当事者の特定や当事者の種類を整理してみた【民事訴訟法その4】

当事者民事訴訟法

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訴訟内容も決まったし,場所も決まったし,ようやく訴訟に入っていけますね。

 

ちょっと待って。当事者が誰かについてまだ話してないよね?

法上向
法上向

そうだね。民事訴訟法には当事者についての問題もいっぱいあるんだ。それを整理してみよう。

当事者のポイント

民事訴訟の当事者の論点は多くありますが,代表的なものは①当事者の特定②当事者能力③訴訟能力です。これに関連するかたちで法定代理人訴訟代理人を考えるとわかりやすいと思います。

論点として登場することは少ないですが,民事訴訟を勉強した者は知っていなければならない最低限の知識に含まれると思うので,整理するかたちで説明していけたらな,と思います。

①当事者の特定について,形式的表示説を理解する。
②当事者能力の問題があることを知る。
③訴訟能力について法定代理人,訴訟代理人とは何かを理解する。
それではさっそくみていきましょう。

当事者の特定

法上向
法上向

まず訴訟をするときには当事者を決めないといけないよね?

なんで当事者の特定が問題になるのか,理解できません。訴訟をする以上,当事者がいるのはあたりまえじゃないですか。

法上向
法上向

たとえば,君が親友から訴えられたとする。実は君と親友は何も問題がなく,見知らぬ人が勝手に君を被告,親友を原告として偽装して訴えていたという事情があった。この場合,誰が原告で誰が被告かな?

見知らぬ人が実は訴えていたわけだから見知らぬ人が原告で……。被告は私かな……。

けど,訴状の記載自体は,君が原告なんでしょ。ということは当事者は君じゃない?

法上向
法上向

ほら,当事者の問題が出てきたでしょ。このように当事者を特定する必要は,誰かが偽装した場合によく登場するんだ。

当事者の特定について,様々な学説があります。しかしここでは深入りしません。実務上通説と言われている,形式的表示説についてだけ解説します。

この説は,訴状の当事者欄の記載のみを基準とするというものです。非常に明確ですね。上記の例ですと,女の子が被告,その親友が原告ということになります。

この見解によれば,裁判官は訴状だけをみて判断すればよいので,裁判官の負担にもなりません。ここで,実際上不利益があるからといった理由で勝手に原告や被告を考えてしまうことがありますが,それは誤りです。当事者の特定は解決策ではありません。

当事者の特定はあくまで形式的に行うが,実際上の不利益は無効にしたり追認したり別の側面で解決が図られます。つまり,当事者の特定は「当事者が誰になるか」という問題を扱っているにすぎず「当事者が誰であるべきか」という問題ではない点に注意してください。

当事者能力は権利能力とだいたい同じ

当事者能力と聞いて,なんだまた難しい言葉がでてきたな,と思うかもしれませんが,この概念は権利能力とほぼ一致します(行為能力ではない点に注意)。つまり,民事訴訟における資格と考えられるわけです。

条文は民事訴訟法28条です。

(原則)
第二十八条 当事者能力、訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は、この法律に特別の定めがある場合を除き、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令に従う。訴訟行為をするのに必要な授権についても、同様とする。
当事者能力は権利能力とほぼ一致するといいました。では異なる点はどこなのでしょうか。大きな違いは民事訴訟法29条であるといってよいでしょう。
(法人でない社団等の当事者能力)
第二十九条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。

法人でない社団等も当事者能力を認めるとしているのです。法人でない社団に権利能力はありません。会社とか団体は法人と認定されることで権利能力が認められるようになるからです。

しかし,民事訴訟では法人でない社団にも当事者能力(訴訟上の資格)を認めています。ここから複雑な問題が生じます。しかし,毎度のごとく深入りしません。

とりあえずは,当事者能力≒権利能力だけど,特別に法人でない社団にも当事者能力は認められるんだなー,という風に考えておけばオッケーでしょう。

訴訟能力ときたら法定代理人と訴訟代理人を考えろ

続いて訴訟能力という概念です。これは行為能力とほぼ一致します。行為能力は一般に法律行為を行うことができる資格でしたが,訴訟能力は訴訟行為を行う(もしくは受ける)ことができる資格を指します。

行為能力については以下の記事で復習ができます!

さて,訴訟能力≒行為能力とすると,訴訟制限能力者というものがいるのでは?と勘がいい人は思ったかもしれません。実は行為制限能力者は民事訴訟では「訴訟無能力者」「制限的訴訟能力者」に分けられます

つまり,民法上は行為能力は「一定程度ある~完全にあるまでグラデーション」になっており,段階に応じて法定代理人,保佐人,補助人がいました。しかし訴訟能力は「ない」or「制限」or「ある」の3つに分けられるというわけです。

詳しく見てみましょう。

民事訴訟法31条

まず訴訟無能力者についてです。これは未成年成年後見人が該当します。

(未成年者及び成年被後見人の訴訟能力)
第三十一条 未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができない。ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができる場合は、この限りでない。
未成年者と成年被後見人は訴訟無能力なので,法定代理人によらなければ,訴訟行為はまったくできない,というわけですね。

民事訴訟法32条

被保佐人や被補助人は未成年者や成年被後見人と同様制限行為能力者でしたが,同意があれば訴訟行為が可能です(民事訴訟法28条)。これは訴訟行為≒行為能力の原則通りですね。

しかし,民事訴訟法32条1項にも注意しましょう。

(被保佐人、被補助人及び法定代理人の訴訟行為の特則)
第三十二条 被保佐人被補助人(訴訟行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項及び第四十条第四項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が相手方の提起した訴え又は上訴について訴訟行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない

被保佐人や被補助人に対する訴訟については,保佐人や補助人の同意は必要ない,とされています。これは同意をしないと,当該被告が負けてしまうからです。

訴訟代理人

しかし,訴訟の当事者になれる,といっても,普通に生活している人が自分の知識で訴訟を争うことは難しいです。そこで訴訟代理人を使うことが考えられます。

代表例が弁護士ですね。民事訴訟法54条に規定があります。

(訴訟代理人の資格)
第五十四条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ訴訟代理人となることができない。ただし、簡易裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を訴訟代理人とすることができる。
2 前項の許可は、いつでも取り消すことができる。

つまり,一般的には,当事者は訴訟能力がある者であっても,弁護士を訴訟代理人として訴訟を行う,と言えると思います。

ただし,日本では本人訴訟(当事者自らが訴訟すること)も多いです(-_-;)

その他

そのほか,当事者が法人の場合は,その代表者が訴訟行為を行います民事訴訟法37条よりそれがわかります。

(法人の代表者等への準用)
第三十七条 この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定は、法人の代表者及び法人でない社団又は財団でその名において訴え、又は訴えられることができるものの代表者又は管理人について準用する。
また,法定訴訟代理人といって,弁護士以外にも特定の場合に訴訟を行える人もいます。

まとめ

以上,当事者についての論点をみてきました。当事者の特定は形式的表示説で簡単に理解することができたと思います。当事者能力も権利能力とだいたい同じです。

問題は訴訟行為についてですね。これをできるだけ整理したいので,以下の図にまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです。

法人の代表は民事訴訟法37条により法定代理人として扱われたり,普通の人でも訴訟代理人(弁護士)によって訴訟行為を行うことは可能という点も押さえておいてくださいね。

読んでくださってありがとうございました~。

参考文献

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