物権的請求権についてわかりやすく解説してみた!【物権法その2】

民法

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法上向
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物権法で一番大事なの権利と思う?

物返せ!っていうやつです。

たしか、物権的請求権っていう名前よね。

法上向
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その通り!今回は物権法の最初の登竜門、物権的請求権について確認していこう!

物権法は物権的請求権より始まり、物権的請求権に終わります

それくらい、物権法の根本には物権的請求権があるというわけです。

今回は、その物権的請求権をわかりやすく解説していきます。なお、基本書等では物権的請求権について物権法学習の最後に学習するものもありますが、それは誤りだと思います。

なぜなら、物権法の始まりは物権的請求権だからです。

はじめての物権法」シリーズでは、わかりやすさを第一として、物権的請求権を最初に、かつ、できるだけ丁寧に解説していこうと思います!!

物権的請求権のポイント

物権的請求権は簡単にもかかわらず、基本書等ではわかりにくく書かれていることが多いです。それは学説が意外にも多く分かれていることが理由としてあげられます。

しかし、判例は神、学説はゴミです。

判例中心、試験対策中心の対策をする「はじめての物権法」シリーズでは、学説とかおかまいなしに、わかりやすさだけを大事にして解説していきます!

まず物権的請求権の種類を押さえます。そして物権的請求権の要件相手方の基準を押さえます。

これで物権的請求権は完全にマスターできたといっても過言ではないでしょう。

すなわち、①物権的請求権とは何か?②物権的請求権を請求するには?③誰に対して主張する?の3つを押さえれば完璧ということです。

①物権的請求権とは何かを押さえる。
②物権的請求権を請求するための要件を理解する。
③誰に対して主張すればよいか、相手方について理解する。

それでは見ていきましょう!

物権的請求権は3種類

まず押さえてほしいのは、物権的請求権には3種類あるということです。

①返還請求権②妨害排除請求権③妨害予防請求権

の3種類になります。

③妨害予防請求権は試験ではほぼ出てこないので、主要の①返還請求権②妨害予防請求権の2つさえ押さえれば大丈夫でしょう。とはいえ、軽く3つについて解説します。

返還請求権

返還請求権とは、文字通り「返して!」という請求権のことです。

物権の基本中の基本ですし、我々が一番想像しやすい権利だと思います。

私の物を返して!

これが返還請求権です。

妨害排除請求権

妨害排除請求権とは、妨害状態を排除するよう求める権利のことですが、

よく使われるのは登記に関してです。登記は後の回で詳しく解説しますが、不動産とセットで必要な証明書だと思っておいてください。

身に覚えのない登記(不動産の売買の証明など)があるときには、

妨害排除請求をします。

この登記は真実のものではないです。妨害してます!排除=やめてください!

という感じの請求権です。

もちろん、登記以外にも、物に対しても使えます。

自分の土地に変な荷物がある場合に、

この荷物がなんで私の土地にあるんですか!もって帰ってください!

という請求になります。

なんだか、返還請求権と妨害排除請求権って似てますよね?区別方法とかあるんですか??

法上向
法上向

いい質問だね!

実は、返還請求権は妨害状態が「占有」なんだ。そして妨害排除請求権の妨害状態は「占有以外」なんだよ。

つまり、妨害状態が占有=返還請求権、妨害状態が占有以外=妨害予防請求権という使い分けになるんだ!

返還請求権と妨害排除請求権は非常によく似た請求権です。違いはズバリ、妨害状態が「占有」か「占有以外」かしかありません。

占有によって妨害されているのであれば返還請求権を、
占有以外によって妨害されているのであれば妨害排除請求権を、

使うわけですね。

妨害予防請求権

文字通り妨害を予防するためのものです。

たとえば、隣の家の人が勝手に何やら大規模な工事をしていたとしましょう。

このまま工事が進むと土砂が自分の家に入り込むのではないか?

この場合、隣の家の人に対して、「土砂が流れ出ないように対策してよ!」という請求ができます。

これが妨害予防請求権です。

ただし試験にはほとんど出ません。私自身遭遇したことがありません。そのため、そこまでしっかりと覚える必要はないでしょう。

物権的請求権のための要件

要件は①もと所有②妨害(現占有など)

上にあげた3種類をまとめて物権的請求権といいます。

さて、物権的請求権を主張するための要件(必要なこと)は何でしょうか。

答えは

①もと所有②妨害(占有など)

です。

よりわかりやすく言うと、

㋐所有権㋑相手方の妨害(占有など)

です。

①もと所有

もと所有はもともと所有していた、という意味です。

所有権は、前回の記事一物一権主義からもわかる通り、一人しか持つことができません。

そのため、「自分自身に所有権があるよ!」というためには、前から所有者から順を追って自分に所有権が移っていることを説明する必要があります。

民事訴訟でいうところの権利自白、民事実務基礎でいうところの要件事実と深くかかわってきますが、ここではあくまで民法のさらに物権法の分野なので、深入りはしませんが、興味がある方は以下の記事をご覧ください。

とりあえず、ここで押さえてほしいことは

物権的請求権では「自身に所有権があること」を示す必要があるということです。

物権的請求権の根拠が所有権というわけです。

また、もうお気づきかもしれませんが、物権的請求権には条文がありません。所有権として当然に認められる権利が物権的請求権とされています。

そのため、しっかり要件は覚える必要があるというわけです。

②妨害(現占有)

そして所有権が妨害されていることを示す必要があります。

たとえば、「物が占有されている」であったり「不実の登記がある」であったり「所有権が侵害されそう!予防して!」であったりです。

以上のように、「所有権もってるよ!」と「所有権が妨害されているよ!」の2つを示すことによって、物権的請求ができるというわけです!

物権的請求の相手方

物権的請求の相手方はあまり意識しない人が多いと思います。しかし、相手方を意識することで物権的請求権はよく理解できるようになるのです。

物権的請求権の相手方は、現在妨害している者or妨害するおそれがある者です。

過去に妨害している者に対しては物権的請求はできません

あくまで物権的請求権は所有権に基づき妨害を除去・所有権を回復するものなので、過去侵害されていたかどうかは関係ないというわけです(過去に侵害されていた点は、損害賠償、不当利得、不法行為といった問題になります)。

まとめ

以上、物権的請求権についてみてきました。

物権的請求権のポイントをまとめた図を作成してみたので参考になれば幸いです。

読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

物権法のわかりやすい基本書としては佐久間先生のものをお勧めします。

事例付で詳しく解説されているので、初学者の方には特におすすめです。

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