改正民法対応!消費貸借を具体例とともにわかりやすく解説してみた【契約法その8】

消費貸借民法

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消費貸借って結局いつお金を渡すのかよくわかりませんよね。

法上向
法上向

消費貸借契約は契約成立段階と貸金返還請求段階の2段階あることを意識するとわかりやすくなるよ。具体例とともに考えてみようか。

消費貸借契約が使われるのはほとんど金銭消費貸借でしょう。つまりお金の貸し借りです。

この消費貸借は、契約成立場面貸金返還請求場面の2つが分かれていることを理解する必要があります。それぞれで必要な要件が変わってくるのです。

この違いを意識しつつ、具体例とともに消費貸借契約を考えていきましょう!

消費貸借のポイント

消費貸借は場面が2つあります。契約成立場面貸金請求場面です。

さらに消費貸借契約成立には2つの方法があります。それぞれで要件が変わってくるので違いをしっかり理解していきたいところです。

その後、貸金返還請求をどうすれば請求できるのか、について説明していこうと思います。

最後に利息についてもチェックしていきましょう。

①消費貸借の契約成立要件について理解する。
②消費貸借の貸金返還請求について理解する。
③利息について知る。

それではいきましょう。

消費貸借の契約の成立

通常の消費貸借契約(民法587条)の成立

まずはデフォルトタイプの消費貸借契約です。民法587条を見てみましょう。

(消費貸借)
第五百八十七条 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

このことを要件に分解すると以下のようになります。

①消費貸借の合意
②金銭の引渡し

ただしこれは消費貸借契約の「成立」でしかありません。これによって貸金返還請求ができるわけではないという点に注意してください。

たとえばAさんとBさんで100万円の消費貸借契約を結びたい場合は、AさんとBさんとの間で消費貸借契約を締結したうえで、AさんがBさんに100万円を渡す必要があります。

消費貸借契約

書面でする消費貸借(民法587条の2)の成立

一方、デフォルトタイプとは異なり、別タイプで消費貸借契約を成立させることもできます。

実は書面」で消費貸借契約を結ぶと要件が変わってくるのです。民法587条の2第1項を見てみましょう。

(書面でする消費貸借等)
第五百八十七条の二 前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる

分解して必要な要件をあげると以下の通りになると思います。

①消費貸借の合意
②書面

書面でする消費貸借の場合には、契約の成立のために金銭の引渡しは必要ではないというわけです。

先ほどの例で、AさんがBさんに100万円貸すという内容の消費貸借契約を結ぶ場合、それを書面で行えば、金銭の引渡しがなくとも消費貸借契約は成立します。

書面でする消費貸借契約

消費貸借契約発生で生じるのは「貸す義務」

では消費貸借契約が成立すると、貸主・借主はどういう債権・債務を持つのでしょうか。

実は消費貸借契約成立から生じるのは、貸主の「貸す義務」だけです。

さらに書面によらない場合は「金銭の引渡し」も要件となっていたため、実質上は書面でする消費貸借契約で「貸す義務」が生じるというわけです。

この「貸す義務」は売買贈与でも見てきたように「契約に適合するものを貸す」必要があります。

もし契約不適合物を引渡した場合にはそ借主はその価額を貸主に返還することができます。民法590条2項の規定です。

(貸主の引渡義務等)
第五百九十条
2 前条第一項の特約の有無にかかわらず、貸主から引き渡された物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、借主は、その物の価額を返還することができる

消費貸借契約に基づく貸金返還請求

契約成立時点では返還請求権は発生しない

重要なポイントなので何度でも繰り返します。消費貸借契約では契約成立場面と貸金返還請求の場面に分かれています

つまり消費貸借契約が成立したとしても当然に貸金返還請求はできないということです。

ではどうすれば貸主は借主に対して「お金返して!」と請求できるのか?を考えていきましょう。

貸金返還請求のイメージ?

