民法改正対応!同時履行の抗弁とは?条文からわかりやすく理解【契約法その2】

同時履行の抗弁民法

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契約の成立については前回の記事でわかったよ!
けど契約の効力については別の箇所に規定されてますよね。

法上向
法上向

たしかに民法では第2款で「契約の効力」について書いているな。とはいっても実際は契約の効力は債権の効力として考えられることが多いだろう。
ここでは契約法として覚えておきたい独自の効力について勉強していくことになるぞ。

一般的に契約はお互いの債権によって成り立っています。そのため、その債権の効力を考えれば契約の効力を理解したことになるのです。

民法で規定されている「契約の効力」というのは、債権単独では認められない、契約独自の効力のことです。

同時履行の抗弁・危険負担・第三者のためにする契約

が主となるでしょう。このうち、危険負担は難しいので別の箇所で扱うことにして、今回は同時履行の抗弁について書いていこうと思います。

同時履行の抗弁は試験に非常によく出題されるため、しっかり理解することが大事です。一緒に頑張りましょう!

なお、次回に第三者のためにする契約について書いていきます。

同時履行の抗弁のポイント

そもそもの前提を押さえていない方が多いと思うので、繰り返し述べておくと、

契約の効力は「単独の債権とは異なる、契約独自の効力」について書かれている箇所です。

そのため、その契約の効力の箇所に書かれている、同時履行の抗弁は

契約があること

が前提となります。

この点を理解したうえで、同時履行の抗弁ついて知っておきたいポイントを整理していきます。

①同時履行の抗弁・危険負担・第三者のためにする契約は「契約の効力」の箇所に規定されている意味を理解する。
②同時履行の抗弁の要件・論点を理解する。

同時履行の抗弁権とは?

同時履行の抗弁の条文は民法533条

同時履行の抗弁とは、双務契約において、相手方からの履行がないために自身の債務の履行を拒むことができるという権利のことを言います。

条文を確認してみましょう。民法533条です。

(同時履行の抗弁)
第五百三十三条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

条文通りに理解しておけば問題ないでしょう。

ポイントは双務契約であるという点です。

双務契約とは、契約で債務と反対債務が互いに結び付けられているものです。

典型的例としては、売買契約における、代金支払請求権と目的物引渡請求権のようなものです。これはどちらも売買契約から生じるものであり(民法555条)、お互いの債権は同時履行の関係に立つとされています。

双務契約で、自身の債権によって相手方が債務の履行を提供するまでは、相手方の債務履行請求も応じる必要がないというわけですね。売主が代金支払請求をした場合でも、売主が目的物を引き渡さない間は、応じる必要がないということです。

また、お互いに履行を拒めるとなると、埒が明きません。そのため、もし訴訟で同時履行の抗弁が提出され認められると、引換給付判決「被告は原告から甲の引渡しを受けるのと引き換えに、原告に対し、〇〇円を支払え」を出します。これで原告と被告で同時履行をさせるというわけです。

とりあえず、このように同時履行の抗弁があるという点を押さえましょう

損害賠償・解除・相殺で問題となる存在効果説

少し応用になります。損害賠償解除の際に同時履行の抗弁はどう扱われるのかについて確認してみましょう。

たとえば、売買の場面を想定してみてください。買主が目的物の履行遅滞を理由に損害賠償請求(民法415条1項)をしたとします。この場合、売主は代金が支払われていないことを理由として同時履行の抗弁を出せるでしょうか?

目的物履行遅滞による損害賠償請求と代金支払請求は、同じ売買契約という双務契約から発生しているものですよね。そのため、同時履行の抗弁は認められそうです。

ところが判例は少し変則的に考えています

損害賠償請求の段階で「同時履行の抗弁がないこと」まで主張しないといけない、としているのです。これを存在効果説といいます。

どういうことかというと

損害賠償請求の要件は①債務②不履行③損害・額④因果関係が基本でした。これに加えて双務契約の場合には、相手方が同時履行の抗弁を主張してくることを踏まえて、⑤同時履行の抗弁の不存在を主張しないといけないというわけです。

先ほどの例だと、買主は①売主に目的物請求債務があること(売買契約)②履行期に遅れたこと(履行期の合意と経過)③損害・額④因果関係に加えて⑤代金を支払ったことを主張する必要があるというわけです。

なんのことだか全然わかりません(汗)

法上向
法上向

たしかにここらへんは要件事実をしっかり学習しないと理解しづらい部分だろうね。ポイントだけ押さえていこう。

この存在効果説を理解するのはかなり難しいと思います。というか忘れてしまいます。

そのため、わかりやすい理解の方法をお教えします

損害賠償と解除の時の要件の債務というのは

単独の債務になっていなければならない(同時履行がついていてはならない!)

ということだけを押さえておいてっください。

つまり、損害賠償請求や解除の際に主張することになる「債務の発生」の「債務」は相手方からの同時履行の抗弁の付着していない「完全な単独の債務」である必要があるというわけです。

そのために、請求者側は、同時履行関係があって「完全な単独の債務」でない債務である場合(=請求したとしても同時履行の抗弁が可能な場合)には、「完全な単独の債務」にするために同時履行の抗弁不存在を前もって主張するというわけです。

これは相殺の場面にも似ています。相殺は「相殺の性質に適したものであること」が必要でした。その際の典型例は「同時履行の抗弁権がついている場合には相殺ができない」というものです。

そのため、相殺の自働債権でも双務契約の関係を解消して「完全単独の債務」にしておく必要があります。よって相殺でも相殺権者が「同時履行の抗弁不存在」を主張していくことになるのです。

〈同時履行の抗弁の存在効果説のわかりやすい理解の仕方〉
損害賠償・解除・相殺の要件になる「債務」は「完全単独の債務」である必要がある。そのため、その「債務」が双務契約によるものであるなら、請求権者側が「同時履行の抗弁の不存在」も合わせて主張する必要がある。

まとめ

契約の効力について、同時履行の抗弁と第三者のためにする契約をみてきました。

同時履行の抗弁は非常に試験問題に出題されます。ところがあまり論点がないため、深入りしていく必要はないでしょう。演習を積めば自然と理解できるようになります。

特に存在効果説の箇所はわからないうちは飛ばしておきましょう。演習を積んで、主張立証構造・要件事実についての理解が十分になった際にまた戻ってきてもらえれば自然と頭に入ると思います!

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

契約法について、初学者が学習しやすい本としては潮見佳男先生の『債権各論Ⅰ』をおすすめします。薄いため、最低限の知識がコンパクトにまとめられており、語り口調も丁寧語であるため、しっかり読めば理解できる流れになっています。青・黒・白と三色刷りなのでポイントも青の部分を読めばわかります。

もちろん、改正民法対応です。ぜひ読んでみてください!

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