人格的生存に不可欠ではない権利は憲法13条から直接は保障されず,緩やかな審査基準による。よって,規制の目的が正当かどうか,手段が合理的かどうかを考えることになる(緩やかな審査基準なのでよっぽどのことがないと規制が違憲とされることはない)。

まとめ

幸福追求権の憲法13条についてみてきました。実は三段階審査論と違憲審査論だけを考えるなら単純で,プライバシー(その他人格的生存にかかわる権利)は厳格審査基準,そのほかについては緩やかな審査基準を用いればよいことになり,超単純であるということがわかると思います。

しかし,ちゃんとした答案のためにはここからさらに判例の知識を入れる必要があり,判例も多く厄介な分野といえそうです。

とはいえ,初学者のための「はじめての憲法人権」シリーズではまず基礎となる軸を作ってもらいたいのでわかりやすさを第一に解説してみました。皆さんの勉強の参考になればありがたいです。

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

三段階審査論に沿って解説されている基本書を紹介します。憲法の答案の書き方の参考にもなると思います。憲法独特の答案の書き方に困っている方はぜひ参考にしてみてください。

 

 

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