優越的地位の濫用をわかりやすく解説してみた!【経済法その13】

経済法

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優越的地位の濫用って授業でほとんどやってないんですけど、出題されたら詰みます。

法上向
法上向

たしかに優越的地位の濫用は、不公正な取引方法の中でもマイナーな分野だな。試験で出ることもほとんどないぞ!

しかし不公正な取引方法の概観を知る上では重要だし、判例等の蓄積もあるから、いつ出題されてもおかしくない。

今回は「優越的地位の濫用」をみていこうか。

優越的地位の濫用は不公正な取引方法の中でマイナーな分野です。しかし判例やガイドラインの蓄積もあるため、いつ出題されてもおかしくないものといえるでしょう。

また要件自体が独特なので、優越的地位の濫用はそれ独自でしっかり要件を理解していく必要があります。あの公正競争阻害性でさえも優越的地位の濫用のケースだと意味が変わってくるのです!

今回は、不公正な取引方法のマイナー分野「優越的地位の濫用」を見ていきましょう!

優越的地位の濫用のポイント

優越的地位の濫用は、要件をしっかり押さえていくことで足ります。要件自体に「どのような行為が優越的地位の濫用にあたるのか」がきちんと書かれているためです。

優越的地位の濫用はガイドラインが充実していますので、ガイドラインの解釈で要件を検討していけば万事オッケーです。

しかしながら、逆に言えば要件がどのようなことを意味しているのかわからなかったら詰むということですので、しっかり理解していきましょう!

①要件①:自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して」を理解する。
②要件②:濫用行為を理解する。
③要件③:「正常な商慣習に照らして不当に」(公正競争阻害性)を理解する。

それではみていきましょう!

優越的地位の濫用の条文は独占禁止法2条9項5号

優越的地位の濫用の条文は独占禁止法2条9項5号です。

二条
⑨ この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
五 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること
イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。
ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。

独占禁止法2条9項5号が優越的地位の濫用の行為を規定し、イ、ロ、ハがその濫用行為を表しています。

独占禁止法2条9項5号イを購入強制、独占禁止法2条9項5号ロを経済上の利益を提供させること、独占禁止法2条9項5号ハを相手方に不利益となるような取引条件の設定、変更または取引の実施を指しています。

要件としては①事業者②「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して」③濫用行為(購入強制・経済上の利益提供・相手方に不利益となるような取引)④「正常な商慣習に照らして不当に」の4つになります。

④「正常な商慣習に照らして不当に」は「不当に」という言葉からもわかるとおり公正競争阻害性を指します。ただし、意味合いはこれまで登場した、「自由競争減殺」や「競争手段の不公正さ」ではなく「自由競争基盤の侵害」という新しいものです。

それでは各要件を深入りしていきましょう。

要件①:事業者

事業者は何度も登場しすぎて飽きてきた方も多いのではないでしょうか。

事業者とは、なんらかの経済的利益の供給に対応して反対給付を反復継続して受ける経済活動を行う者をさす(主体の法的性格及び営利性の有無は問わない)。

㋐経済的利益の供給
㋑反対給付を反復継続

この2つの視点はいつでも言えるようにしましょうね!

要件②:「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して」

優越的地位の濫用という言葉からもわかる通り、当該事業者は「優越的地位」にいなければなりません。

優越的地位の濫用は私的独占のような、支配的地位までは必要ないとされており、

相手方(優越的地位を濫用される側)によって優越者とのお取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障をきたすため、優越者が相手方にとって著しく不利益な要請を行っても、相手方がこれを受け入れざるを得ないような場合の優越者の地位で足りる(ガイドライン参照)とされています。

すなわち、

事業経営上大きな支障があるから、受けざるを得ないような状況

にあれば、優越的地位にあるといえるわけです。

優越的地位かどうかは、①取引依存度②優越者の地位③相手方が取引先を変更売る現実的可能性④その他取引の必要性を示す具体的事実を考慮して判断されます。

要件③:濫用行為

濫用行為は独占禁止法2条9項5号のイ・ロ・ハの3つの類型があるのでそれぞれ類型ごとにしっかり押さえることにします。

購入強制(独占禁止法2条9項5号イ)

もう一度条文を確認しておきましょう。独占禁止法2条9項5号イです。

イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること

ポイントは太字からもわかる通り「継続して」「購入させること」です。

継続して」取引をする相手方に対して取引対象である商品・役務等を「購入させること」をいいます。たとえば納入業者に対して必要のない効果な時計や絵画などを購入させる行為ですね(三越事件)。

ただし、この「継続して」は現に取引をしてきた者に限られず、新たに継続して取引をする者も含まれます。

ハの濫用行為とは違って「不利益」が要件とされていないのも特徴です。まぁ継続的に取引をする相手方に対してこんな購入強制をさせる行為というのは「不利益」が生じるのが当たり前だからですね!

