譲渡担保はこれだけみれば大丈夫!わかりやすく攻略してみた【物権法その16】

民法

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譲渡担保が全然わかりません!

法上向
法上向

たしかに譲渡担保は難しく書かれていることが多いな。

今回は物権法の最後のボス「譲渡担保」について攻略していこう!

物権法の3大ボスは「物権変動」「抵当権」「譲渡担保」です。

>>>物権変動についてわかりやすい解説【物権法その3】

>>>抵当権についてわかりやすい解説【物権法その10】

今回は最後のボス「譲渡担保」についてです。

物権法で一番難しいとされている分野でもありますが、理論構成としては割とシンプルです。

今回は判例・通説のみをわかりやすく解説し、結局、譲渡担保はどう考えればよいのか、説明していこうと思います。

譲渡担保のポイント

譲渡担保とは何か?をまず押さえましょう。譲渡担保の難点は明文の規定がまだないという点です(現在創設が議論がされているといわれています)。そのため、図を用いて、譲渡担保とは何か?のイメージをもつ必要があります。

この際、所有権的構成担保的構成がありますが、通説である所有権的構成について解説します。

さらに、譲渡担保の実行まで説明します。

その次に、譲渡担保と対抗要件・対抗問題を押さえます。譲渡担保設定者側が処分する場合と譲渡担保権者が処分する場合の2パターンあるのでしっかりと分けて押さえる必要があります。

①譲渡担保とは何か理解する。
②譲渡担保の対抗問題について、譲渡担保設定者側の処分について理解する。
③譲渡担保の対抗問題について、譲渡担保権者側の処分について理解する。

それではみていきましょう。

譲渡担保とは何か?

被担保債権の回収のための譲渡担保

譲渡担保は実務でも割と使われる債権回収方法です。

ただしやっかいなのが、現在、譲渡担保について民法に明文の条文がないという点です。法律の分野勉強において、最初に押さえるべきは条文ですが、譲渡担保は条文から入ることができないということです。

そのため、イメージで押さえるしかないです。

まず、債権者と債務者で債権債務関係がある場面を想定してください。

さて、この被担保債権を担保するために、債務者の動産(不動産や債権でも可)を差し出したとします。

しかしながら、債務者自身、この動産を使いたい場面もあるはずです。たとえばこの動産が機械であった場合、自身の事業のために機械が必要な場合などです。

物を債権者に譲渡するので、物の占有は債権者に移ります。しかし、債権者は債務者に物を使わせるために、以後も占有し続けていいよ!と主張するわけです。

これは、占有改定(民法183条)ですね!

(占有改定)
第百八十三条 代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。

>>>占有改定についてわかりやすい解説【物権法その6】

このように譲渡担保では、占有改定がセットとして登場します。

被担保債権の担保として、債務者の物を債権者に譲渡させるが、物自体は引き続き債務者に使用させる(占有改定)

ということです。

学説に惑わされるな!所有権的構成で考えろ!

さて、この場面で、債務者の物の所有権は、債権者(譲渡担保権者)にあるのでしょうか?それとも、債務者(譲渡担保設定者)にあるのでしょうか?

