刑法各論で一番おすすめの基本書って何ですか?
それなら「基本刑法Ⅱ各論」だな。基本刑法Ⅰ総論と同様で初学者におすすめだぞ。
今回は基本刑法Ⅱ各論についてご紹介します。
基本刑法Ⅱ各論の評価
初学者から司法試験まで幅広く対応でき、おすすめの1冊です。司法試験受験生のほとんどが持っている基本書といっても過言ではないでしょう。
しかし、基本刑法Ⅰ総論と違って、基本刑法Ⅱ各論はなぜかわかりにくさが若干出てきます。これは総論と各論の違いもありしょうがない面かもしれません。
詳しく見ていきましょう。
基本刑法Ⅱ各論のメリット
事例で解説してくれる
基本刑法は基本的に事例とともに刑法の論点について解説してくれています。特に初学者によって法律はなじみのないものです。一般的な基本書のようにただ文字で説明を受けても想像ができませんし、「じゃあ実際どうやって書けばいいの?考えればいいの?」という状態に陥ってしまうでしょう。
その点、基本刑法は「〇〇の論点にはこういう事例があります」「こういう事例には〇〇という判例通説にそって解答を書くとこういう結論になります」といった解説の方法ですので、わかりやすく、論述向きです。
判例・通説で解説してくれる
基本書の中には著作者の説を全面的に押し出して判例・通説を置き去りにしている「悪書」が存在します。自分自身の知っている内容を深めるのであれば全然よいのですが、初学者の段階では判例・通説(一般的な考え方)をまず知っておく必要があります。よって初学者の段階からこのような「悪書」で勉強するのは効率が悪いです。
基本刑法は基本的に判例・通説に沿っています。また学説の対立がある部分にはそれぞれの学説について平等な立場で書かれています。よって、初学者に一番おすすめの本となっているのです。
さらに、基本刑法Ⅱ各論はどの犯罪についても保護法益と行為、結果について項目を分けて解説してくれるので、刑法総論とのつながりも感じ取れる作りになっています。
無料で問題集がついてくる
基本刑法Ⅱ各論では無料で問題集が付いてきます。問題集の問題は、教材の中で解説されている事例の解説部分を除いたものです。
つまり基本刑法で
事例を見ながら内容を理解する→問題集で何も見ないで事例を解く→解説として基本刑法の解説の箇所を読む
という流れをとれば基本書から演習書まで1冊で完成することができます。これだけで学部試験、ロー入試レベルはつけることができるでしょう。
問題集はこちらからダウンロードできます。
基本刑法Ⅱ各論の問題集
基本刑法Ⅱ各論のデメリット
教授陣に嫌われている
一番のデメリットは嫌っている教授が多いという点です。基本的に教授は予備校(司法試験や予備試験のために法律を教える塾)を嫌っています。考える力が身につかないというような理由です。
基本刑法は、教授が書いた予備本といわれることがあり、たしかに学説対立関係での深みは薄いです。判例通説で網羅的に解説したわかりやすい本という立ち位置なので、もうすでに刑法を知っていて第2の教材を探している、といった人には不向きかもしれません。
教授が嫌っているといっても試験の評価としては、判例・通説なのでまったく問題がありません。その点は安心してください。私は試験が到達点じゃないんじゃー。刑法を高みを目指すんじゃーという方にはこの1冊だけでは不十分というだけです。
やや内容に深みがない
上記の理由にも挙げましたが、やや深みにかけます。全分野を網羅的に解説したものなので、「この分野をもうちょっと掘り下げたい」とか「この分野についてちょっとわからない」となった場合には別の参考書や演習書で補う必要があるでしょう。
基本刑法Ⅰよりややわかりづらい
基本刑法Ⅰよりわかりづらいというよりも基本刑法Ⅰがわかりやすすぎたといった方がいいかもしれませんね。
基本刑法Ⅱは若干書きぶりがわかりにくい面があります。特に刑法各論は保護法益と要件さえ押さえれいれば要件から同時に論点が導き出せますが、基本刑法Ⅱは要件の項目と論点の項目が分かれているのでつながりが見えにくいです。
その点を解消したのが私の刑法各論シリーズです(笑)。はい、宣伝です(汗)。
基本刑法Ⅰ総論に解説を譲っている箇所がところどころある
基本刑法Ⅱ各論は、基本刑法Ⅰの続書ですので、各論に総論の論点、内容が出てくる場合は基本刑法Ⅰ総論に解説を譲っている箇所がところどころあります。
基本刑法Ⅰ総論をすでに持っている人ならよいのですが、刑法総論は別の参考書、基本書を使っていたよ、という人は、毎回自分の基本書の該当箇所を参照する必要があるので注意が必要です。
こういう人におすすめ
初学者には絶対的におすすめします。これを読まずに刑法がわからないという方に対しては「とりあえず基本刑法Ⅱ各論を読んでみて」と言いたいです。何かしら変わるはずです。この点は基本刑法Ⅰ総論と同様です!
また、刑法を勉強してきたけど、基本的な知識をざっと復習したいという方にもおすすめです。先ほども言った通り、基本刑法には問題集もダウンロードできます。問題集を解いて、基本刑法Ⅰ総論の中の解説を読んで自分の穴を探すことができます。この点も基本刑法Ⅰ各論と同様です。
また、刑法総論を基本刑法Ⅰ総論で勉強してきた人は各論も基本刑法を用いるとよいでしょう。両書で連携されていますし、事例、問題集といった基本刑法Ⅰ総論と同様の勉強法が使えるからです。
どのレベルの方にもおすすめできる良書なので、まだ読んだことのない方はぜひ一度読んでみてください。
読んでくださってありがとうございました。ではまた。