財産権(憲法29条)について違憲審査基準で考える【憲法その10】

財産権憲法

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憲法29条の財産権侵害って比較衡量とか,違憲審査基準論とか,裁量論とか,結局どう考えといいのかわからないんですよねー。

法上向
法上向

たしかに憲法29条は「結局どう考えればいいかわからない」分野の一つだな。「はじめての憲法」シリーズでは三段階審査論と違憲審査基準をもとにして考えることを目的としているから,それに則って考えていこうか。

財産権(憲法29条)の問題は考え方がよくわからないことが多いと思います。判例を踏まえると比較衡量や総合衡量で述べられており,いまいち明確性がありません。

ここでは学説を基礎に,わかりやすさにこだわりたいため,三段階審査論違憲審査基準に沿って考えていこうと思います。

財産権(憲法29条)のポイント

三段階審査論に則って,保護領域違憲審査基準論の設定を中心に考えていこうと思います。

①憲法29条の保護領域
②憲法29条の違憲審査基準論

それではみていきましょう。

財産権(憲法29条)の保護領域

憲法29条の条文を解読せよ

まず憲法29条の条文をみてみましょう。

第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

憲法29条3項は損失補償の問題に強くかかわるので行政法に話を委ねます。詳しくは以下の記事をご覧ください。

憲法29条1項憲法29条2項の関係性が問題です。

憲法29条1項は財産権は侵してはならないとしているにもかかわらず,憲法29条2項は財産権は法律で制限されると規定しているように読め,矛盾しているように感じます。

ここで一つの考えは,2項を中心に考える方法です。

2項は財産権については司法の法律で立法者の裁量で定めることを前提とします。しかし,なんでも制限できるかというとそうではなく1項で財産権について憲法上守るべき核心部分については制限できないという規定であるとの理解です。

つまり,1項は制度体制を保障し,2項はその枠内で立法者による具体的な法律を規定すること内容としているわけです。

財産権(憲法29条)の問題となるのはどのような場合か

国は憲法29条2項にのっとり財産権に対する規制については法律を作ります。しかしその法律も1項により核心部分については制限できません。

そのため,憲法29条2項に書かれた公共の福祉に適合するものかどうかが問題になるのです。

繰り返しになりますが,2項があるから国会は何でも財産権を規制する法律を定められるというわけではないということですね。その規制が正当かどうかを憲法29条2項の「公共の福祉に適合するかどうか」により判別しているわけです。

まとめ

以上,財産権(憲法29条)の保護領域をまとめると以下のようになります。

憲法29条2項より財産権については法律により規定されるが,憲法29条1項の規定からわかるように無制限に規制されるわけではない。公共の福祉に適合する必要がある(憲法29条2項)。
よって,財産権に対する規制が問題になる場合には,公共の福祉に適合する規定かどうかが争点となる。

財産権(憲法29条)の違憲審査基準

財産権の保護領域制約の有無を確認したら,違憲審査基準の設定の段階となります。ここでは権利の性質や規制の態様を考慮することになります。また一般的に裁量があれば審査基準は一段階下がることになります。

まずは権利の性質を見てみましょう。

二重の基準論

二重の基準論は頻繁に登場しますね。二重の基準論によれば精神的自由は経済的自由より重要,逆に言えば経済的自由は精神的自由より緩やかに審査されることになります。

よって,経済的自由のデフォルトは中間審査ということになります。ここからどれくらい下がるか,あるいは下がらないかが問題というわけです。

裁量

一般的にも立法府の裁量が大きいものだと違憲審査基準は下がりますが,財産権では特に裁量が問題になることが多いです。

職業の自由(憲法22条)の場合は裁量を目的二分論として体系化していましたが,財産権ではあくまで違憲審査基準の設定の一考慮要素だと考えておいてください。

規制態様は既得権の侵害か

一度得た財産権(既得権)を規制によって奪われるのは侵害態様として大きいです。つまり,既得権を奪うような規制は侵害が大きいため,審査基準は高い(下がらない考慮要素)ということになります

普通に考えても,はじめから持っていない財産を与えられない場合より,はじめは持っていた財産を奪われる方が嫌ですよね。

違憲審査基準の設定

以上を踏まえると,財産権を侵害する規定についてはまず中間審査からスタートします。

しかし,財産権を侵害する規定については裁量権が広い場合が多いので一段階下がり緩やかな審査基準になることが多いと思います。

規制の目的が正当か,手段が合理的かどうかを考えることになると思います。

一方,既得権を侵害する性質のあるものは裁量権があっても審査基準が下がらず中間審査で考えることになると思います。

規制の目的が重要か手段の合理性・必要性・相当性があるかどうかを検討することになると思います。

まとめ

財産権(憲法29条)についてみてきました。今回は完全に違憲審査基準に乗せて書きましたが,判例では比較衡量の一要素として検討しているパターンが多いと思います。そのため,上記議論とのズレがあるかもしれません。

とはいえ,とりあえず考え方を理解する上では三段階審査論違憲審査基準も大事だと思います。一緒に頑張っていきましょう!

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

三段階審査論に沿って解説されている基本書を紹介します。憲法の答案の書き方の参考にもなると思います。憲法独特の答案の書き方に困っている方はぜひ参考にしてみてください。

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