これには学説の対立がありますが、わかりやすいのは所有権的構成です。そのため、以下、すべて所有権的構成で説明します。

譲渡担保設定者が譲渡担保権者に物を譲渡したことによって、当該物の所有権は譲渡担保権者に移っていると考えます。

そして、譲渡担保権者と譲渡担保設定者との間で、被担保債権の担保目的という債権関係が生じているにすぎないと考えるのです。

質権や抵当権との違いはここに表れます。

債権者が担保物の占有だけではなく、所有権までも保持するのが譲渡担保であると考えるのです。

譲渡担保の実行は帰属清算方式と処分清算方式

さて、被担保債権が最後まで弁済されなかった場合、

譲渡担保権者は、被担保債権回収のために、譲渡担保を実行します。

すると、まず担保物は完全に譲渡担保権者に移ります(構成に関係なく、完全な所有権を譲渡担保権者がもつことになります)。

次に、譲渡担保の実行方法として、帰属清算方式と処分清算方式があることを押さえましょう。

帰属清算方式は、担保物を自分のものにすること
処分清算方式は、担保物を誰かに売ること

をいいます。

ただし、譲渡担保の特別な規則として、

余分なお金(=清算金)は譲渡担保設定者に返す

というものがあります。これを清算義務といいます。

帰属清算方式の場合は、担保物を評価額で査定し、被担保債権よりも上回る価格のとき、余分なお金(清算金)を譲渡担保設定者に返します(なお、下回る場合には、清算金はありませんでしたという通知をします)。

処分清算方式の場合は、担保物を第三者に処分した際のお金が被担保債権よりも上回るとき、余分なお金(清算金)を譲渡担保設定者に返します(なお、下回る場合には、清算金はありませんでしたという通知をします)。

譲渡担保の実行

これにて、譲渡担保権者は、帰属清算方式や処分清算方式によって、担保物からお金を手に入れ、被担保債権の回収を図ることができるわけです!

譲渡担保と対抗問題

譲渡担保の対抗要件

さて、いよいよ論点には言っていきます。

譲渡担保の中で第三者が登場した場合は、譲渡担保権者を優先するのか、第三者を優先するのか、すなわち対抗問題が出てくるというわけです。

その前にまずは譲渡担保の対抗要件について押さえておきましょう。

譲渡担保の対抗要件は、担保物が動産の場合、一般的に占有改定が対抗要件となります(担保物が不動産の場合は登記、債権の場合には債権譲渡対抗要件の規定に沿って考えます)

譲渡担保と占有改定はセットでしたから、譲渡担保を設定した時点で対抗要件まで自然と備わるというわけです。

譲渡担保設定者側の処分

まずは譲渡担保設定者が担保物を第三者に処分してしまった場合を考えてみましょう。

譲渡担保権者第三者のどちらが勝つのかが問題となります。

この図を見て、

二重譲渡

を思い浮かべた方は察しがいいです!

そうなんです、譲渡担保設定者が第三者に処分した場合は二重譲渡の場面になります。そのため、対抗要件をどちらが先に備えたかの問題になるというわけです。

不動産の場合

不動産の場合は、譲渡担保権者と第三者のどちらが先に登記を備えたかどうかの問題となります。

また、第三者の方が先に登記を備えていたとしても、その第三者が背信的悪意者の場合には信義則上、譲渡担保権者の勝利となります。

>>>不動産の二重譲渡の処理をわかりやすく解説【物権法その3】

動産の場合

動産の場合は、譲渡担保権者と第三者のどちらが先に引き渡したかが問題となります。

先ほども解説した通り、動産の譲渡担保の場合は占有改定がセットになりますので、対抗問題としては必ず譲渡担保権者が勝利するということになります。

しかしながら、そこで終わってはいけません。第三者は譲渡担保設定者から動産をゲットしたことになりますが、動産の物権変動では最後の切り札として、即時取得(民法192条)があったのを覚えていますか?

詳しくは動産の物権変動の箇所で解説していますので気になる方は下の記事を参考にしてみてください。

>>>動産の物権変動についてわかりやすく解説。最後の切り札の即時取得とは?【物権法その6】

すなわち、第三者は、譲渡担保権者の占有改定により基本的に負けますが、即時取得の要件を満たすのであれば、逆転勝利が可能というわけです。

債権の場合

債権の譲渡担保の場合には債権の第三者対抗要件の具備の先後を考えれば大丈夫です。

譲渡担保権者側の処分

譲渡担保権者側も担保物を勝手に処分してしまうことがあります。

この場合、先ほどとは逆で、譲渡担保設定者第三者のどちらが勝利するかという対抗問題が出てくるわけです。

譲渡担保権者側の処分の場合には、被担保債権の弁済期前と弁済期後で処理方法が異なりますので、分けて検討していきましょう。

被担保債権弁済期前の場合

上図を見ると、

譲渡担保設定者から譲渡担保権者、譲渡担保権者から第三者へと、ただ順々に担保物が移転しただけじゃん!

