改正民法対応!委任とは?わかりやすくチェック【契約法その14】

委任民法
法上向
法上向

今回は委任について学習していくよ。委任について知っていることはあるかい?

なんとなく漠然とは知ってるんですけど…

具体的な権利・義務ってなってくると難しいですね(汗)。報酬とか報告とかがあった気がするんですけど、よく覚えてません……

法上向
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そうだね、委任はあまり論文の試験にはでないから義務を正確に詳しく覚えている人は少ないだろう。

今回は短答対策もあるので条文にそって権利・義務を整理していこう。

委任は論述の試験にはあまり出題されません。しかし社会では至るところで委任の場面は見られます。また短答でも頻出の箇所です。そのため民法を学習する者として、委任は知っておくべき条文でしょう!

今回は委任について、条文にそって、さっと要点を復習できるような記事にしていこうと思います!

委任のポイント

まずは委任の成立と権利・義務について確認しておきましょう。特に権利・義務は多くの種類や考え方があるので今回は条文に沿って理解することを第一としてある程度整理していこうと思います。

次に委任の終了について確認していきます。こちらも条文に沿って確認していきます。

①委任の成立・権利義務について確認する。
②委任の終了について各条文から理解する。

それでは見ていきましょう。

委任の成立・委任の権利義務

委任の条文は民法643条

委任の条文は民法643条です。さっそく確認してみます。

(委任)
第六百四十三条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

いつも通り諾成契約です。

それでは委任契約から発生する権利・義務について確認していきます。

受任者の義務:善管注意義務(民法644条)

受任者は、委任契約の内容に沿って、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負います。民法644条です。

(受任者の注意義務)
第六百四十四条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う。

これを善管注意義務と指図遵守義務に分けたりします。まとめて事務処理義務です。
委任の本旨に従い」とあるのがポイントです。

受任者の義務:報告義務(民法645条)

受任者は、委任者の請求があるときはいつでも報告しなければなりません民法645条を見てみましょう。

(受任者による報告)
第六百四十五条 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

この義務は契約から発生する一般的な債権なので、もちろんこのような報告義務も違反すれば、履行請求(報告請求)損害賠償解除などすることが可能です。

受取物引渡義務・権利移転義務(民法646条)

さらに、受任者は委任事務の際に受け取った金銭等や権利を委任者に渡す義務があります。民法646条になります。

(受任者による受取物の引渡し等)
第六百四十六条 受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。
2 受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。

さらにやや細かいですが、受任者は委任者に引き渡すべき金銭を自己のために浪費した場合には浪費した日以後の利息を払わなければならないとされます。民法647条です。

(受任者の金銭の消費についての責任)
第六百四十七条 受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

委任者の義務:報酬支払義務(民法648条)

民法によると、委任契約は原則として無償です。しかし特約がないと受任者は委任者に対して報酬を請求することができません。なお商人であれば特約がなくても相当な報酬を請求できます(商法512条)。

もし特約があれば委任者は報酬支払義務を負うというわけです。報酬については民法648条を見てください。

(受任者の報酬)
第六百四十八条 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
2 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。

受任者は委任を履行した後でなければ報酬を請求できないという点も意識しておきましょう(民法648条2項)。

この条文を読み解くうえでは、委任の報酬形態には2つあることを意識する必要があります。

委任事務に対して報酬が支払われる場合(履行報酬パターン)②委任事務により得られる成果に対して報酬が支払われる場合(成果報酬パターン)の2つです。

履行報酬パターンでは、委任終了の場合、履行割合に応じて報酬を請求することができると定められています(民法648条3項

(受任者の報酬)
第六百四十八条 
3 受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
二 委任が履行の中途で終了したとき。

成果報酬パターンでは、委任の終了の場合、受任者の利益の割合に応じて報酬を請求することができると定められています(民法648条の2第2項準用民法634条

(成果等に対する報酬)
第六百四十八条の二
2 第六百三十四条の規定は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する。

(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)
第六百三十四条 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる
一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。

さらに成果報酬パターンの場合には引渡しが必要なとき、報酬は、引渡しと同時に支払わなければならないとされています(民法648条の2第1項

(成果等に対する報酬)
第六百四十八条の二 委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない

繰り返しになりますが、委任契約は特約がないと報酬は発生しない=原則無償の契約であるということはしっかり押さえておきましょう。あくまでも以上の条文は報酬特約がある場合であり、特約によって履行報酬パターンと成果報酬パターンがあるというわけです。

委任者の義務:費用償還義務

受任者が事務処理について必要費を支出した場合や債務を負担した場合、損害を受けた場合には、委任者に対して請求等が可能です。民法650条になります。

(受任者による費用等の償還請求等)
第六百五十条 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
2 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
3 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。

委任契約の終了

委任契約の終了事由は複数あります。それぞれ条文に沿って確認していきます。

任意解除(民法651条)

委任は各当事者がいつでも解除することができます(民法651条)。ポイントは委任者側でも解除できるという点です。

え、でもそんなことしたら委任契約の相手方がかわいそうじゃない?急に委任が解除されるんでしょ。

法上向
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改正民法は解除された相手方の対処は損害賠償に求めているんだ。

(委任の解除)
第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

債務不履行解除

委任契約から生じる権利・義務については上記で確認済みです。これらの義務について不履行であった場合には、債務不履行により損害賠償はもちろん、解除をすることができます

この場合は契約法一般の規定によります。

>>>契約法一般の規定。債務不履行解除【契約法その5】

委任の当事者の死亡等(民法653条)

(委任の終了事由)
第六百五十三条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一 委任者又は受任者の死亡
二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。

委任の終了事由は短答試験に非常によく出題されます。しっかり覚えましょう。

委任の効果は将来効(民法652条)

委任の解除の効力については民法620条が適用されるとされています(民法652条)。賃貸借契約の場合の準用であり、委任の解除は将来効というわけです。

委任の終了の対抗(民法655条)

委任はただ単に終了事由があれば当事者間においても終了するというものでもありません。

たとえば委任者が死亡したことを委任者が知らなかった場合を考えてみましょう。

受任者が委任者の死亡を知らない間に必要費を支出した場合には委任者の相続人に対して依然として償還請求をすることができます(民法650条1項)。

この際に委任者の相続人が「委任者は死亡していたから委任契約は終了していたんだよ」といっても受任者は「そんなこと、私は知らなかったよ!委任が終了したら教えろよ!(怒)
」となるわけです。

そのため、委任が終了した場合相手方に終了を対抗するためには通知、もしくは相手方が知っていたことが必要というわけですね。民法655条です。

(委任の終了の対抗要件)
第六百五十五条 委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。

ちなみに解除の場合には解除の意思表示が必要ですから、この対抗要件は当然満たされることになります。

まとめ

委任についてまとめてきました。お気づきの方は多いと思いますが、

委任の契約に沿って一つずつ条文を見ていっただけ

です。それくらい委任は条文通りにわかりやすく並んでいるということです。

論述試験に委任が出た場合は焦らず委任の条文を一つずつ確認していけばいいだけですし、短答試験対策の場合は条文を素読していけばほぼ大丈夫ということになります。

一緒に勉強を頑張っていきましょう!読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

契約法について、初学者が学習しやすい本としては潮見佳男先生の『債権各論Ⅰ』をおすすめします。薄いため、最低限の知識がコンパクトにまとめられており、語り口調も丁寧語であるため、しっかり読めば理解できる流れになっています。青・黒・白と三色刷りなのでポイントも青の部分を読めばわかります。

もちろん、改正民法対応です。ぜひ読んでみてください!

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