会社法ってよくわからないんですよね。条文多いし、長いし。
会社法が一番初学者が勉強しにくい科目だよね。おすすめは演習書から勉強するという方法さ。
会社法は、条文が多く、長いため、複雑でなかなか勉強しにくい科目です。しかし、だいたい出題される分野は決まっています。
出題される論点を効率よく学習するにはどうすればいいか?それは良質な演習書で演習を積むことです。今回は会社法の演習書でおすすめな「事例研究会社法」を紹介します。
事例研究会社法の評価
初学者でいきなり演習書に取り組むのはやや難しいかもしれませんが、授業等で一通り会社法を勉強できる機会があるのであれば、授業の復習として事例研究会社法は重宝します。
とくに会社法は「間違って覚えしまうことが多い」科目です。一方向の授業だけでは理解の方向性が違ってしまうかもしれません。そのため、演習書など第三の視点の教材を入れることで自分の理解を修正するとともに、正しい知識を深めることができます。
演習の量はロープラに劣りますが、試験に出やすい部分を重点的に勉強することができます。
おすすめ度80%です!
事例研究会社法のメリット
解説が手厚い
演習書という作りですが、解説が手厚く、該当分野の重要な点を、問題に関係しない点までも含めて解説しているので基本書としても使えます。
まったくの初学者の方は、問題を解く→解説を見るではなく、解説を見る→問題を解いて確認する、という流れをとることで、会社法の解き方を身に着けることもできるでしょう。
以下参考のために目次を引用させていただきます。
[問題10]代表取締役の専断的行為の効力・取締役の解任
小林量・北村雅史『事例研究会社法』(日本評論社・2016)目次参照
事例
解答へのヒント
解説
1.出題の意図
2.[設問1]取締役会決議を必要とする取締役の行為
(1)問題の所在
(2)重要な財産の処分・譲受け(362条4項1号)の該当性基準
(3)362条4項違反の対外的取引の効力
(4)事例への当てはめ
3.[設問2]取締役の解任の「正当なり湯」と損害賠償(339条2項)
(1)問題の所在
(2)339条2項の「正当な理由」
(3)339条2項に基づく損害賠償の範囲
(4)事例への当てはめ
(ア)Aの解任理由と「正当な理由」
(イ)Cの解任理由と「正当な理由」
コラム 代表権の濫用
基本問題と発展問題に分かれている
基本問題と応用問題で章が分かれているのも好ポイントです。会社法は条文や論点が多く、どれが試験に出やすい分野かわかりづらいです。
基本問題は学部レベル・予備試験基礎レベルの問題がそろっています。会社法を学ぶ上で最低限知っておかないといけない知識ですね。
発展問題は学部上位レベル・ロースクール・予備試験レベルです。会社法の試験を受ける際には知っておきたい知識ですね。
解答へのヒントがついている
通常の問題集は、問題→解説という流れになっていることが多いです。しかし事例研究会社法は問題→解答へのヒント→解説という流れになっています。
解答へのヒントがあることによって、問題で方針は知りたいけれど解説はまだ見たくないというパターンにも対応できるというわけです。
幅広い使い方レベルに対応できるというわけですね。
事例研究会社法のデメリット
網羅性がやや弱い
事例研究会社法は26個の問題が用意されています。重要な論点をマスターするには十分な量ですが、予備試験、司法試験対策としてはやや少ないかもしれません。
たとえばロープラックティス商法にあるような「株式と相続」というマイナーだが予備試験に出題されたことのあるテーマについては別で勉強をする必要があるというわけです。
とはいえ、学部試験、ロースクール入試レベルでは十分に対応できると思いますし、予備試験、司法試験でも基本知識は押さえられる演習書なので、無駄というわけではないです。
解答例がない
法律の演習書には基本的に解答例がありません。事例研究会社法でも同様で、解説があるのみです。そのため、実際にどのような答案を書けばよいのか、についてよくわからなってしまう可能性もあります。解答例はこのサイトでも随時書いていこうと思いますのでお楽しみのお待ちください。
手慣れている人にとっては解説がくどい
解説が基本書のように丁寧になされているということは、逆に言えば解説は基本的なことを丁寧に説明しているだけで応用的な深い学びはしにくいということです。
そのため、初学者ならよいのですが、会社法をある程度勉強していて、授業やゼミ、予備校等で演習もそれなりにやってますよ!という方には解説は知っている知識の繰り返しになるのでやや効果が薄いかもしれません。
会社法の基本的な知識の確認ができるという点ではメリットですが、深みは出にくいでしょう。
こういう人におすすめ
会社法ではじめての演習書を探している方には強くおすすめします。教科書やレジュメに加えた第3の教材として会社法の理解に役立つはずです。
また司法試験や予備試験を目指す方で基本的知識を復習したい方や、会社法に苦手意識のある方にも役立つ内容になっていると思います。もしかしたら考え方自体を間違ってることも会社法ではよくあるので、それを修正してくれる一冊となるかもしれませんね。
読んでくださってありがとうございました。ではまた~。