と思われるかもしれません。

しかし、被担保債権の弁済期前ということを忘れないでください。

譲渡担保設定者はちゃんと被担保債権を期限内に弁済すれば、完全な所有権をゲットできるわけです。

さて、譲渡担保設定者がちゃんと弁済した場合を考えてみましょう。

上図のように、被担保債権の弁済期前の場合には、二重譲渡の場合と同様の場面となるわけです。譲渡担保設定者と第三者のどちらが勝利するかが問題となります。

二重譲渡の場面とわかればあとは簡単です。

不動産の場合には、どちらが先に登記を備えたかどうか(+背信的悪意者かどうか)
動産の場合には、どちらが先に引渡したかどうか(+即時取得が成立していないかどうか)
債権の場合には、どちらが先に第三者対抗要件を備えたかどうか

を考えることになります。

たとえば、不動産の場合に、

譲渡担保権者は、第三者に対して、担保不動産の登記を備えた後、譲渡担保設定者が被担保債権を弁済したとすると、原則として、先に登記を備えている第三者が勝利します。しかし、その第三者が背信的悪意者である場合には、信義則上、民法177条の「第三者」にはあたらないので、登記を備えていない譲渡担保設定者が勝利するというわけです。

また、動産の場合に、

譲渡担保権者は、第三者に対して、占有改定で引渡しをした後、譲渡担保設定者が被担保債権を弁済して、現実の引渡しをうけ、即時取得の要件を満たすのであれば、譲渡担保設定者が勝利するということになるわけです。

被担保債権弁済期後の場合

被担保債権弁済期後の譲渡担保権者の処分の場合には話が異なります。

というのも、被担保債権弁済期後であれば、もはや譲渡担保設定者による弁済が期待できないため、譲渡担保権者は自由に担保物を処分できる地位にあるからです。

となると、譲渡担保権者が担保物を第三者に処分しようが、譲渡担保権者の勝手です。譲渡担保設定者は、何も口出しできません

弁済期後に

譲渡担保設定者「弁済期すぎちゃったけど、お金集めてきましたー

と言ったとしても、譲渡担保権者がすでに第三者に処分しているのであれば

譲渡担保権者「おせーよ。もう第三者に売っちゃったわ

ということで、譲渡担保設定者は何も主張できないことになります。時すでに遅しというわけです。

二重譲渡のケースではなく、単なる譲渡担保権者と第三者との取引の場面になるわけです。

第三者がたとえ、背信的悪意者であったとしても、結論は変わらず第三者の勝利です。譲渡担保設定者の関係なしに、第三者の勝利が確定します。

なお、これは譲渡担保権者による処分清算方式ですので、被担保債権に対して余分なお金が生じるのであれば、清算金として譲渡担保設定者に返す必要があります。

まとめ

以上、譲渡担保について解説してきました。

譲渡担保とはどういったものか、なんとなくでもおわかりいただけたでしょうか。

最後に復習してみましょう。

①譲渡担保は被担保債権回収のために、担保物を譲渡するものであり、占有改定とセットである。

②所有権は譲渡担保権者へ移転する(所有権的構成)。

③譲渡担保と対抗問題において、譲渡担保設定者側が処分する場合、二重譲渡として処理する。

④譲渡担保と対抗問題において、譲渡担保権者側が処分する場合、弁済期前か弁済期後かに注意する。
→弁済期前の場合には二重譲渡のケースとして考える。
→弁済期後の場合には譲渡担保の実行の処分清算方式として、第三者が必ず勝利する。

解説は以上です。読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

担保物権についてわかりやすい解説は、はじめての法でおなじみストゥディアシリーズです。

これを超える担保物権の基本書はないと思います。三色刷り+事例問題が豊富なので、楽しく担保物権を学習できるはずです。

初学者の方はまずはこの本から読んでみてください!

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