貸金返還請求権の要件

それは債務不履行で学習したものが参考になります。債権総論の学習を思い出すのです。

履行期の合意+履行期の到来(民法412条1項)

債務不履行の基本でした。

消費貸借契約の場面では「いつ返すのか(履行期)」を定めて契約するのが普通です。そのため、貸金返還請求をしたい場合には、貸主は「履行期の合意」と「履行期の到来」を主張する必要があるというわけです。

なお、履行期の定めのない場合(実際このような契約を結ぶのかあやしいですが)は相当の期間を定めて催告することで返還請求が可能となります(民法591条1項)。これは債権総論の民法412条3項(請求時)の例外となりますので注意しましょう。

消費貸借契約に基づく貸金返還請求をする場合

それではAさんがBさんに対して100万円を貸した例に戻ります。どうすればAさんはBさんに貸金返還請求権を主張できますか?

まずは消費貸借契約の成立を言う必要があります書面によるかよらないかで要件が変わるのでしたね。

書面によらない場合には契約+金銭の引渡しが必要でした。書面による場合には契約だけで十分です。

そして、貸金返還請求の場面では履行期の合意と履行期の到来を主張する必要がありました。これは債権総論の知識を用いればこの時期に債務不履行に陥るためです。

たとえばAさんとBさんとの間で2021年4月27日に100万円の消費貸借契約を結び、返済期日を1年後(2022年4月27日)にした場合には、「返済期日2021年4月27日の合意」+「2022年4月27日の到来」を主張すればいいわけです。

ここでさらに書面によらない契約の場合で貸金返還請求をする場合には金銭の引渡しも主張する必要があります。消費貸借契約に基づいて「返す」請求をしたいのであればその前提として「貸す」ことが必要なためです。貸主は貸す義務を履行してはじめて「返す」ことを請求できるのですね。

以上をまとめると消費貸借契約の貸金返還請求を主張したい場合の要件事実は以下の通りになります。

〈消費貸借(民法587条)〉
①消費貸借の合意
②金銭の引渡し

③履行期の合意
④履行期の到来

〈書面による消費貸借(民法587条の2)〉
①消費貸借の合意
②書面

③消費貸借に基づく金銭の引渡し(←貸す義務の履行)
④履行期の合意
⑤履行期の到来

赤字の部分で消費貸借契約は成立しているという点を理解するようにしてください!

消費貸借契約と利息

消費貸借場面ではよく利息契約も締結されます。

利息というのは返す時に貸した金額(元本)に加えて少し余分にお金を加えて返還される、余分の分のお金です。

ただし、民法を学習していない人は意外に知らないと思いますが、消費貸借契約自体から利息が発生するわけではありません。利息はあくまで貸主と借主が特別に結ぶ約束(別契約)なのです。

民法589条を見てみましょう。

(利息)
第五百八十九条 貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができない。
2 前項の特約があるときは、貸主は、借主が金銭その他の物を受け取った日以後の利息を請求することができる。

民法589条1項より、利息を請求するためには特約を結ぶ必要があるとされています。逆にいえばデフォルトでは消費貸借契約に利息はないというわけです。

ついでに民法589条2項も確認しておきましょう。利息は、金銭を受け取った日以後から発生します。つまり受け取った日を含めて利息計算がされる=初日参入型というわけです。

時効のような場面では初日不算入の原則がありましたが、それとは異なることになります。

具体例を考えてみましょう。2021年4月27日にAさんがBさんに元本100万円、利息年10%として消費貸借契約を締結しました。履行期は1年後の2022年4月27日です。

この場合には2022年4月27日になった時点でBさんはAさんに110万円(元本100万円+利息10万円)を返す義務(貸金返還義務)が発生します。

利息のほか遅延損害金も貸金返還請求には大きくかかわってきます。遅延損害金については債権総論での学習を参考にしてみてください。

まとめ

消費貸借についてまとめてみました。いかがだったでしょうか。

試験問題として出題されることは少ないと思いますが、実務ではよく使われる分野だと思います。弁護士になったと思って勉強するとはかどるかもしれませんね(笑)。

解説は以上です。読んでくださってありがとうございました。ではまた~。

参考文献

契約法について、初学者が学習しやすい本としては潮見佳男先生の『債権各論Ⅰ』をおすすめします。薄いため、最低限の知識がコンパクトにまとめられており、語り口調も丁寧語であるため、しっかり読めば理解できる流れになっています。青・黒・白と三色刷りなのでポイントも青の部分を読めばわかります。

もちろん、改正民法対応です。ぜひ読んでみてください!

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