詐欺強迫は単純に理解できる!ロー生解説!【民法総則その4】

詐欺・強迫民法

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法上向
法上向

だまされた!ってときは契約は当然取り消せると考えるよね?

そうですね,詐欺で取り消せると思います。

詐欺ってどういうことを言えばいいんでしょうか…。

詐欺(民法96条)の規定は,要件が少しわかりにくいです。学説によっても要件が若干違っています。そのため,今回はできるだけ条文に沿う形で詐欺について考えていけたらいいなーと思います。補足として強迫についても考えます。

詐欺・強迫のポイント

詐欺強迫のポイントは,詐欺を中心に考えるということです。なぜかというと強迫はあまり問題にでないからということがあげられます。条文も同じなので詐欺中心に考えていけば大丈夫でしょう。

①詐欺の要件について理解する。
②第三者詐欺について理解する。
③強迫について理解する。
④詐欺と強迫で善意の第三者の場合の対応が異なることを理解する。

詐欺の場合は要件を考えよ

条文は何も書いていない

詐欺の条文をみてみましょう。民法96条です。

(詐欺又は強迫)
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
なんと!詐欺の条文96条には要件が細かく書いていないのです。めちゃくちゃ不親切な条文ですね。

そのため,要件として何を検討しなければいけないのが覚えておく必要があります。今回は刑法各論の詐欺の理解にもできるだけ沿うように,検討ポイントを整理してみました。

①故意②欺罔行為③錯誤④意思表示
錯誤と意思表示は前回とほぼ一致します。③④は因果関係を意味しているのですが,それは後述します。錯誤との大きな違いは①②です。以下,それぞれの要件について考えてみましょう。

故意は二段の故意を必要とする

詐欺には故意が必要です。刑法みたいですね。しかも,故意は2つ必要だとされています。

一つ目は,欺罔行為から錯誤に陥らせるという故意(騙す故意)
二つ目は,錯誤により意思表示を指せる故意です。

つまり,民法の詐欺は騙す故意だけではなく,騙した後の故意=錯誤により意思表示をさせる故意まで必要ということです。最後まで故意が必要ということですね。なおこの錯誤は通常であれば,前回の2号錯誤に該当すると思います。

欺罔行為は違法性

社会一般,欺罔行為というのはよく行われています。例えば売買を考えてみてください。皆さんは,商品購入後,「だまされたー」となった経験はありませんか?このようなちょっとした欺罔行為は日常で頻繁に行われています。しかし,それをいちいち違反だ!取り消せ!といっていたらきりがありません。商売が成り立たなくなってしまいます。

よって,民法96条の詐欺は違法性があることが必要とされているのです。この違法性とは,社会通念上許される限度を超えたものであることを必要としています

欺罔行為により錯誤に陥ったこと

経験上,この錯誤は前回のように厳密に考える必要はないでしょう。より重要なのは因果関係です。欺罔行為により錯誤に陥ったことが必要なのです。

錯誤に陥り意思表示をしたこと

これも錯誤から意思表示への因果関係が重要になります。

詐欺は故意+欺罔行為→錯誤→意思表示

どうしたか?今までの議論を整理すると,錯誤のポイントは①故意②欺罔行為③錯誤④意思表示ですが,ここで欺罔行為→錯誤→意思表示までの一連の流れが重視されていることがわかったでしょうか?

故意は欺罔行為→錯誤の故意と錯誤→意思表示の故意を要求していまたよね。また,欺罔行為→錯誤の因果関係と錯誤→意思表示の因果関係が重視されていました

詐欺の要件を考えるときはこの流れを意識すると,しっかり覚えなくても自然と思い出せるようになると思います。

詐欺の要件は①故意②欺罔行為③錯誤④意思表示である。
①故意について,故意は(欺罔行為から)錯誤に陥らせる故意と錯誤から意思表示をさせる故意の2つが必要である。
②欺罔行為は社会通念上許される限度を超えた違法なものである必要がある。
③錯誤は欺罔行為から錯誤に陥ったという因果関係を重視する。
④意思表示は錯誤から意思表示をしたという因果関係を重視する。
これをみて何となく気づいた方もいるかもしれませんが,詐欺と錯誤はほぼ重なります。故意があるかどうかが大きな違いで他はほぼ一緒です。なので,問題では詐欺も錯誤もどちらも問題となることが多いです。

第三者の詐欺

詐欺には第三者からの場合も規定されています。ここでの第三者は例の善意の第三者のように難しく捉えるのではなく,一般的な第三者(当事者以外)と考えましょう。第三者詐欺は条文通りです。