経済上の利益提供(独占禁止法2条9項5号ロ)

独占禁止法2条9項5号ロをみてみましょう。

ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること

継続して」と「経済上の利益を提供させること」という要件をしっかり押さえることにしましょう。

継続して」は先ほどと同様に現に継続している必要はなく、新たに継続的取引をする者も含みます。

経済上の利益を提供」というのは少しわかりにくいですが、たとえば「改装のために人材派遣して~」であったり「手伝いのために人材派遣して~」であったり、自分が大変ときのお願いしかしてこない嫌な友達タイプを想像すれば少しはわかりやすくなると思います。

それをして俺にどんなメリットがあるんだよ!

という場合には自分のメリットがないので「経済上の利益提供をさせる」に該当するわけです。

逆に言えば「それをすることで自分にとっても見返りといった直接的利益がある」場合には「経済上の利益提供をさせている」とはいえなくなってきます

見返りといえるかどうかは相手方の自主的決定を侵害しないかどうかが決め手になります(自主的決定という要素は後述する公正競争阻害性の自由競争基盤の侵害より出てくる要素といえます)。つまり、任意で来てくれたり、変な雑用をしなかったり、派遣費用を負担してくれたりして、それなりの直接的利益が相手方にもあるのであればそれは濫用行為には該当しないでしょう。

一方、相手方のメリットが将来的であったり間接的なものである場合には「直接的利益」とはいえませんので濫用行為になります。

「経済上の利益の供給をさせている」かどうか→しかし相手方の利益があるかどうか→それは直接的か・自主的決定を侵害していないか

という思考過程によってロの濫用行為該当性を判断していくというわけです。

イと同様、ハのように「不利益」は要件とされていません。しかし、「経済上の利益を供給させ」の「させる」の部分に相手方の不利益の要素(すなわち、相手方に直接的な利益がある場合には同要件を満たさないという意味での考慮)が入ってくることになります。

相手方に不利益となる取引(独占禁止法2条9項5号ハ)

独占禁止法2条9項5号ハを確認してみます。

ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること

受領拒否不当返品支払遅延代金減額などが例示され、このような相手方に不利益となるような取引はダメと規定していることになります。

独占禁止法2条9項5号ハは他イ(購入強制)ロ(経済上の利益提供をさせること)以外の行為を規定しているいわば包括規定です。

この認定は非常に難しいです。ほぼ問題として出題されることもないので無視してもよいと思われるくらいです。

とはいえ有名事例(セブンイレブン事件)は少なくとも知っておきましょう!

セブンイレブン事件
コンビ理本部が加盟店の見切り販売(売れ残った商品を値段を下げて売ること)をやめさせることは加盟店の商品原価相当額を全額負担する仕組みの下で、見切り販売で負担を軽減する機会を失わせるものであり、優越的地位の濫用に該当。

要件④:「正常な商慣習に照らして不当に」(公正競争阻害性)

正常な商慣習に照らして不当に」というのは「不当に」という言葉からわかる通り公正競争阻害性を意味します。

>>>不公正な取引方法一般における公正競争阻害性の意味【はじめての経済法その5】

そして注意が必要なのが、優越的地位の濫用だけ特別、公正競争阻害性は「自由競争基盤の侵害」を意味するということです。

よって自由競争減殺でやるように市場を画定して、当該市場において競争を減殺する効果を生じさせるかどうかの総合衡量をしなくてよいということになります。

取引上の優越的地位を濫用する行為が相手方の自主的決定(取引を誰とどのような条件で行うか決定すること)を侵害すること自体に公正競争阻害性があるといわけです。

またこの理由づけとしてガイドラインでは「取引の相手方はその競争者との関係において競争上不利となる一方で、行為者はその競争者との関係において競争上有利となるおそれがある」ことが指摘されています。

とはいえ、まずは、

優越的地位の濫用の公正競争阻害性は自由競争基盤の侵害=相手方の自主的決定の侵害

という感じで覚えておけば大丈夫でしょう!

まとめ(論証)

優越的地位の濫用で覚えるべきは「優越的地位」くらいでしょう。濫用行為は多岐にわたりますので暗記というよりは理解に近いと思います。

自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して」の要件を覚えていますか?

「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して」…取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障をきたすため、著しく不利益な要請を行っても、受け入れざるを得ないような場合の地位

完全に暗記する必要はないと思いますが、「事業経営上大きな支障のため」に「受け入れざるを得ないような状況にあること」という2点くらいは押さえておきたいところですね!

解説は以上です。読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

経済法を本格的に学習する人の中で入門的に使ってほしい参考書を上げてみます。というか論証の暗記として使えるものを用意してみました。

とりあえず経済法のスタートは「要件の暗記」です。そのため、要件自体のガイドラインや判例通説をもとに逐条的に解説してある『条文から学ぶ独占禁止法(第2版)』をお勧めします。

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