2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。

第三者から欺罔された場合,相手方が悪意または過失であれば取消しができるということですね。

ここで重要なのが,第三者の詐欺の場合でも詐欺の要件はかわらないということです。

第三者は①欺罔行為によってAを錯誤に陥らせる故意があったか(だます故意があったか)②Aを錯誤に陥らせて意思表示をさせる故意があったか,③欺罔行為は違法か④第三者の欺罔行為によって錯誤に陥ったか,⑤錯誤によって意思表示をしたか。の以上5つを検討していくことになります。

第三者詐欺(民法96条2項)は,条文通り。ただし,第三者の場合でも詐欺の要件の検討は忘れないように。

強迫

強迫は脅迫と同じ意味と考えてよいでしょう。民法では迫と書きます。

詐欺の要件がマスターできれいれば強迫は余裕です。復習もかねて強迫の要件がどうなるか考えてみましょう。強迫の場合は欺罔行為ではなく強迫行為となり,錯誤ではなく畏怖となります。

まず故意は,強迫行為から畏怖させる故意と,畏怖させて意思表示をさせる故意が必要になります。
次に,強迫行為も,詐欺の場合と同様に社会通念上許されrる限度を超えている必要があります。最後に,強迫行為から畏怖,畏怖から意思表示の因果関係が必要になるのです。

強迫は詐欺の要件について,欺罔行為を強迫行為,錯誤を畏怖と言い換えれば足る。

詐欺と強迫の違いは2項3項に現れる

さて,第三者による強迫の場合はないのか,疑問に思いませんか?結論をいうとありません。えっ?どういうことと思われるかもしれませんが,強迫の場合はわざわざ規定するまでもないということです。

つまり,第三者による詐欺の場合は相手方が悪意または過失でないと取り消せませんでしたが,強迫の場合は第三者とか関係なしに取り消せるということです。誰からの強迫行為かは区別していないということですね。

このような違いは3項にも表れています。

3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

はい,おなじみの条文ですね。錯誤と一緒です。忘れてしまったという方は下の記事を参照してください!

心裡留保・通謀虚偽表示はカンタン!楽勝な考え方【民法総則その2】
はじめての民法総則シリーズです。改正民法完全対応。改正民法で学習しているロースクール生がわかりやすく法律を伝えるための記事です。第2回目の今回は心裡留保と通謀虚偽表示について解説しています。善意の第三者は民法の基礎となるのでしっかり押さえましょう!

補足すると,今回の第三者は錯誤の場合と同様,取消前の第三者となります。これはまた別記事で詳しく書く予定です。

これも「あれ?」と思いませんか?そう,強迫については規定されていないのです。規定されていないということは認められないということ,つまり強迫の場合は善意無過失の第三者であろうがなかろうが取り消せるということになります。

これは詐欺と強迫の違いによるものです。詐欺の場合はだまされる方もだまされる方だよねという考えが働いているのだと思います。だから第三者による詐欺(相手方が詐欺に関与していない場合)や第三者が取引関係にいる場合はその者を保護してあげようという要請が働くのです。

一方で,強迫の場合は強迫行為がされたら普通は応じるしかありませんよね。強迫される方も悪いじゃんという考えはできないわけです。つまり,強迫の方が表意者を保護してあげようという考えが強いということですね。

強迫は表意者保護の要請が高いので,2項,3項のような規定がない。取り消すことができる。

まとめ

いかがでしたか。今回は詐欺と強迫を追ってきました。どちらも同じ条文を適用しますが性格は異なります。まずは要件を理解し,次に違いを理解すれば大丈夫です。

①詐欺は欺罔行為→錯誤→意思表示の流れを意識する。すると要件は,㋐欺罔行為により錯誤に陥らせる故意と㋑錯誤に陥らせ意思表示をさせる故意,㋒欺罔行為の違法性,㋓欺罔行為と錯誤の因果関係㋔錯誤から意思表示の因果関係となる。
強迫は強迫行為→畏怖→意思表示の流れを意識する。すると要件は,㋐強迫行為により畏怖させる故意㋑畏怖から意思表示をさせる故意㋒強迫の違法性㋓強迫行為と畏怖の因果関係㋔畏怖から意思表示の因果関係となる。
②第三者の詐欺は条文通りに考える。ただし,この場合も詐欺の要件㋐~㋔の検討は忘れない。
③強迫には2項3項が認められていないが,これは強迫はこのような場合でも常に取り消せるからである。
以上読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

記事の目的上,とても簡潔にまとめているので,もっと深めたい方は以下の基本書を参考にしてください。改正民法対応でわかりやすいのでおすすめです。

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